弔電とは?出し方のマナーを徹底解説

2022.10.04

知人や友人、会社の上司や同僚、取引先の方などが亡くなった際には、弔電(ちょうでん)を出すことが一般的です。弔電にはさまざまなマナーがあることに加え、短い時間で手配する必要があります。

そのため、万が一の場合に備えて、正しい弔電のマナーを覚えておくと安心でしょう。ここでは、弔電がどのようなものなのか、出し方のマナーなどについて徹底解説します。

弔電とは

弔電とは、故人様への哀悼の言葉や、大切なご家族を亡くされたご遺族に宛てる、お悔やみの気持ちを伝える電報です。

遠方に住んでいるため葬儀に参列できない場合や、最近は家族葬が増えたため、ご親族やごく近しいご友人以外の参列を差し控えるケースも多いかもしれません。そのため、弔電という形で、故人様やご遺族に気持ちをお伝えする方が多いです。

一般的に葬儀は突然執り行われるものなので、事前準備ができません。しかし弔電であれば、短時間で手配して、ご遺族に届けられます。

弔電は、大変ナイーブな場面に届けられるものです。間違いのないように気を配る必要があります。故人様の名前をはじめ、喪主を勤める方の名前や宗旨・宗派、葬儀の日時、場所など、さまざまな項目を正しく入力しなくてはいけません。また、基本的に弔電は、喪主宛に葬儀が行われる場所に送ります。

弔電を送る前に確認しておくべきこと

弔電を葬儀会場へ確実に届けるために確認しておくべきことがあります。弔電を送る際には、必ず以下の事項について確認しておきましょう。

弔電の受け取り可否

弔電を準備する場合には、まず喪主に弔電の受け取りが可能かどうかを確認しておきましょう。家族葬などで、そもそも弔電を受け取らないスタンスの喪主もいます。

喪主やご遺族が弔電を受け取らないスタンスの場合には、送らないようにしましょう。

葬儀の日程と場所

弔電の送り先は葬儀会場です。弔電を送る際には、喪主に葬儀会場の場所を確認しましょう。

また、弔電は葬儀で読み上げられる場合があるので、開始前までに届ける必要があります。そのため、お通夜が執り行われる日に届くよう手配すると安心です。

ただし、繁忙期や首都圏など葬儀会場が混雑する場合は、葬儀までに期間が空く可能性もあります。その場合は、弔電があまりにも早く届かないように配慮しましょう。

故人様・喪主様の名前と続柄

弔電の受け取り主は喪主です。故人様の名前で弔電を送ってしまうと、葬儀会場に届かない可能性もあるので注意しましょう。

また、故人様と喪主との続柄によって、敬称が変わる点にも注意が必要です。それぞれの敬称については、後ほど詳しく解説します。

故人様の宗教

弔電を準備する際には、故人様が信仰していた宗教や宗派も確認しておきましょう。宗教によって死の解釈や忌み言葉(詳細は後述)が異なるためです。

そのため、弔電の文面では使えない言葉も存在します。故人様はもちろん、ご遺族への失礼にあたらないよう、故人様がどの宗教・宗派だったのかを必ず確認しなくてはいけません。

弔電の出し方

喪主や故人様の情報を確認できたら、弔電を送付するための手続きを行います。弔電の記入内容と依頼方法を確認しておきましょう。

弔電に記入するべき内容

弔電に記入するべき項目を、それぞれ解説します。

宛名

弔電の宛名は喪主です。喪主の名前を確認して記入しましょう。

例えば、友人のお母様がなくなった場合で、送り手の友人は○○家に嫁いでおり、実家である△△家のお父様が喪主であったとしましょう。その場合、弔電の宛名は直接の友人である○○ 〇〇様ではなく、喪主の△△ △△様です。

もし喪主の名前がわからない場合には、△△家ご遺族様と記載します。ご友人に弔意を伝えたい場合には、「△△ △△様方○○ ○○様」と記入しましょう。

送り先

弔電は、葬儀が行われる葬儀会場へ送ります。寺院や葬儀会社の式場、あるいは火葬場に隣接する式場などが挙げられます。

最近は、火葬式(直葬)と呼ばれる葬儀を行わず火葬のみを行う場合もあるため、お葬式をするかどうかも確認しておかなくてはいけません。お葬式を行わないお見送りであれば、弔電は喪主の自宅に届けるか、前もって葬儀会社に送り、火葬当日に遺族へ渡してもらうように調整が必要です。

