火葬時のお骨上げのマナーとは?地域によって異なる場合も

2022.04.06

葬儀の後、故人様のご遺体を火葬した後、お骨上げ(おこつあげ)と呼ばれる儀式が執り行われることが普通です。葬儀のタイミングは突然訪れます。そのため、お骨上げの知識を持たないまま、儀式に参加される方も多いでしょう。

しかし、お骨上げには儀式に参加するうえでのマナーや、地域差などもあります。事前にお骨上げに関する知識を習得して、いざというときに適切な対応ができる準備をしておくことがおすすめです。

そこで今回は、火葬時のお骨上げのマナーや地域ごとの差などを紹介します。

火葬の後に行われるお骨上げとは

まず火葬後のお骨上げがどのような儀式なのか理解を深めるために、概要と箸に込められた意味を解説します。

そもそもお骨上げとは

お骨上げは、故人様のご遺体を火葬した後、ご家族やご遺族などがご遺骨を箸で拾い上げて、骨壺へ納める儀式です。なお、お骨上げは「収骨」と呼ばれることもあります。

宗教上の事情もあり土葬が多い海外の葬儀では、お骨上げはほとんど見られません。そのため、お骨上げの儀式は日本独自の風習といえるでしょう。

箸に込められた意味とは

お骨上げに使われる箸には、故人様があの世へ渡るための「三途の川の橋渡し」という意味が込められているといわれています。

またお骨上げには、2本の長さが違う箸や、木製と竹製など素材が違う箸が使われる点も特徴です。これらには互いに接ぎ木ができないという意味があり「故人様との決別やお別れ」を表すものだといわれています。

一方で我が国では、自分の箸でほかの方の箸へ料理を渡す「橋渡し」や「合わせ箸」、また素材の違う箸を使う「違い箸」が食事における禁止事項とされています。これには日常生活の反対である死後の世界を逆さごとに捉え、不幸を遠ざけるという意味が込められているそうです。

お骨上げの地域差

お骨上げには地域差があり、大きく西日本と東日本でやり方が異なります。それぞれの違いについて解説します。

西日本と東日本の違い

西日本と東日本では、お骨上げの方法に大きな違いがあります。

まず西日本は、故人様の遺骨を一部のみ骨壺へ納める「部分収骨」でお骨上げを実施することが一般的です。これに対して東日本では、故人様の遺骨をすべて納める「全収骨」でお骨上げが行われます。なお、分収骨の際に残ったご遺骨は、火葬場で供養されますのでご安心ください。

また、納めるご遺骨の量の違いから、西日本では3~5寸程度、東日本では6~7寸程度の骨壺が用いられることが普通です。ちなみに、どの地域までが分収骨か全収骨かという境目がはっきりしておらず、東海地方周辺では両方が混在しています。

お骨上げをしないことも可能

西日本の一部地域では、お骨上げをしないことを選択できる火葬場が存在します。

多くの火葬場において、お骨上げをすることが原則です。しかし、大阪市や堺市など、部分収骨を行う一部地域にある火葬場では、ご家族やご遺族が収骨をしない選択肢が存在する場合があります。

お骨上げをしない理由はさまざまですが、経済的な理由や故人様との関係性が薄いケースなどが多いようです。喪主もしくは死亡届を出した方が申請書に署名と押印をすることで、「お骨上げをしない=収骨拒否」が認められ、火葬場側でご遺骨を供養してもらえます。ただし、手続き後の取り消しはできないため、慎重に判断しなければいけません。

各自治体のホームページ上には「火葬場条例」が掲載されており、その中には「焼骨の引取り(収骨)」についての記載があります。そちらを確認しておけば、お骨上げをしないことが可能かどうか確認できるでしょう。

ただし、部分収骨ができる地域の境界線は曖昧なため、お骨上げをしない選択を希望する場合は、事前に火葬場や葬儀会社へ相談して確認することをおすすめします。

お骨上げの手順とマナー

お骨上げをする前には、火葬の手続きが必要です。また、お骨上げの手順と順番にはルールがあります。火葬の手続きに関する大まかな流れと、お骨上げの手順と順番を解説するので、この機会に覚えておきましょう。

火葬の手続き

火葬を行うためには、市役所などに赴き、火葬許可証と呼ばれる書類を発行してもらう必要があります。

火葬許可証は故人様の死亡届を区役所などへ出す際、火葬許可証申請書に必要事項を記入することで発行してもらうことが可能です。なお、死亡届の提出と火葬許可証の発行手続きは、葬儀会社へ依頼することで代行してもらえます。喪主様やご家族は葬儀の準備や手続きなどで多忙になるため、葬儀会社へ相談することがおすすめです。

