予期せぬ突然の死、警察が自宅へきたらどうなるのか?

2022.08.16

ある日突然、大切な家族が亡くなってしまったら?
今回は、急死が起きてしまったら、どのような流れでお葬式まで進んでいくのかをお伝えします。
なお、今回は急な病死にフォーカスを当てており、事件などの特殊な例は割愛しています。
ご興味がある方はぜひ最後までご覧ください。

人が急に亡くなったとき、なぜ警察が来るの?

人が亡くなったとき、警察が介入するケースはどんな場合なのでしょうか。
今回は発生する頻度が高いと想定される、3つのケースをご説明します。

ケース1 体調が急変し、そのまま亡くなった場合

体調の急変→かかりつけ医がいないため救急搬送→搬送先の先生では死因が特定できず→病院が管轄の警察署に連絡
病院から警察署へ連絡が来た時点で、警察が介入します。

ケース2 死後誰かに発見された場合

ご自宅でお亡くなり後ご家族や知人が発見→救急車が到着するもお亡くなりの確認→救急隊が管轄警察署に連絡→警察が介入
この場合、お亡くなりになった方を発見した方は、まずは救急車を呼んでください。

ケース3 事件性が疑われる場合

火事、事件、事故などでもともと警察が介入している場合は、こちらに該当します。

警察が介入したらどうなるの?

搬送先の病院で死因の判断がつけられない場合は、どうして亡くなられたのかが分からない状態ということになります。
そうなると警察は、事件や事故の可能性がある限り、しっかりと捜査を行わなければいけません。
お亡くなりになった現場のご自宅や施設などに行き、状況や現場などを調べ、事件性がないかなどを徹底的に調べます。
場合によってはご近所の方にも声をかけ、最後にいつ故人様に会ったか、どこで見かけたかなどの聞き込みを行います。

場合によってはこのタイミングで、葬儀社が故人様のお身体を移動したり、お預かりしたりすることがあります。
理由としては、警察に故人様を搬送する車両がない場合や、警察署に霊安室がない場合などがあげられます。
この時、ご遺族様は警察から葬儀社を決めてくださいと言われる場合があります。
ただし、監察医のところに葬儀社が合流する場合や、警察署に監察医と葬儀社が来署して合流する場合など、いくつかのケースがあるため、必ず言われるというわけではありません。

警察が介入した後の流れ

病院やお亡くなりの現場に警察が来た後は、事件、事故の可能性がないか捜査をはじめます。
この時故人様を警察署に搬送してお身体を調べる「検視」を行います。

検視とは、犯罪の嫌疑の有無を明らかにするための刑事手続きです。
警察ではなく、病院で調べる場合もあります。

検視・検案、司法解剖を経てご遺族のもとへ

事件性がなければ、当日もしくは翌日などに、監察医の先生に検案をお願いして死体検案書を作成してもらいます。

監察医とは、死体解剖保存法第8条の規定に基づき、その地域の知事が任命する行政解剖を行う医師のことです。
検案とは、医師が故人様に対し、臨床的に死因を究明する作業のことで、日本の法律上では医師法第19条に基づいて行われます。

監察医は、犯罪性の有無に関わらず、外傷性なのか、病死なのかなどの死因を医学的・臨床的に評価します。
この時、場合によっては解剖になってしまうこともあります。
基本的には、警察の方から解剖になってしまう場合もありますと説明があります。
その際にご遺族様のご希望を伝えることもできますが、基本的には監察医の判断で解剖が行われるかどうかが決まります。

犯罪の疑いのあるご遺体を解剖する司法解剖は、刑事訴訟法に基づいて行われます。
この司法解剖は監察医本来の業務ではなく、一般的には、裁判所が大学の法医学教室に嘱託して行われるものです。

ご遺体に事件性などがない場合は、死亡診断書に代わる死体検案書を発行していただきます。
死亡診断書と死体検案書は、記載すべき項目に違いはありません。

ここまで来ると、故人様のお身体をご家族様の元にお戻しすることができます。
ここからは通常のご葬儀準備を進めることが可能です。

かかりつけ医が死亡診断書を発行できる場合は、警察は基本的に介入しない

人間が最後の時間を過ごす環境にはさまざまなケースがあります。
体調面では昨日まで元気だった方、持病があった方、お看取り段階だった方もいらっしゃるでしょう。
亡くなる場所も病院、介護施設、ご自宅など、人によって異なるかもしれません。
しかし基本的に皆様がイメージされているご逝去の瞬間は、病院、施設、ご自宅などでお看取りを行うという印象があるのではないでしょうか。

このような状況下では基本的に警察は介入しません。
理由としては、かかりつけの主治医様がお亡くなりの理由を把握しており、死亡診断書の発行を行っていただけるからです。
この「かかりつけ医の診断が可能かどうか」が、とても重要になってきます。
これは医師法により、死亡診断書の発行の可否が明確に決められているからです。

