お盆の意味や由来とは?歴史や行事について見識を深めよう

2022.05.26

「お盆」という言葉自体は、日本人なら誰でも耳にされている言葉だと思います。しかし、お盆の意味や由来を正確に説明できる方は少ないでしょう。

お盆は我々日本人にとって重要な風習といえるため、最低限の知識を身につけておくと安心です。そこで今回は、お盆の意味や由来を、歴史や行事なども参照しながら解説します。

お盆とは

そもそも「お盆」がどのようなものなのか、その意味や期間について紹介します。

お盆の意味

お盆とは、故人様やご先祖様が、極楽浄土から現世に戻ってくる期間といわれています。お盆にはご家族やご親戚が集まって、法要やお墓参り、会食などをして過ごし、ご先祖様や故人様の霊を弔って過ごすことが一般的です。

しかしながら、法事の経験があまりない若い方にとっては、お盆は夏の大型連休という印象しかないかもしれません。なお、お盆の中には「新盆」と呼ばれる、はじめての四十九日の後に行われるお盆があります。新盆については、以下の記事で詳しく紹介しているので、参考にしてみてください。

関連記事:初盆とは?いつ実施するのか、また新盆との違いも解説

お盆の期間

お盆の期間は一般的に8月13日~16日の4日間といわれており、いわゆる「旧盆」と呼ばれる期間に該当します。ただし、お盆の期間は地域によっても異なるため、代表的なものをいくつか紹介します。

地域

お盆の期間

多摩地区以外の東京の都市部、金沢市の旧市街地、静岡市など

7月13日~16日

新暦施工後「新のお盆」「東京盆」へ変化

沖縄県、鹿児島県奄美地方

旧暦7月13日~15日の3日間

お盆の由来

「お盆」という言葉の由来は、中国の仏教行事である盂蘭盆会(うらぼんえ)から来ているようです。盂蘭盆会とは、サンスクリット語の「ウラバンナ」が由来で「逆さ釣り」を意味します。逆さ釣りとは少々物騒ではありますが、お盆の由来を紐解いていきましょう。

お釈迦様の故事

話はお釈迦様の時代まで遡ります。お釈迦様の十大弟子の一人に、神通力第一といわれる目連というお弟子さんがいました。

ある日、目連が自分の神通力で亡くなった自分の母親の姿を見たところ、母親が餓鬼の世界(餓鬼道)に堕ちており、逆さ吊りにされて飢えと渇きに苦しんでいたそうです。なんとか母親を救おうと、目連は神通力で食事や飲み物を送りましたが、目の前で灰になってしまい救えなかったそうです。

嘆き悲しんだ目連は、お釈迦様に「何とか母親を救いたい」と相談しました。すると「自分の力は母親だけのために使うのではなく、同じ苦しみを持つすべての人を救う気持ちを持つように」とお釈迦様に諭されたそうです。

そこで、目連は安居(雨期に行われる僧の修行)を終えた修行僧たちに、食べ物や飲み物、寝床などを捧げました。修行僧たちは大変喜んで、踊り始めます。(これが盆踊りの始まりと言われています)

さらに、その喜びが餓鬼の世界まで伝わり、母親が救われたそうです。お釈迦様の故事らしいお話だといえるでしょう。

日本に盂蘭盆会が伝わった時期

日本に盂蘭盆会が伝わったのは、7世紀頃だといわれています。最初は宮中の行事として行われており、「日本書紀」には斉明天皇や聖武天皇の時代に、盂蘭盆経を講じ供養を行った様子が記されています。

聖武天皇時代の733年以後は、恒例の仏教行事として毎年供養が行われるようになり、その後、貴族社会や武家社会へと広がっていきました。鎌倉時代末期には、民衆の間でも先祖のために読経し、お供え物をするという風習が広がったそうです。

盆棚(精霊棚)を準備し、菩提寺の僧侶に棚経をあげてもらう供養が行われるようになったのは、江戸時代初期に寺請け制度が始まった頃だといわれています。また、迎え火や送り火の風習も、江戸時代に入って盛んに行われるようになったようです。

盂蘭盆会はお盆や盆会、魂祭り、お精霊祭りなどとも呼ばれ、行事の時期や風習は宗派や地域によって異なります。東京や一部の地域では7月、そのほかの地域では1カ月遅れの8月に行われていることが多いようです。

