コラム「葬儀の打合せ(前編)」~打合せの始まりから火葬場の決定まで~

2023.10.26

皆さまは葬儀の打合せがどのようなものかをご存知でしょうか?

おそらく、大多数の方が「知らない」と答えられると思います。喪主、または施主を務めたことがある方や、一親族として同席された方の場合も「よく覚えていない」と答えることが多い印象です。

そこで今回は、葬祭ディレクターとの打合せでは、具体的にどのようなことを聞かれ、何が必要で、何を決めていくのかなどについて、前後編に分けてご紹介します。

全編にあたる本記事では、葬儀の打合せの始まりから火葬場を決めるところまで解説します。

葬儀の打合せの始まり

まず、葬儀の打合せはいつ、どこで行われるのでしょうか?

ほぼすべての葬祭ディレクターは「故人様のご安置が終わったら、その場所で速やかに」と案内するでしょう。場合によっては、お迎え先の病院や施設で行う場合もあります。

打合せを急ぐ理由は、火葬場や式場の予約が早い者勝ちであるためです。ただし、例外もあります。例えばご逝去が深夜帯の場合、ご遺族はお疲れの場合がほとんどであるため、夜が明けてから日中に行うことも多いです。状況や体調を考慮して、打合せの時刻を決めましょう。

なお、葬祭ディレクターの詳細については、以下の記事をご参照ください。


関連記事:『葬祭ディレクターとはどのような資格なのか?試験内容と合格率、受験対策などを解説』

打合せに必要な時間

葬儀の打合せは冠婚式の打合せとは異なり、1度きり、かつ1~2時間程度の打合せで、多くのことを決めなければいけません。理由は、葬儀までの日数が少ないためです。

上図は2019年~2020年における、故人様が亡くなってから葬儀までの平均日数を示したものです。月によって若干変動はありますが、おおむね3~4日程度が平均だといえるでしょう。

ちなみに、葬儀までもっとも日数がかかるのは、神奈川県というデータもあります。

法律により、死後24時間が経過するまで火葬はできません。しかし逆を言えば、それ以降であれば、いつでも火葬できます。時期や地域よって異なりますが、ご逝去された翌日に葬儀というケースもあります。

したがって打合せの際には、適切な判断・決定を行う集中力が必要です。

打合せの参加者

葬儀の打合せに参加するのは施主、または施主を兼任している喪主が、ご遺族代表として臨むことが一般的です。もちろん、ご遺族やご親族が同席することも可能ですが、決定権はあくまで施主にあります。

なお喪主と施主の違いは、以下のとおりです。

・喪主=故人様ともっとも関係性の深いご遺族・ご親族
・施主=葬儀の段取りや支払いを行うご遺族・ご親族

一般的に喪主と施主の両方をたてることは少なく、喪主が施主を兼任することがほとんどでしょう。喪主が高齢、または若すぎる場合や、憔悴しており葬儀を取りまとめることが難しい場合などには、施主をたてます。

菩提寺の有無を確認

菩提寺とは、先祖代々お付き合いしている寺院のことです。菩提寺の有無は、葬儀の支軸を決めるにあたって非常に重要な要素といえます。そのため、打合せの最初に、菩提寺の有無を確認するディレクターは非常に多いです。

菩提寺がある場合

葬儀においてもっとも重要なものは何でしょうか?

故人様の生前の意思、それとも喪主やご遺族など、さまざまな意見があると思います。実は、葬儀においてもっとも重要なのは、僧侶です。

葬儀とは葬送儀礼の略であり、宗教儀式です。したがって、儀式を司る僧侶がもっとも重要であるといえるでしょう。それが菩提寺の僧侶であれば、なおさらです。

厳粛な僧侶の場合、直葬や1日葬を認めていなかったり、葬儀場や日時を指定されたりすることもあります。つまり、ご遺族の希望する形では葬儀を執り行えない可能性があるわけです。

