カロート(納骨室)がいっぱいの場合はどうする?改葬などの対策や納骨方法について解説

2022.12.01

お墓の中には、故人様のご遺骨を納めるカロート(納骨室)があります。納めるご遺骨が多くなれば、当然カロートもいっぱいになるため、なんらかの対策が必要です。

しかし、自分達のお墓にどの程度のご遺骨が納められているのか、明確な数まで把握することは難しいでしょう。「あとどのくらい納骨が可能なのか」と、不安を感じている方も多いかもしれません。

この記事では、お墓のカロート(納骨室)がご遺骨でいっぱいの場合はどうするべきか、対策などについて解説します。

カロートとは

カロートとは、お墓の中にあるご遺骨を納める納骨室のことです。カロートは、コンクリートや御影石など、腐食しにくい素材で作られます。

「果たして自分達のお墓にどのくらいの数が納骨できるのか……」と、不安を持つかたも多いでしょう。これからお墓を建てる方は、墓石を購入する際、石屋さんに相談して、どのくらいの数が納骨できるかを確認しておきましょう。

お墓の大きさや形状によって異なりますが、1平米のお墓であれば、7寸壺で4つ納骨できるものが多いです。

カロートは、大きく3つに分類されます。

・地上型カロート
・舞台式カロート
・地下型カロート

地上型カロート

地上型カロートとは、地上に納骨室が設置されるタイプのカロートです。墓石と納骨室が一体になっているタイプのカロートは、丘カロート式と呼ばれます。墓石の正面から、ご遺骨を納められる点が特徴です。

地上型カロートは、墓石と一体になっているため、大きな穴を掘る必要がありません。そのため、安価で済む点はメリットだといえます。また地上に設置するため、水はけがよく風通しがよい点も、地上型カロートのメリットです

ただし、墓石と一体になっているため、大きくなりやすい点がデメリットだといえるでしょう。

舞台式カロート

舞台式カロートとは、墓石と納骨室が別れたタイプの地上型カロートです。墓石と納骨室が分かれているため、カロートのサイズを自由に設定しやすい点はメリットだといえます。

大き目のカロートにしておけば、すぐいっぱいになるリスクを回避できるでしょう。もちろん、墓石も自由度の高いデザインで作ることが可能です。

舞台式カロートも地上に設置されるため、水はけや風通しがよく、ご遺骨の状態を良好に保ちやすくなります。

地下型カロート

地下型カロートとは、墓石を設置する地面を掘って、納骨室用の空間を作るタイプのカロートです。納骨室をきちんと作る場合もありますが、ご遺骨を土へ還すという意味を込めて、土のまま維持しているケースもあります。

地上型カロートは、地中に納骨室が設置されるため、地上型に比べてコンパクトな墓石にできる点がメリットです。ただし、地中に納骨室を設置するので、水が溜まりやすく、風通しも悪くなります。そのため、カロート内に浸水する可能性もあるため注意が必要です。

カロートの内部構造は2種類

カロートの内部構造も、大きく2つに分類されます。

・一段カロート
・複数段カロート

一段カロートとは、納骨室が1つの部屋で構成されるタイプのカロートです。墓石の中や地中にスペースを作り、ご遺骨を納めます。一段カロートの場合、面積は0.4㎡程度から作れ、4~5体程度のご遺骨を納められるでしょう。

複数段カロートとは、納骨室の内部に棚を設置し、各フロアに骨壺を納めるタイプのカロートです。2段や3段にするケースが多く、2段の場合は約0,6㎡の面積から作れ、8~9体程度のご遺骨を納められます。複数段カロートは広いスペースが必要になるため、地下型カロートに用いられる場合が多いです。

カロート(納骨室)がいっぱいになったときの対策は4つ

カロートがいっぱいになると、新たなご遺骨は納められません。そこで、カロートがいっぱいになったときの対策を4つご紹介します。

1.土へ還す

カロートがいっぱいになったとき、主流の対策といえるものが土へ還す方法です。

お墓を作る際には、コンクリートで基礎工事を行うことが一般的です。このとき、すべてをコンクリートで固めるのではなく、必ず一部に土の部分を残します。水を抜いたり、ご遺骨を土に還したりできるよう、このような設計になっているそうです。土の部分に一番古くなった骨壷から、ご遺骨を土に還します。

