葬祭ディレクターとはどのような資格なのか?試験内容と合格率、受験対策などを解説

2022.08.16

信頼できる葬儀社を選ぶ基準のひとつが、葬祭ディレクターの資格を持ったスタッフの存在有無です。葬祭ディレクターの資格を持つスタッフが対応してくれる葬儀会社であれば、比較的安心して葬儀を任せられるでしょう。また、すでに葬儀会社で働いている方は、スキルアップのために取得するのも一案です。

しかし、そもそも葬祭ディレクターの資格がどのようなものなのかご存じの方は少ないと思います。そこで今回は、葬祭ディレクターの資格や仕事、葬祭技能ディレクター技能試験の内容や対策などについて解説するので、参考にしてみてください。

葬祭ディレクターとは

葬祭ディレクターとは「厚生労働省認定 葬祭ディレクター技能審査」と呼ばれる試験に合格することで取得できる資格です。葬祭業に従事する人々の知識・技能の向上を図り、併せて社会的地位向上を図ることを目的として、1996年3月に厚生労働省(当時、労働省)より技能審査として認定を受けた制度といわれています。

葬祭ディレクターには、すべての葬儀が行えるスキルを持つ1級と、個人葬のみを執り行える2級がありますが、受験するためにはそれぞれ一定期間の実務経験が必要です。

葬祭ディレクターの仕事

葬祭ディレクターの仕事は、ご遺族との打合せから葬儀の準備・準備進行、火葬場の手配、会場の後かたづけなど、多岐にわたります。

ご遺族との打合せ後は、短時間でさまざまな調整を行わなくてはいけません。見積りの作成や会場の手配、スタッフやお花、備品などの手配を行い、会場の設営を行った後は、すぐにお通夜やお葬式を進行する必要があります。

また、悲しみに暮れるご遺族の心に寄り添いながら、適宜サポートを行うことも葬祭ディレクターの重要な仕事です。そのため、葬祭ディレクターには、高い提案力やコミュニケーション能力が不可欠でしょう。

さらに、お葬式や火葬が終わった後、四十九日法要などの対応を行うことも珍しくありません。葬儀の仕事は、いつご遺族からの依頼があるかわからないため、深夜などでも迅速かつ柔軟な対応が求められます。

肉体的にも精神的にもキツい部分はありますが、ご遺族から感謝されるなど、普段の生活ではなかなか味わえない体験ができるなど、非常にやりがいのある仕事ともいえるでしょう。

葬儀の仕事に葬祭ディレクターの資格は必須なのか?

結論から言えば、葬祭ディレクターの資格を取得していなくても、葬儀の仕事ができないわけではありません。葬祭ディレクターの資格を社員が一切持っていなくても、葬儀社を運営することは可能です。

したがって「葬祭ディレクターの資格が無い=経験がない、知識がない、信頼できない」とは、一概に判断できません。資格を持っていなくても、ご遺族の想いを汲み取り、ご満足いただいている葬儀会社のスタッフは大勢います。

葬祭ディレクターの資格を取得するべき理由

葬祭ディレクターの資格を取得するには、受験資格として1級で5年(もしくは、2級取得後2年)、2級で2年の葬儀業務における実務経験が求められます。試験内容も、ある程度の時間をかけて勉強や練習をしないと、合格することが難しい内容です。

したがって、葬祭ディレクターの資格を持っていることは、葬儀のプロフェッショナルとして一定の経験や知識を持っていることの証明といえます。つまり、葬祭ディレクターの資格保持者であれば、大切なご家族やご親族の葬儀を相談する相手として、ご遺族から信頼されやすいということです。

ご遺族に葬儀のプロフェッショナルであることを明示できれば、安心して相談してもらえるようになるので、葬儀会社で働くスタッフは積極的に取得するべきでしょう。

葬祭技能ディレクター技能試験の内容と合格率、受験対策

葬祭ディレクターの資格を取得するためには、葬祭技能ディレクター技能試験に合格しなくてはいけません。同試験の内容と合格率、受験対策について解説します。

葬祭技能ディレクター技能試験の内容

葬祭技能ディレクター技能試験は1級、2級ともに、試験内容が学科試験と実技試験に分かれます。

学科試験はマークシート選択式で、葬儀や宗教、公衆衛生、遺族心理などについて知識を問う内容が中心です。設問数は正誤判定問題と多肢選択問題がそれぞれ50問ずつの合計100問で、解答時間は50分となっています。1問2点の200点満点です。