火葬場に着いたら、喪主様が受付で火葬許可証を提出します。火葬が終わった後、火葬許可証に証明印が押され、埋葬許可証になって戻ってきます。埋葬許可証はご遺骨をお墓へ納めるために必要な書類です。大切に保管しておきましょう。

なお火葬の後、お骨上げに参加できるのは、故人様との関係が深い方のみに限定されます。

お骨上げの手順

お骨上げを行う手順は、男女1組のペアになり、1つの骨を共同で拾い上げる方法か、1人の方が拾い上げた骨を、もう1人の方に箸で渡して骨壺へ納める方法のいずれかになります。

ご遺骨は足元からはじめ、腕→腰→背骨→肋骨→歯→頭蓋骨と身体の上部へ向けて拾い上げます。そして、頭蓋骨を拾い上げた後、喉仏の骨を拾い上げたら、お骨上げの儀式は終了です。

なお、骨壺の一番底に足の骨が納まるようにしますが、これは死後も生前と同じ姿になってもらうという願いが込められています。また、喉仏はその形が仏様の座禅姿に似ていることから、このように呼ばれており、最後に拾い上げることが一般的です。ただし、お骨上げで拾い上げる骨の量や拾い方には地域差があるため、葬儀会社や火葬場の係員などに確認しておきましょう。

お骨上げをする方の順番

お骨上げを行う方の順番は、故人様との関係性によって決まります。そのため、故人様ともっとも関係性が深い喪主が、最初にお骨上げをすることが原則です。その次に、ご遺族→ご親族→故人様の友人や知人という順番でお骨上げを執り行います。

お骨上げ後と分骨の注意点

無事に故人様のご遺骨のお骨上げが終了した後、喪主様が骨壺を持って帰宅します。その後、分骨やお墓への埋葬という流れになりますが、いくつか注意点があるので解説します。

お骨上げ後の流れ

お骨上げが終了すると、白い布に包まれた骨壺が火葬場の係員から手渡されます。このとき証明印が押された火葬許可証である埋葬許可証が、包に同梱されていることが一般的です。

埋葬許可証がない場合、お墓などへの納骨ができなくなるので、大切に保管しておきましょう。また、分骨を希望する場合は、事前に別の骨壺を準備しておく必要があります。さらに、火葬後、すぐに分骨したい場合には分骨証明書が必要になるので、火葬場で手配が必要です。

近年はご遺族が遠方に住んでいるケースも多いため、分骨をする機会が増えています。そのため、分骨を希望する場合は、事前に葬儀会社へ相談しておくとスムーズでしょう。

お骨上げの心づけが必要な場合も

地域によっては、お骨上げを実施した火葬場の係員に心づけを支払う場合があります。あくまでも心づけなので絶対に支払う必要はありませんが、地域の慣例にならっておくのが無難でしょう。そのため、事前に葬儀会社のスタッフに、心づけが必要か否かについて確認しておくことをおすすめします。

なお、心づけを支払う場合は、係員1名につき3,000~5,000円程度が相場です。

埋葬許可証について

先ほど解説した通り、火葬場へ提出した火葬許可証は、火葬後に埋葬許可証になって戻ってきます。ご遺骨をお墓や納骨堂などへ納めるためには、埋葬許可証が必要です。そのため、納骨が可能になる四十九日法要以降まで、大切に保管しなくてはいけません。

埋葬許可証を紛失すると、納骨できなくなる可能性があります。くれぐれも埋葬許可証をなくなさないように注意しましょう。

まとめ

故人様のご遺体を火葬した後、ご家族やご遺族が二人一組になって箸で骨を拾う、お骨上げは、海外の葬儀では見られない日本独特の風習です。お骨上げの方法は西日本が部分収骨、東日本が全収骨など、地域ごとに差があります。

火葬をする際には、火葬許可証の手配が必要です。火葬許可証は火葬後に、ご遺骨を納骨するために必要な書類である埋葬許可証になります。ご遺骨をお墓や納骨堂へ納められるのは四十九日法要後になるため、なくさないように大切に保管しておきましょう。

なお、お骨上げの手続き代行や地域ごとのルールなどについては、葬儀会社のスタッフに相談すれば教えてもらえます。

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