簡単にお伝えすると、死亡理由となる病状の診察を24時間以内に受けていない場合は、死亡診断書の発行を行うことができません。

ですので、病院やかかりつけ医が常駐している、もしくは定期的に診察を行っている福祉施設などは、基本的に死亡診断書の発行を行うことができます。
ご自宅でのお看取りに関しても、24時間以内にかかりつけ医の診察を行っていれば、発行が可能です。

かかりつけ医は死亡に立ち会えなくても死亡診断書を発行できる

またお看取り段階で、すでにかかりつけ医の先生の診断を受けている場合などは、かかりつけ医がたとえ死亡に立ち会えなくとも、死亡後改めて診察を行い、生前に診療していた傷病に関連する死亡であると判定できる場合には、医師法第20条本文の規定により、死亡診断書を交付することができます。

(例)
末期がんの患者様がおり、最期を自宅で迎えるため、自宅にて療養している。
積極的な治療を行わない方針で、訪問診療を行う訪問医による定期的な診療を受けている。
ある日、 訪問医が患者様の診察を行ったところ、早晩死亡すること(お看取り段階)が予想された。
その旨を連携して訪問看護を行う看護師、および家族に伝え帰宅した。
それから数日後の深夜、患者様は家族および看護師に見守られ死亡した。
看護師から患者様死亡の電話連絡を受けた訪問医は「翌朝、患者様宅を訪問して死後の診察を行うこと」を伝えた。
翌朝、患者様宅を訪問した訪問医が、死亡後に改めて診察し、死亡の事実、死因が診療中の末期がんであることなどを確認して、医師法第20条本文の規定により、死亡診断書を交付した。

また、最終の診察後24時間以内に患者様が死亡した場合においては、これまで診療を行ってきた医師は、死亡後に改めて診察を行うことなく「生前に診療していた傷病に関連する死亡であること」が判定できる場合(※)には、医師法第20条ただし書の規定により、診察なしでも死亡診断書を交付できます。

※医師が、死亡後に改めて診察を行うことなく「生前に診療していた傷病に関連する死亡であることが判定できる場合」としては、たとえば当該患者の死亡に立ち会っていた別の医師から死亡状況の詳細を聴取することができるなど、ごく限られた場合であることにご留意ください。

出典:厚生労働省「医師法第20条ただし書の適切な運用について(通知)」
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000156006.pdf

急死した場合は警察が介入するケースが多い

ここまで聞くと、医師が死亡診断書を発行できるのは当たり前な感じがしますよね。
確かにそうなのですが、人が急に亡くなってしまった時には、警察が介入する事があるのです。

厚生労働省のホームページに、2020年度の主な死因に関してのグラフがあったのでご覧ください。

出典:「令和2年(2020) 人口動態統計月報年計(概数)の概況」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai20/dl/gaikyouR2.pdf

主な死因の1番目は悪性新生物・腫瘍(がん)、2番目は心疾患、3番目は老衰、4番目は脳血管疾患となっていますね。

実は、このグラフの中の2番目と4番目で警察が介入してくることがあります。
老衰でもお亡くなりの状況次第では警察が介入する場合があり、事件や事故では100パーセント警察が介入します。

理由としては、心疾患や脳血管疾患は、さっきまで元気だった方が急に具合が悪くなり、そのままお亡くなりになってしまうケースが少なからずあるからです。
先述の「24時間以内に医師の診察を受けていないケース」に該当してしまい、警察が介入するのです。

まとめ

人が亡くなるということは、とても大変なことです。
命にかかわることは、当然法律で細かく決められていますが、病院の先生も警察も人命をとても重く考えているので、病院の先生は明確な理由が分からなければ安易に診断書は書けませんし、警察も事件性が少しでもある限り綿密に捜査を行います。
そうならないためには、自分自身や大切な身近な方の体調管理を、普段からしっかり行うようにするしかないですね。

弊社でも今まで、急な体調変化などで急死され、警察が介入した場合のお迎えやお見送りを何度も行ってきました。
やはりただでさえ大切な方がお亡くなりになり、心身共に疲弊している状態で、さらに故人様のお身体が警察や監察医のところへ移動し、今どこでどうなっているのか……
不安な気持ちでいっぱいなご遺族様をたくさん対応させていただきました。
余計なお世話かもしれませんが、まずはご自身の体調管理をきちんとして、少しでも具合が悪ければ病院に行って検査をしてもらい、身近な方の体調が悪そうであれば病院に連れて行ってあげてください。
そうすれば予期せぬ体調変化も、事前に防げることもあると思います!
何もなければそれで良しですし、何事も事前に防げるのであればそれが一番です。

それでも防ぐことのできないこともあると思います。
そんな時は、杉浦本店にご相談ください。
ご相談だけでもお受けいたします!