なお、火葬式(直葬)については以下の記事で詳しく解説しているので、あわせてご確認ください。

関連記事:「火葬式(直葬)の流れとは?メリット・デメリットや火葬場の選び方も紹介」

関連記事:「横浜市と川崎市の火葬式とは?おもな火葬場や式の流れなどを紹介」

文面

弔電のもっともベーシックな文面は「ご逝去の報に接し、謹んでお悔やみ申し上げます。」などです。故人様が誰であっても、宗旨宗派も問わず使える文面ですが「○○様のご逝去の報に接し……」とすることによって、プライベートな意味合いも加味できるでしょう。

具体的な文面に関しては、各弔電会社にさまざまな文例が用意されているため、故人様との関係や喪主との関係、ご遺族との関係などを考慮して、最適なものを選ぶのがおすすめです。
また、テンプレートにアレンジを加えることで、故人様やご遺族への想いを込めたオリジナルの文章に作り替えることもできます。

弔電に記載する文面の事例をいくつか紹介するので、参考にしてみてください。

●汎用的な弔電の事例
・〇〇様のご逝去の報に接し、心からお悔やみ申し上げます。
・○○様の在りし日のお姿を偲びつつ、ご冥福をお祈りいたします。
・○○様のご逝去のお悲しみに際し、弔問かなわぬ非礼をお詫びするとともに、謹んで哀悼の意を表します。

●エピソードなどを含めた弔電の事例
・親しかった友との別れに接し、大きな悲しみに打ちひしがれています。素敵な思い出をありがとう。どうぞ安らかにお眠りください。
・〇〇様の突然の訃報に際し、言葉を失っております。いつも周囲の方に配慮する優しいお人柄であっただけに、ご遺族の皆様の悲しみは想像に難くありません。お気持ちを強くもたれますようお祈り申し上げます。

●職場の方や取引先の方へ送る弔電の事例
・〇〇様のご逝去を悼み、ご功績をたたえるとともに、心からお悔やみ申し上げます。
・〇〇様のご訃報に接し、弊社社員一同、衷心より哀悼の意を捧げます。

差出人

弔電には、差出人の情報をできるだけ詳細に記入しましょう。喪主が弔電の差出人にお礼状などを送る際、手を煩わせないため、できるだけ詳細に情報を記入しておきます。

差出人の名前や住所だけでなく、学校名や団体名、会社名など所属する団体名も記入しておくことが大切です。

弔電の依頼方法

弔電を送る場合は、取り扱っている業者に依頼します。弔電を取り扱っている主な業者とサービス名は、以下の通りです。

・NTT東日本:D-MAIL
・日本郵便:レタックス
・KDDI:でんぽっぽ
・佐川ヒューモニー株式会社:VERY CARD
・セクションエッグ株式会社:ハート電報
など

「電報といえば電話で」という時代に比べ、電報を取り扱う会社はたくさん増え、インターネットでも注文できるようになりました。

弔電は「台紙代金+文字数」で料金が変動するものと、台紙の代金に文字代金が含まれているものの大きく2種類があります。「台紙+文字数」の場合は、差出人の名前も文字数に含まれるので注意しましょう。

弔電のデザインは多種多様なので、好みの台紙を扱っているかどうかや、予算に合わせて業者を選べます。また支払い方法も、クレジットカード払いやコンビニ後払い、銀行振り込みなど多くの選択肢があり、手数料や送料も各社異なるので確認が必要です。数日前に申し込むと割引がある会社もあります。

受付時間帯によって先方に届く時間も変わるため、訃報を受け取ってから葬儀までの日数が少ない場合には、どの業者であれば間に合うのかを確認することも必要です。土日も配達しているか、どの都道府県に届けられるのかなど、条件によっても届く日時が変わるので、事前に確認したうえで業者を選択しましょう。

弔電の台紙について

弔電の台紙にはさまざまな種類があります。例えば、押し花や刺しゅうのついたものや、袱紗(ふくさ)のついたものなどが一般的でしょう。また、お線香つきのものや七宝がついたもの、漆塗りのもの、プリザーブドフラワーがついたものなど、多くの種類から弔電の台紙を選ぶことが可能です。

弔電のマナー

弔電を送るときには、守るべきマナーがあります。特に忌み言葉と敬称には、注意が必要です。弔電を送るときに守るべきマナーを解説します。

忌み言葉を使わない

弔電には、忌み言葉を使わないことがマナーです。具体的には、重ね言葉と死につながる直接的な表現を避ける必要があります。また、宗教によっても忌み言葉に違いがあるので注意しましょう。

