生活保護者が対象の福祉葬とはどんな葬儀なのか?対象者や葬儀の流れ、費用相場などを紹介

2022.10.05

生活保護者の葬儀、また生活保護者の方がご家族などの葬儀を行う際には、福祉葬と呼ばれる形式で実施される場合があります。福祉葬という言葉は、世の中であまり知られていないため、知らない方も多いでしょう。

今回は、生活保護者が対象の福祉葬がどのようなものなのか、対象者や葬儀の流れ、費用相場などについて解説します。

福祉葬とは

福祉葬とは、生活保護受給者のご家族がお葬式を実施する際、補助が受けられる制度のことです。生活保護受給者は、葬儀の費用を負担することが難しいため、自治体から葬祭扶助をすることで、最低限の葬儀を執り行えるよう取り計らいます。

福祉葬は葬祭扶助の範囲で行われる関係上、直葬と呼ばれる火葬式形式での葬儀が対象です。なお、火葬式(直葬)については以下の記事で解説しているのであわせてご確認ください。

関連記事:「火葬式(直葬)の流れとは?メリット・デメリットや火葬場の選び方も紹介」

福祉葬の対象

福祉葬の対象は、生活保護受給者(故人様)、ならびに生活保護受給者を亡くしたご家族(喪主)で、かつ葬儀費用の支払いが難しいと自治体が判断した方です。

例えば、故人様に身寄りがなく葬儀を執り行えない場合や、財産を売り払っても葬儀代をねん出できない場合、故人様の同居家族が生活保護者である場合は、福祉葬の対象になり得るでしょう。

生活保護制度とは

出典:厚生労働省/生活保護制度の現状について

生活保護制度とは、給与や年金、手当などの収入が国の定めた最低生活費を下回り、自分の資産や他制度を活用しても生活の維持ができない世帯に対して、日本国憲法第25条の理念に基づき、国が健康で文化的な最低限度の生活を保障しながら、自立した生活が送れるように支援することを目的とした制度です。生活保護の申請は国民の権利とされており、条件さえ満たせば誰でも利用できます。

生活保護の手続きの流れ

生活保護を受給する流れは、以下の通りです。

・相談:近隣の福祉保護センターへ相談
・申請:生活保護の申請書を提出
・調査・審査:生活状況や収入・資産状況などを調査し、自治体で審査
・決定:利用の可否が決定し、保護費の支給や支援が開始

生活保護の相談・申請

生活保護を利用するためには、本人による申請が必要です。ご自宅の近隣にある福祉保護センターに、生活保護の申請に関する相談をしましょう。

生活保護の申請は、受給したい意思があれば、誰でも申請できます。なんらかの事情により、本人が申請できない場合は、ご親族による申請も可能です。

手続きや書類の書き方は、自治体の担当者が案内してくれます。申請した場合、収入や資産の状況、ご自宅の状況などを確認できる書類の提出が必要です。なお、ご自宅がない場合は区の福祉保護センターで申請できます。明らかに急迫した状況であれば、申請しなくても福祉保護センターが職権で保護を開始する場合もあるようです。

調査・審査

申請者のご自宅へ職員が訪問して、現状をヒアリングし状況の確認をします。給与や年金、手当などの公的な給付、ご親族からの仕送りなど種類を問わず、あらゆるものを世帯収入とみなし、生活費に充当し収入認定が行われます。

また、銀行や生命保険会社などへの調査も行われ、貯金額や生命保険、自動車、土地家屋、貴金属、有価証券など、世帯全体の資産のうち自立に効果があると判断されるものについては、保有を認められることが一般的です。ただし、保有が認められないものについては、売却して生活費に充てます。

他の制度を利用していないかどうか確認するため、年金事務所などへの調査も行われます。年金や手当、雇用保険など、生活保護以外の公的な制度が利用できる場合は、そちらの手続きを進めなくてはいけません。また、働ける方の場合は、仕事を探すサポートもしてもらえます。

生活保護の受給が決定

自治体による審査をクリアできれば、生活保護を受けられます。生活保護者になった場合、収入状況を毎月報告することが義務です。

参考:厚生労働省/生活保護制度

福祉葬の流れ

福祉葬を実施するためには、事前にいくつかの手続きを行う必要があります。その後、葬儀を執り行う流れが一般的です。

福祉葬の事前調整

生活保護者が亡くなると、病院や施設、ご家族より、担当のケースワーカーに報告があります。火葬許可書を取得するため、申請者を決定しなくてはいけません。状況によって、ご家族や病院や施設・自治体などが考えられます。

担当のケースワーカーと葬儀会社で調整を取り、火葬場の場所や日程を決定します。このとき、ご家族の立ち合い有無、およびご遺骨の引き取りについても確認しておきましょう。