まず菩提寺様に連絡して、相談・指示を仰ぎましょう。このとき、菩提寺の都合が合わない日程も聞いておきましょう。葬儀の日程を決めるにあたり、非常に重要な要素であるためです。

菩提寺がない場合

菩提寺を持たない場合は、どのような形式の葬儀でも執り行えます。また、希望があれば葬儀会社に、僧侶の手配を依頼することも可能です。葬儀会社が手配する僧侶は、比較的融通がきく傾向はあるため、日程はもちろん、著しく仏教の原理・原則を外れない限り、ご遺族の意向に沿ってくれるでしょう。

なお、お布施の金額は僧侶によって異なるため、事前に葬儀会社に確認しておくと安心です。

菩提寺の詳細については、以下記事の内容もご参照ください。

関連記事:『菩提寺とは?檀家になるメリットやわからないときの対策などを紹介

葬儀のプランを決定

近年は、各葬儀会社がさまざまなプランを打ち出していますが、大きく以下4種類のプランにわけられます。

・一般葬
・家族葬
・1日葬
・直葬・火葬式

支軸となる重要が部分ですので親族間でよく話し合いニーズにあったものを選びましょう。菩提寺がある場合はお坊さんの意向も考慮しましょう。なお、弊社で調査したデータによると、近年は直葬と1日葬を選ぶケースが多いです。

ここでは、それぞれのプランについて確認しておきましょう。

一般葬

ご遺族やご親族、ご親戚をはじめ、一般の方(会社・町内・友人など)も通知・参列することが可能な葬儀プランが一般葬です。お通夜と葬儀を、2日間で執り行います。

コロナ禍において、一般葬を執り行うケースは激減しましたが、令和5年5月8日に5類感染症に認定された以降は、その件数は回復傾向です。ただし費用が高額であることや、準備や参列者への接待など、ご遺族の負担も大きいため現代のニーズに合わず、一昔前のように主流の葬儀とはいえません。

家族葬

ご遺族やご親族、ご親戚のみ参列するプランが家族葬です。こちらのプランも、お通夜と葬儀を2日間で執り行います。

家族葬はコロナ禍によって注目を集め、件数が一気に増えました。一般参列者への接待が必要なく、近親者のみで穏やかに故人様との最後を過ごせるところが好評のようです。接待費が抑えられる分、一般葬より安価に執り行えます。

1日葬

1日葬は、ご遺族やご親族・ご親戚のみが参列するプランである点は家族葬と同様ですが、お通夜を省略し葬儀のみを執り行う点が違いです。こちらもコロナ禍により注目を集め、件数が一気に増えました。

少子高齢化の影響によって、参列するご親戚は高齢者が多くなり、身体的負担を考えてお通夜を省略したいという意向が強くなったことが、1日葬が選ばれている理由のようです。また1日葬は、家族葬に比べ若干安価に執り行えます。

1日葬については、以下記事の内容もあわせてご確認ください。

関連記事:『近年、増えている一日葬とは?大まかな流れやメリット・デメリット、費用相場などを解説

直葬、火葬式

式場などでのお通夜・葬儀を行わず、限られたご遺族、ご親族、ご親戚のみが火葬場にてお別れを行うプランが直葬、火葬式です。こちらがもっともシンプル、かつ安価な葬儀プランだといえます。

無宗教や費用面を理由に選ぶ方もいますが、参列者が数人しかいない、生前における故人様の遺志、時間的拘束の短さなども、直葬、火葬式を選ぶ理由として挙げられます。また、短時間ではありますが、火葬炉前で僧侶に読経してもらうことも可能です。

なお火葬式については、以下の記事もご参照ください。

関連記事:『火葬式(直葬)の流れとは?メリット・デメリットや火葬場の選び方も紹介

式場・火葬場・日程の決定

式場と火葬場の日程予約は、並行して行われることが一般的です。葬祭ディレクターがご遺族の要望と空き状況を考慮し、最短で葬儀を実施できる日程、ならびに式場と火葬場を調べます。