一方、実技試験は「幕張」「司会」「接遇」「実技筆記」という4つの項目に分かれるため、項目ごとに解説します。

幕張

出典:葬祭ディレクター技能審査協会HP

幕張(まくはり)とは、テーブルに白い幕を画鋲で貼り、焼香用の台を装飾するという実技試験です。

幕張は式場設営時に使われる伝統的、かつ基本的な技術で、7分間で実技試験が行われます。
試験会場には、上図のような焼香台が準備されており、配布された布を使って実技試験に臨む形式です。

接遇

接遇とは、葬儀の打合せを想定した言動を審査する実技試験です。ご遺族に初めてお会いしたときの挨拶や自己紹介、要望の確認などを審査します。

一見、初歩的なビジネスマナーのようにも思えますが、大切な方を亡くしたご遺族と応対するうえで、ちょっとした言動が相手に大きく影響を与えることを考慮しなくてはいけない非常に重要な内容です。なお、接遇の実技試験は2分間で行われます。

司会

司会とは、葬儀の式進行における司会の審査を行う実技試験です。発声が聞き取りやすいか、式の流れを把握しているかといった項目に加え、自由課題という即興的に与えられた情報からアナウンスする項目もあります。

ただし、昨今の新型コロナウイルスの影響により、小規模の葬儀を行うご家族が増える中では、葬儀実務における司会の重要性はやや低下気味といえるでしょう。司会の実技試験は6分間で行われます。

実技筆記

実技筆記は実技試験の中に含まれていますが、実技ではなくマークシート選択式の筆記試験です。

同じ筆記試験である学科試験との違いは、学科試験が知識を問う内容であるものに対し、実技筆記は実際の葬儀やご遺族と応対する場面を想定して、適切な言動を選択肢から選ぶものであることです。つまり実技筆記は、知識や経験をもとにした応用問題ともいえます。

実技筆記の設問数は60問で、試験時間は30分間です。

葬祭ディレクター技能試験の合格率と資格保持者の数

葬祭ディレクター技能試験の合格率は、年によってバラツキはありますが、初年度からの通算で1級が60%程度、2級が70%程度だそうです。ちなみに、2級に合格していない方でも、実技の年数を満たしていれば1級を受験できます。

一方、葬祭ディレクター技能試験のホームページによると、1996年の試験開始から毎年1回試験が実施され、これまでに累計37,085人(1級:19,130人、2級:17,955人)の葬祭ディレクターが認定されています。また、葬儀業に従事する方の4割以上が資格保持者ということです。

そのため、葬儀業界における資格として、葬祭ディレクターはもっとも信頼性や存在感の高い資格といえます。

参考:葬祭ディレクター技能審査協会HP

葬祭技能ディレクター技能試験の受験対策

葬祭ディレクター技能試験の受験対策としては、参考書や問題集を使って勉強する方法が一般的です。実務経験が必要になるため、葬儀会社で働きながらスキルアップを目指して取得を目指す方が多いでしょう。

なお、葬祭ディレクター技能審査HPで、おすすめの参考書や問題集が紹介されているので、こちらを購入するのが得策といえます。

また、葬祭技能ディレクターを目指す方向けの専門学校もあるので、そちらへ通うのも一案です。葬儀業界の実務経験がない方は、知識とスキルを一気に身につけられ、さらに葬儀会社への就職もしやすくなるので、検討する余地は十分あるでしょう。

参考:葬祭ディレクター技能試験HP/参考書・問題集のご紹介

葬祭ディレクターの平均年収

葬祭ディレクターの年収は400~500万円程度が平均といわれています。ただし、葬儀会社や地域によっても差があるため、この限りではありません。

スキルアップや独立した葬祭ディレクターの中には年収1,000万円以上の方もいるようなので、多くの経験を積むことで年収アップを目指せるでしょう。そのためには、個人葬だけでなくすべての葬儀の業務に携われる葬祭ディレクター1級の資格を取得しておきたいところです。

まとめ

葬祭ディレクターの資格は、葬儀業界の知識や経験の証明になることは間違いないでしょう。しかし、それだけで安心せずに、事前相談でしっかり見極めることが大切です。

経験や知識さえあれば、葬儀の良き相談相手と判断できるかと言われれば、必ずしもそうとは言いきれません。葬儀に限ったことではありませんが、専門知識は使い方によって、毒にも薬にもなるからです。例えば、専門性を活かして、ご遺族にとって適切な提案をすることも可能ですし、逆に相手の無知につけこんで騙すようなこともできます。

そのため、できるだけ多くの葬儀実績があり、信頼できる葬儀会社に事前相談するのがおすすめです。なお、横浜市や川崎市で葬儀行う場合には、実績豊富な弊社、お葬式の杉浦本店にぜひご相談ください。創業130年の信頼と安心が自慢です。

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