以前は複数段カロートのお墓も多く、大量のご遺骨を納められました。しかし近年は、核家族化が進み、多くのご遺骨を納める必要がなくなっています。そのため、地上部分に骨壷を納める丘カロート式が主流になっている状況です。

2.ご遺骨を粉骨

カロートがいっぱいになった場合には、ご遺骨を粉骨することもあります。

「ご遺骨を粉砕する」と聞くと、抵抗感を持つ方もいることでしょう。しかし、ご遺骨を砕くというイメージとは異なり、実際には粉骨するとパウダー状になります。

パウダー状にしたご遺骨を小さな骨壷に移し、納骨しなおすことで、広いスペースを作り出すことが可能です。そのまま小さな骨壷で納骨したり、手元供養をしたりするのもよいでしょう。

粉骨の作業は、業者へ依頼することが一般的です。粉骨した場合は、永代供養墓や散骨(海に撒く)といった選択肢もあります。

3.改葬の実施

カロートのスペースが少ない場合には、改葬という方法もあります。改葬とは、ご遺骨を他のお墓へ引っ越しさせることです。

例えば、お墓が自宅から遠いため、近場に引っ越したいといった希望があれば、手続きを行うことで改葬を実施することが可能です。まず、新しい受け入れ先との契約を行う必要があります。「次のお墓も今までの一般墓でよいのか」「樹木葬や納骨堂、永代供養墓がよいのか」など、ご家族やご親戚との相談が必要です。

「今まで使用していたお墓をそのまま移動できないのか?」とよく質問されますが、新しい受け入れ先の事情次第といえます。新しいお墓の形状に合えば使用できますが、残念ながら合わないケースも多いです。

また、もしサイズが合ったとしても、墓石を外すコストや新たな場所へ移動するコスト、設置するコストなどを考えると、新規のお墓で検討されたほうが安く収まることもあります。
古い墓石の場合、外しているときに欠けたり、割れたりするリスクも高いでしょう。

なお、改葬の費用相場は50万円~程度といわれており、内訳は以下の通りです。

・改葬許可証:300円程度/ご遺骨1体
・納骨費用:4万円程度/ご遺骨1体
・お墓の運搬費:0〜10万円程度
・墓石代:50万円程度〜
・開眼法要:4万円程度

4.さらしの納骨袋を活用

骨壷以外の納骨方法として、さらしの納骨袋にご遺骨を納める方法もあります。骨壷は全骨の場合は7寸壺(約21cm間口)となり、関東のお墓はこのサイズで納骨することがほとんどです。

納骨室がいっぱいになったとき、お骨を土に還すことに抵抗がある方は、さらしの納骨袋をおすすめします。さらしの袋に入れ替えれば、骨壺に比べ省スペースで納めることが可能です。そのため、骨壷よりも多くのご遺骨を納められるようになります。

また、抵抗がある方は難しいですが、何体かご遺骨をさらしの納骨袋にまとめることもできます。その際は、納骨を行う方に事前連絡が必要です。

納骨までの事前準備

納骨を行う際には、基本的にお墓の管理者へ連絡をして、納骨の日程を相談します。お墓の管理者や石屋さんが、事前にカロートを開けて納骨の準備をすることが一般的です。

お墓の納骨室は、簡単には開かない仕組みになっています。納骨室の蓋部分を、専用の工具を用いて目地を切るのが最初の作業です。納骨室の蓋を開け、害虫などが侵入していないか、水が溜まっていないか(枯葉などで水抜き部分が詰まることがあるため、もし詰まっていたらきれいに掃除する)確認し、事前準備を行います。

お墓には、故人様のお名前などを彫刻しなくてはいけません。契約者の方に連絡して、彫刻する文字を事前に確認しましょう。完成までには、2週間程度の期間が必要です。四十九日納骨予定の場合は、早目に管理者に連絡しておけば、当日までに間に合うでしょう。間に合わない場合は、納骨後お参りに行かれた際、確認する形となります。