なお、横浜市の各福祉健康センター生活支援課(区役所)の連絡先は、以下の通りです。

・鶴見区役所   生活支援課:〒230-0051 横浜市鶴見区鶴見中央3-20-1 /045-510-1782
・神奈川区役所  生活支援課:〒221-0824 横浜市神奈川区広台太田町3-8/045-411-7103
・西区役所    生活支援課:〒220-0051 横浜市西区中央1-5-10/045-320-8407
・中区役所    生活支援課:〒231-0021 横浜市中区日本大通35/045-224-8248
・南区役所  生活支援課:〒232-0024 横浜市南区浦舟町2-33/045-341-1203
・港南区役所   生活支援課:〒233-0003 横浜市港南区港南4-2-10/045-847-8404
・保土ケ谷区役所 生活支援課:〒240-0001 横浜市保土ケ谷区川辺町2-9/045-334-6314
・旭区役所    生活支援課:〒241-0022 横浜市鶴ヶ峰1-4-12/045-954-6069
・磯子区役所   生活支援課:〒235-0016 横浜市磯子区磯子3-5-1/045-750-2405
・金沢区役所   生活支援課:〒236-0021 横浜市泥亀2-9-1/045-788-7814
・港北区役所   生活支援課:〒222-0032 横浜市大豆戸町26-1/045-540-2329
・緑区役所    生活支援課:〒226-0013 横浜市緑区寺山町118/045-930-2318
・青葉区役所   生活支援課:〒225-0024 横浜市青葉区市ヶ尾31-4/045-978-2446
・都筑区役所 生活支援課:〒224-0032 横浜市都筑区茅ケ崎中央32-1/045-948-3211
・戸塚区役所   生活支援課:〒244-0003 横浜市戸塚区戸塚町16-17/045-866-8431
・栄区役所    生活支援課:〒247-0005 横浜市栄区桂町303-19/045-894-8400
・泉区役所    生活支援課:〒245-0024 横浜市泉区和泉中央北5-1-1/045-800-2305
・瀬谷区役所   生活支援課:〒246-0021 横浜市瀬谷区二ツ橋町190/045-367-5705

ご遺体の搬送

生活保護受給者が亡くなった場合、病院や施設からご遺体の引き取りが必要になります。身寄りの無い方や引き取り手の無い方は、病院や施設と提携している葬儀会社に連絡が入り、ご遺体の引き取りが実施されることが一般的です。ご家族がいる場合は、引き取ってもらうことになります。

その後、故人様のご遺体を、霊柩車でご自宅または安置所へ搬送する流れです。なお、葬儀会社によっては福祉葬を承らない方針のところもあるため、対応しているかどうか事前に確認しておきましょう。

ご遺体の安置

葬儀会社のスタッフがご遺体を棺に納め、ご自宅または安置所に、火葬まで安置します。このとき、ご遺体に死装束などを着せる場合は、事前の調整が必要です。また、火葬までの日数が長い場合は、ドライアイスでご遺体が傷まないように保護しなくてはいけません。

葬祭扶助の金額が自治体によって定められているため、福祉葬は火葬式(直葬)と呼ばれる火葬場のみでのお別れが推奨されています。ただし、宗教上の理由などによって変更したい場合は、担当する葬儀会社へ相談してみましょう。

出棺

葬儀会社のスタッフによって、ご遺体をご自宅や安置所から火葬場へ搬送します。

火葬

ご遺体を火葬し、骨壺で収骨を行います。ご遺骨の引き取り手がない場合は、一定期間自治体で保管後、無縁塚へ合同埋葬されることが一般的です。

法律によって、故人様が亡くなってから24時間以上経過していなければ、火葬はできません。また、ケースワーカーの確認や役所決裁など、葬儀までに時間がかかることも予想されます。そのため、ゆとりを持った葬儀日程になることが一般的です。

なお、収骨については以下の記事で詳しく解説しているので参考にしてみてください。

関連記事:「葬時のお骨上げのマナーとは?地域によって異なる場合も」

福祉葬の費用相場

福祉葬を実施する場合、ご遺族に金銭的負担は発生しません。厚生労働省の生活保護法による保護の基準表によると、葬祭扶助の金額は以下の通りです。

・葬儀費用  :\212,000以内(葬儀代金・火葬費用・ご遺体処置)
・遺体運搬費用:\7,480以内

参考:厚生労働省/生活保護法による保護の基準表(令和4年4月~)

ただし、自治体によって葬祭扶助の金額は異なるため、申請時に確認しておきましょう。

まとめ

故人様が生活保護受給者の場合や、そのご家族が生活保護受給者の場合、福祉葬と呼ばれる葬儀を行うことになります。自治体が葬儀費用を負担してくれるため、最低限の葬儀を執り行うことが可能です。本記事の内容が、福祉葬を進めるための一助になれば何よりです。

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