葬儀のマナーを知っておきたい!礼儀作法と服装について解説

2022.03.01(最終更新日:2022.03.14)

故人様との最後のお別れの場である葬儀は、正しいマナーで参列したいものです。しかし、葬儀は頻繁に行われるものではないので、正しいマナーを知らないという方も多いでしょう。

そこで今回は、知っておくべき葬儀のマナーについて、礼儀作法や服装なども含めて解説します。急に葬儀へ参列しなくてはいけなくなったときに焦らないよう、この機会に覚えておきましょう。

葬儀の参列時に持参するべきもの

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葬儀に参列する際には香典と数珠を持っていくことがマナーです。それぞれについて、どのように準備するべきなのか解説します。

葬儀における香典のマナー

葬儀に参列する際には、香典の準備も必須です。香典袋はコンビニや100均で購入できます。

ただし、香典袋は結婚式の祝い事などに使用するものもありますので、葬儀に適したものを選択しましょう。また、水引きが印刷されている香典袋が増えていますが、その際は「蝶結び」のものは避け、「結び切り」といわれる堅結びのものを持参するのが葬儀のマナーです。

香典袋の表書きは宗派によって違いはありますが「ご霊前」と書くのが無難でしょう。本来は「薄墨」で書くのがマナーですが、筆ペンやサインペンで書いても問題ありません。

香典の金額は、故人との関係性の深さによって異なります。3,000~10,000円程度が相場といわれており、親戚などの場合は30,000~100,000円の場合もあるようです。故人とのお付き合いの度合いに応じて判断しましょう。

なお、香典袋の選び方については以下の記事も参考にしてみてください。

香典袋は包む金額で選ぼう!種類や書き方も紹介

葬儀における数珠のマナー

葬儀に参列する際には、数珠を持参しましょう。数珠は宗派によって若干形状などが異なる108個の玉で構成された本式のものと、玉の数が少ない略式のものがありますが、略式のもので問題ありません。

数珠の持ちかたは、以下の2種類があります。

・数珠を両手にかけて親指で押さえながら合掌する
・数珠を左手にかけて右手を添える

ただし、宗派や地域によって作法が異なる場合もあるため、事前に葬儀社などへ確認しておくと安心です。なお、数珠は100均などでも購入できますが、社会人のたしなみ、および故人様への礼儀として、きちんとした数珠を購入しておくべきでしょう。

葬儀の参列時に注意するべきマナー

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葬儀に参列する際の基本的なマナーやお悔みの言葉、忌み言葉を解説します。社会人として適切なふるまいをするためにも、きちんと確認しておきましょう。

ご遺族への気遣い

葬儀へ参列する際には、ご遺族の心情や体調を気遣った対応を心がけましょう。大切なご家族を亡くしたご遺族の精神的な負担は計り知れません。長時間の慰問はご遺族の負担になる可能性が高いので、故人と自分の関係性とお悔みの言葉を端的に告げることが大切です。

また、葬儀は多くの方が参列されるため、会場が混乱している可能性もあるので、周囲にも気を配って適切な対応をとるように心がけましょう。

お悔みの言葉に関するマナー

葬儀に参列してご遺族とあいさつをする際には、まずお悔みの言葉を伝えます。お悔みの言葉としては「この度はご愁傷様でした」「心よりお悔みを申し上げます」などが一般的です。声のトーンを抑え、ご遺族の負担にならないように手短に済ませましょう。

ただし、キリスト教の場合は前述したお悔やみの言葉が不適切とされるなど、宗教や宗派によって適切な言葉が異なる場合があるため、事前に確認しておくことをおすすめします。また、葬儀の受付で世話係の方にお香典を渡す際にも、お悔みの言葉を伝えるようにしましょう。

葬儀参列時の会話のマナー

葬儀に参列する際には、忌み言葉や重ね言葉を使わないように気を付ける必要があります。

忌み言葉とは、葬儀の場などで縁起が悪いことを連想させる言葉です。例えば「追って」「消える」「浮かばれない」などの言葉が挙げられます。また、直接的に死を連想させる「急死」「生きていた頃」などの言葉も忌み言葉とされているため、これらも使わないようにしましょう。

一方、重ね言葉とは「不幸が重なる」ことを連想させる、繰り返しや連続を意味する言葉です。例えば「度々」「しばしば」「重々」「くれぐれも」などの言葉が挙げられます。

忌み言葉や重ね言葉は宗派などによってルールが異なりますので、こちらも事前に確認しておくと安心です。忌み言葉や重ね言葉は会話でつい使ってしまいがちですが、知識のある方が聞くと快く思われないため、どのような言葉が該当するのか正しい知識を身につけておく必要があるでしょう。

葬儀における服装のマナー

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葬儀に参列する際の服装は、喪服が無難です。しかし、一口に喪服と言っても、細かい服装のマナーや男女の差、子どもの場合など、知っておくべきことも多いでしょう。本章では、喪服の歴史を紐解きつつ、葬儀の服装のマナーについて解説します。