お骨室の蓋を開ければ、骨壷が一杯になっているかどうかを確認することが可能です。どのような方法で納骨を行うのか契約者と相談し、納骨当日を迎えるように準備します。

5つの納骨方法と地域ごとの違い

納骨方法といえば、お墓を思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、他にも多くの納骨方法があります。ここでは、納骨方法の種類と地域ごとの違いについて確認しておきましょう。

納骨方法1.一般墓

一般墓のカロートへご遺骨を納める方法は、もっとも選ぶ方が多い納骨方法といえるでしょう。僧侶に開眼供養してもらった後、ご遺骨を墓石のカロートに納めます。

納骨方法2.永代供養墓

永代供養墓とは、石塔や地下室の中に、ご遺骨を収蔵できる棚を設ける納骨方法です。
納骨式の実施後、骨壺に入れたご遺骨を永代供養墓へ納めます。ただし、一定期間が過ぎると、他のご遺骨と同じ場所に埋葬する合祀になることが一般的です。

納骨方法3.納骨堂

納骨堂とは、寺院などに設置された専用の場所にご遺骨を納める方法です。納骨堂は多くのご遺骨を狭いスペースに納められるため、郊外だけでなく都心などにも多く存在します。近年は人々のライフスタイルの変化により、納骨方法として納骨堂を選ぶ方が増加傾向です。

納骨方法4.樹木葬

樹木葬とは、墓石の代わりに樹木を用いて、周辺の地中にご遺骨を埋葬する方法です。樹木層には、墓地として登記された土地へ個別にご遺骨埋葬する里山型と、霊園の管理する土地に複数のご遺骨を埋葬する霊園型の大きく2種類があります。

なお、樹木層については、以下の記事でも詳しく解説しているのであわせてご確認ください。

関連記事:樹木葬とは?メリット・デメリットや費用感などを紹介

納骨方法5.手元供養

手元供養とは、ご遺族の自宅など、手元にご遺骨を納める方法です。ご自身や業者が粉骨を行い、手元供養専用の骨壺やアイテムに納骨します。そのため、僧侶による読経や法要も必要ありません。

骨壺の詳細については、以下の記事も参考にしてみてください。

関連記事:骨壷にはサイズがある?種類や選び方を紹介

地域ごとの納骨方法の違い

そもそも骨壷の大きさは、地域によってサイズが異なります。関東のお墓の場合、通常7寸で納骨しますが、関西では2〜5寸壺を使用することが一般的です。その理由は、火葬後に骨壷に入れるお骨の量が違うためです。

関東ではご遺骨を全骨で納めることが多いことに対し、関西では一部だけを納めるため骨壷も小さくなります。骨壷の大きさが違えば、納骨方法も異なるため、関東ではそのまま骨壷でお墓に納骨しますが、関西はお墓の一部をずらし隙間から骨壷を入れることが多いです。

関東のお墓と関西のお墓は一見同じように見えますが、実は納骨室の大きさや位置に違いがあります。関東は7寸あるため、ある程度大きくしなければご遺骨を納められません。一方、関西の納骨室は、関東の約3分の1程度になります。骨壷の大きさが2〜5寸のため、それほど大きな納骨室を必要としないからです。

なお、お墓の石の色も、東北と関西では違いがあります。関西は白系のお墓が多いことに対し、東北は黒系のお墓が多いです。地域独特の事情があり、例えば東北方面では雪が影響します。お参りに来たときに雪が降っていて、お墓が白いと見つけにくいという理由から、黒系のお墓が多いそうです。

まとめ

カロートとは、お墓の中にあるご遺骨を納める納骨室のことです。カロートには、地上型カロート、舞台式カロート、地下型カロートの3種類があり、さらに一段カロート、複数段カロートに分類されます。

カロートがいっぱいになった場合には、以下4つの方法で対処しましょう。

・土へ還す
・ご遺骨を粉骨
・改葬の実施
・さらしの納骨袋を活用

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