お盆のおもな行事

筆者は神奈川県小田原市の出身ですが、小田原には「七月盆(しちがつぼん)」と「八月盆(はちがつぼん)」という言葉があり、小田原中心部が7月、それ以外の地域は8月にお盆を執り行うのが一般的です。本章では、お盆のおもな行事である精霊棚と迎え火について解説します。

精霊棚

お盆には精霊棚(しょうりょうだな)と呼ばれる祭壇を作ってお供え物をすることが一般的です。精霊棚を作るためには時間がかかるので、お盆の入り(7月13日もしくは8月13日)までには設置するようにします。

精霊棚の一番上にはご先祖様や故人様の位牌を置き、お供え物には「水の子」と呼ばれるナスとキュウリと生米を細かく刻んだものをハスの葉に乗せます。ナスやキュウリで作った牛馬をお供えすることも多いです。

ちなみに、水の子はご先祖様や故人様へのお供えではなく、餓鬼へのお供え物といわれています。餓鬼は日陰を好むといわれており、精霊棚の近くに日陰を作ってあげるようにします。お参りをする際には、お線香をあげた後、禊萩(みそはぎ)と呼ばれるラベンダーに似たお花を水の子の近くに供えて、その禊萩で水の子に水をあげます。

そのため、小田原ではお盆の季節になると、お花屋さんやスーパーなどで禊萩が売られるのがみられるでしょう。初めて見る方にとっては意味不明に思えるかもしれませんが、餓鬼に水をあげるためには、禊萩を使わないと水が蒸発して渇きを癒せないそうです。

このように餓鬼に施しを与えることで、その功徳をご先祖様や故人様へ捧げるのが、小田原の精霊棚の特徴といえるでしょう。

迎え火

お盆の入りには、提灯を持ってお墓参りに行き、火を入れるのが習わしです。ただし、実際は危ないので、火を入れたつもりになります。また、玄関先で迎え火を焚き、ご先祖様をお迎えします。

迎え火とは、ご先祖様の霊が迷わずにご自宅へ戻ってこられるようにするため、門前に麻の茎を燃やして火を焚く風習です。お盆の8月13日の夕方に実施することが多いのですが、近年は住宅事情もあり提灯などで代用することが増えました。

四十九日法要を済ませてから初めて迎えるお盆を「新盆」と呼び、ご近所様もお参りに来るため、きちんとした精霊棚を用意することが多いです。小田原にはまだまだ田舎の風習があり、隣組という江戸時代からの地域システムが存在します。

お祝い事やご不幸があると、近所が集まり相互扶助をすることが普通です。新盆のお参りには3,000円くらいのお仏前を包む習わしなので、返礼品としてそうめん(特に揖保乃糸が人気)を準備します。

横浜市で葬儀のお手伝いをするようになり、お盆について聞かれるとこのお話をよくするのですが、まったく別のしきたりを教えていただくことも多く勉強になります。中国から伝わったお盆という行事は、仏教行事という垣根を超え、地域ごとの文化と融合しながら日本の文化になっているのだと思います。

大切なのはご先祖様を敬う事とお互いが助け合うことで功徳になるというお釈迦様の教えがお盆にも生きているようです。

お盆期間中にやること

お盆期間中、具体的にどのようなことをするのか、一般的な内容を時系列で紹介します。

・8月13日
迎え火でご先祖様や故人様の霊を迎え入れます。

・8月14、15日
精霊棚に果物や甘味、お膳などをお供えします。ご先祖様や故人様の霊が戻ってきたときに、精霊棚で休まれると考えられているからです。日中は仏壇にお祈りをしたり、お墓参りをしたりして過ごします。

・8月16日
日中はお供えものや、お祈りをして過ごします。夕方になったら、ご先祖様や故人様の霊を送り出すために、送り火を焚くことが一般的です。こちらも迎え火と同様、本当に火を焚く場合もありますが、近年は電気式の提灯で代用することが多くなりました。なお、8月15日の夜、迎え火を行う地域もあるようです。

まとめ

お盆は、ご先祖様や故人様の霊がご自宅へ戻ってくる期間といわれています。8月13日~16日にかけて、お墓参りやお供えものなどをして過ごすことが一般的です。

地域ごとに実施期間や行事なども異なるため、初盆などを執り行う際には、事前にご親戚や葬儀会社などに確認しておくと安心でしょう。

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