喪服の歴史

葬式と聞くと、多くの方が例外なく「黒」を想像されると思います。現在、喪服は完全に黒になっていますが、基本的に日本の喪服は白でした。

日本において「葬式=黒い服」になったのは昭和40年代半ば頃で、歴史的にはまだまだ浅いようです。そもそも江戸時代までは、日本の喪服は白と決まっていました。しかし、明治維新後、西洋かぶれだった新政府がイギリス政府に喪服の色を尋ねたところ「黒かグレー」だったことから、それに合わせたことが黒い喪服の始まりだといわれています。

また、当時「冠婚葬祭の礼儀・作法」という書物がベストセラーになりました。某既製服メーカーが「冠婚葬祭これ1着で大丈夫」というような、大変ユニークなキャッチコピーで発売した男性用「黒の略礼服」が爆発的に売れたことで、やがて婦人用にも飛び火したようです。それ以来、日本の葬式は男性も女性も黒一色に統一されました。

現在でも葬儀では、故人を偲ぶ気持ちを表すため、喪服を着用することがマナーとされています。ただし、男女や喪主、親族、子どもなどによっても注意するべき点が異なるため、以下で詳しく解説します。

喪服のマナー(男性)

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男性は清潔感のある身だしなみを心掛けましょう。服装は無地で光沢のないブラックスーツかダークスーツなどの準喪服を着用します。ビジネススーツとして売られている光沢のあるものとは異なるので、喪服として使えるスーツを選ぶようにしましょう。

ジャケットのボタンはシングル、ダブルどちらでも構いません。ワイシャツは白で、ネクタイ、ソックス、靴は黒で統一します。金のバックルのベルト、金属製の腕時計、金ボタンなど光るものは控えましょう。

靴は革靴が基本で、つま先の形はストレートチップのものが無難です。また、和装の紐を結ぶところの形は、より上品な印象を与える内羽根式が好ましいでしょう。

参列時の持ち物について、男性はカバンを持たないことが一般的です。カバンを持つ場合は、カバンの素材にも注意しましょう。原則として布製の黒無地で、ファスナーや大きな金具のついていないものを選びます。ワニ革や爬虫類を使用したものや光沢、ツヤがある素材もNGです。

ハンカチは明るい色や柄を避け、できれば白か黒などの無地のものを持参しましょう。アクセサリーは結婚指輪のみとし、ネクタイピン、ネックレスなどは外します。

身だしなみに関して、男性のひげはNGではありませんが、伸ばしっぱなしはマナー違反です。ただし、きれいに整えてあれば大丈夫でしょう。長髪の場合はまとめ、清潔感のある格好を意識してください。なお、香水や長い爪はふさわしくありません。

喪服のマナー(女性)

女性の喪服は、正喪服・準喪服・略喪服の3種類があり、それぞれ以下のような特徴があるため、使い分ける必要があります。

・正喪服:最も格式が高い喪服。喪主や親族など葬儀の主催が着用することが一般的
・準喪服:一般的な喪服。参列者や遺族に近い親族が着用
・略喪服:通夜の参列時に着用する喪服。黒や濃紺、グレーなどが多い

喪主や親族で洋装の場合は、光沢のない黒のワンピースやスーツを喪服として着用しましょう。タイトでシンプルなデザインのものを選び、インナーも黒にすることが基本です。和装の場合は、黒無地の染め抜き五つ紋の着物を選びます。帯まわりやバッグなどの小物も黒が必須ですが、半襟や襦袢、足袋は白でも構いません。

一方、参列者は遺族よりも格式が高くならない喪服を着用しないように注意が必要です。したがって、正喪服は避け準喪服を着用します。色は、黒や紺、グレーなどの控えめなものを選びましょう。和装の場合は、無地の一つ紋か三つ紋付きの着物が基本です。ただし、帯は黒を選びます。

お化粧も派手さを抑えた薄化粧が基本で、アクセサリーも結婚指輪や一連のパールネックレス以外は避けましょう。小物も黒で無地のものを選びます。革製のバッグなどは、動物が殺生を連想させるためNGです。また男性同様、金やエナメルなどの派手な装飾は避けます。

子どもが参列する場合

大人と同様、子どもも葬儀にふさわしい服装で参列しなくてはいけません。子どもの喪服、身だしなみのマナーについては、まず控えめな色(黒が望ましい、なければ濃いグレーなど)であり、華美でない格好を心がけます。

もちろん大人ほど気を遣う必要はありませんが、失礼のない服装になるように留意しましょう。

葬儀のマナーは宗教との関係性が深い

カーテンのある部屋

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日本では結婚式は6割以上がキリスト教スタイルで、葬儀は9割以上が仏教で、あげられています。これは全国的にもほぼ同様の傾向です。結婚式はイベント感覚で、葬式は宗教に頼りたいということかもしれません。

近年「葬儀の在り方」が話題になっていますが、先ずは「葬儀の本質」をわきまえるべきでしょう。マナーはその国々の歴史や文化、宗教などに大きく左右されるものです。特に日本の葬式マナーは仏教の知識なくしては語れないものだといえるでしょう。

普段から、信仰や自分が信ずる宗教の大切さを今一度考えておく必要があるのかもしれません。