ここでは、どのような要望を葬祭ディレクターに伝えれば、より希望にあった提案をしてくれるのかをご紹介します。

式場、火葬場の要望

式場、および火葬場の要望を伝える際には、以下のポイントを押さえることが大切です。

・距離
・おおよその参列人数
・設備

ここでは、それぞれのポイントを確認しておきましょう。

距離

自宅からの距離、駅からの距離、火葬場からの距離など、どこからの距離を優先したいのかを葬祭ディレクターに伝えましょう。

おおよその参列人数

各式場には推奨される参列人数や、上限の人数が決められています。おおよその参列人数を伝えておくことで、より適切な規模の式場を提案してくれるでしょう。

設備

式場や火葬場ごとに、備わっている設備は異なります。特に、気にする必要があるポイントは「バリアフリー」「宿泊の可否」「駐車スペース」の3つです。状況や要望を葬祭ディレクター伝え、可能な限り希望した設備の整った式場を提案してもらいしょう。

【TIPS】式場利用料は別料金!?

基本的に、式場利用料は別料金です。葬儀プランの基本料金の中に式場使用料が含まれている葬儀会社もありますが、金額に上限が設定されていたり、自社式場に限られたりします。したがって、葬祭ディレクターに提案された式場の利用料はしっかりと確認しましょう。

【TIPS】各種式場の違い

葬儀を行う会場は、おもに以下の3種類です。

・公営式場
・民営貸し式場
・葬儀会社の自社斎場

ここでは、各会場にどのような特徴があるのかを解説します。

公営式場

自治体が管理・運営している式場が、公営式場です。利用料は非常に安価ですが、利用するためには、死亡時の住民登録地が自治体の定める地域である必要があります。非常に人気が高いため予約は取りづらく、時期によっては1週間以上の待ちになることもあるでしょう。

民営貸し式場

民営貸し式場とは、首都圏などでよく見られる民間(寺院や民営墓地)が管理・運営している斎場です。公営斎場に比べると予約はとりやすいですが、利用料は割高なため注意しましょう。

葬儀会社の自社斎場

葬儀社が管理・運営している式場もあります。利用料は葬儀会社によって多種多様です。例えば、プランに含まれているところもあれば、別途費用が発生する場合もあります。

式場数が多いため「駅から近い」「自宅から近い」など、希望に添える場所の式場が見つかりやすい点はメリットです。ただし利用する場合は、その葬儀社に葬儀も依頼しなければいけません。

火葬場の決定

式場に比べ火葬場は数が少ないため、スムーズに決められるでしょう。一般的には、故人様が住んでいた地域の自治体が管理・運営している公営火葬場を選ばれるケースがほとんどです。たとえば横浜市民の場合、横浜市営久保山斎場、北部斎場、南部斎場、戸塚斎場が対象になります。

対象地域外の火葬場を選ぶことも可能ですが、対象地域民優先のため予約が取りづらく、また費用も対象地域民料金の3~5倍は必要です。

神奈川・横浜の火葬場については、以下の記事で詳細をご確認ください。

関連記事:『神奈川県の火葬場とは【横浜、川崎、横須賀】』

関連記事:『横浜市の火葬場とは?日程の決め方や選ぶ基準、必要なものを紹介』

まとめ

葬儀の打合せは、大切な方を亡くし、心身共にお疲れの中での実施となります。また、打合せを担当する葬祭ディレクターが、必ずしもベテランとは限りません。そのため、重要な項目を事前に把握し、適切に希望を伝えることは非常に重要です。

本コラムが、後悔や失敗のない故人を送るに満足な葬儀を執り行える一助になれば何よりです。

横浜市や川崎市で葬儀を行う際には、実績豊富なお葬式の杉浦本店にご相談ください。横浜市、川崎市における多くの葬儀実績があります故人様やご家族、ご親族の気持ちに寄り添った葬儀プランをご提案いたします。

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