葬儀はとても悲しく、辛いことです。「この悲しみを繰り返さない」「悲しいことは1度きり」という意味で、重ね言葉を使わないのがマナーとされています。

例えば「くれぐれもお力落としのないように」「重ね重ね残念でなりません」といった、繰り返す言葉を使わないのが弔電のマナーです。また、生死を直接表すような「死亡」「死去」「生きる」なども使用してはいけません。「死亡、死去」は「ご逝去」、「生きていた頃」は「ご生前」など、別の言葉で表現する必要があります。

一方、仏教の葬儀は「故人を仏弟子にし、浄土へ送る儀式」とされるため、故人様の魂が浄土へたどり着けないことを連想させる言葉の使用は避けましょう。また「天国」は他宗教の概念になるため、同じく避けるべきです。例えば、「迷う」「浮かばれない」「天国」などの使用は避ける必要があります。

キリスト教や神道の葬儀は「故人が召された場所にいる神への礼拝の儀式」を意味するため、信仰する神以外への祈りを意味する他宗教の用語を使用することは避けましょう。

例えば「ご冥福をお祈りいたします」という表現では、「冥福」が仏教用語のためキリスト教や道教を信仰していた方への弔電には使えません。この他にも「供養」や「成仏」「往生」「弔う」「仏」「合掌」などの使用はNGです。

キリスト教の場合は、故人様が亡くなることを「ご召天」「ご昇天(しょうてん)」「安らかな眠り」といった言葉で表現します。神式の場合は、「霊の安らかなる眠り」や「御霊(みたま)のご平安」などの表現を用いることが一般的です。

適切な敬称を使うこと

弔電に記入する故人様と喪主の敬称は、特別なマナーがあるので注意が必要です。
代表的なものを以下で紹介するので、確認しておきましょう。

・父:ご尊父(そんぷ)様、お父様
・母:ご母堂(ぼどう)様、お母様
・夫:ご主人様、旦那様、ご夫君様
・妻:ご令室(れいしつ)様、ご令閨(れいけい)様、奥方様
・息子:ご令息(れいそく)様、ご子息(しそく)様
・娘:ご令嬢(れいじょう)様、ご息女(そくじょ)様
・祖父:ご祖父様、御祖父(おじい)様、祖父君(そふぎみ)
・祖母:ご祖母様、御祖母(おばあ)様、祖母君(祖母ぎみ)
・兄:ご令兄(れいけい)様、兄上(あにうえ)様、お兄様
・弟:ご令弟(れいてい)様、弟様
・姉:ご令姉(れいし)様、姉上(あねうえ)様、お姉様
・妹:ご令妹(れいまい)様、妹様
・伯父=父母の兄:ご令伯(れいはく)様、伯父上(おじうえ)様
・伯母=父母の姉:ご令伯(れいはく)様、伯母上(おばうえ)様
・叔父=父母の弟:ご令淑(れいしゅく)様、叔父(おじ)様
・叔母=父母の妹:ご令淑(れいしゅく)様、叔母(おば)様
・夫の父:お舅(しゅうと)様、お父上(ちちうえ)様
・夫の母:お姑(しゅうとめ)様、お母上(ははうえ)様
・妻の父:ご尊父(そんぷ)様、ご岳父(がくふ)様
・妻の母:ご丈母(じょうぼ)様、ご岳母(がくぼ)様

上記はいずれも故人様と喪主との続柄によって決まります。また、送り主と喪主の関係によって、どの言葉を選ぶのかも変わるでしょう。

送り手と喪主が親しい間柄であれば、ご尊父様よりお父様の方がよいかもしれません。故人様が目上方の父のような場合には、ご尊父様が適しているでしょう。

香典と弔電は別もの

弔電を送る際、「香典はどうするの?」と思う方も多いようですが、両者は別物なので、弔電に香典を同梱するのはNGです。香典を送る場合は、別で送るか、四十九日法要などの際、喪主に直接渡しましょう。

まとめ

弔電は直接会ってお悔やみの言葉を伝えることが叶わないときに、大切な方を亡くした方々に想いを伝えるための貴重なツールです。数百円台から1万円程度まで、さまざまな弔電があるので、故人様との関係やご遺族との関係、あるいは予算によって、好みのものを選んで気持ちを届けましょう。