ご遺体安置の実施方法は「自宅安置」と「預かり安置」の2種類!メリット・デメリットを紹介

2022.04.05

大切な方が亡くなり葬儀会社へ依頼をする際には、ご遺体をお葬式までどこで安置するのか、すぐに決めなくてはいけません。特に最近は、昔に比べ火葬場が混み合うことが多く、葬儀まで数日~1週間程度待たなくてはいけないこともあります。

そのような事情を踏まえ、自宅にお帰りいただく自宅安置と葬儀会社がお預かりする預かり安置、いずれかの遺体安置方法から選んでいただくことが必要です。そこで今回は、自宅安置と預かり安置がどのような遺体安置の方法なのか、メリット、デメリットなども踏まえ解説します。

自宅安置とは

自宅安置とは、故人様のご自宅、またはご家族のご自宅に安置する方法です。30年以上前までは、人が亡くなった後は自宅へお帰り頂くことが一般的でした。そのため、人が亡くなったら家に帰すものだと認識している方も多いかもしれません。

しかし最近では、昔に比べて火葬までお待ちいただく日数が増えたことや、住宅事情のためご遺体の安置が難しい状況も増えており、自宅安置を実施したくてもできないケースも増えています。

自宅安置のメリット

自宅安置のメリットは、故人様が住み慣れたご自宅でお休みいただける点です。ご家族と同じ空間で過せ、ご親戚や知人の方がいつでも故人様と面会できる点は、自宅安置の大きなメリットだといえるでしょう。自宅安置のおもなメリットを紹介します。

故人様が住み慣れたご自宅でお休みいただける

長年、ご家族と思い出を作ってこられたご自宅で最期のときを過ごせることが、自宅安置のメリットです。

場合によっては、故人様が想いをこめて建てられたご自宅ということもあるでしょう。「最後はその場所へ返してあげたい」というお気持ちは、多くの人が思うところかもしれません。

ご家族が故人様と同じ空間で過ごせる

自宅安置であれば、ご家族が故人様と十分な時間を一緒に過ごせます。

もちろん葬儀会社でお預かり安置をした場合でも面会は可能です。しかし、時間に制約があることが多い点が難点といえるでしょう。例えば、1日1回の場合や、1回の面会時間が何分までといったルールもあります。

ご親戚や知人の方がいつでも故人様と面会できる

御親戚や知人の方が、故人様と気軽に面会できる点も自宅安置のメリットだといえるでしょう。

故人様とご縁があった方はご家族だけではありません。ご親戚や知人・友人の方が、お葬式までの間に、故人様との面会をご希望されることも多くあります。葬儀会社のお預かり安置の場合、時間や回数に制限が生じる点がデメリットです。しかし、ご自宅でのご安置であれば、こちらも制約なく対応いただくことが可能です。

自宅安置のデメリット

自宅安置の場合、ご自宅の構造によっては、ご遺体を搬入、搬出することが困難な場合があります。また、室温の管理を適切に行わなくてはいけないことや、近隣に家族が亡くなったことが知られてしまうといった点に注意が必要です。自宅安置のデメリットだと思われる点について解説します。

ご自宅の構造によっては搬入・搬出やご安置が難しいことがある

自宅安置のデメリットは、ご自宅の構造によっては実現が困難な場合がある点です。

一昔前の典型的な日本家屋は、大家族での生活や親族、地域の方が集まることを想定したつくりでした。そのため、玄関の間口も広く、部屋も襖を取り外せば大きなスペースを作ることが可能だったと思われます。

したがって、故人様のご遺体をご自宅で安置したり、ご自宅でお葬式を執り行ったりすることも珍しいことではありませんでした。しかし、核家族化や地縁の希薄化が進み、1戸あたりの面積は狭くなっています。その結果、玄関や廊下周辺のスペースが狭くなり、ご遺体の搬入・搬出や安置が不可能、もしくは難しいケースが多くなっている状況です。

室温管理が難しくご遺体の状態に悪影響を与える可能性がある

自宅安置を行う場合は、温度管理に注意が必要です。

ご遺体の状態を悪化させないためには、身体を冷やす必要があります。腐敗の原因となる酵素や細菌が、4℃以下で活動が低下するためです。

ご自宅で安置する場合、ドライアイスが当たっている箇所(胸元・腹部)は凍結させられます。しかし、当たっていない箇所は、室温と同じ温度(約20~25℃)になるため、状態維持のために身体を冷やすという点では不十分でしょう。

なお、ご遺体に触れた際「こんなに冷たくなってしまって……」と感じるケースはあると思いますが、その場合も実際には室温と同じ20~25℃程度にしかなっていません。人の感覚は、自分の体温(約36℃)が基準になるため、それよりも低い場合には冷たく感じるからです。

したがって、体感としては冷たくなっていても、腐敗を抑えるうえでは不十分な温度だという場合もあります。

近所の方に亡くなったことが分かってしまう

自宅安置を行う場合、亡くなったことが周囲に知られてしまうリスクが高いです。

最近は、家族葬や密葬が主流となっています。知人や友人、ご近隣の方にはお知らせせず、近親者のみで葬儀を執り行う形式です。

しかし、いくら目立たないように行おうとしても、搬送用の車が自宅の側に駐車し、故人様をお運びする様子は日常の風景とかけ離れたものなので、どうしても目立ってしまいます。したがって、自宅安置をするということは、近隣の方に知られることと同じ意味であることを理解しておきましょう。

預かり安置とは

預かり安置とは、葬儀会社の式場や施設で故人様のご遺体をお預かりして安置する方法です。近年の住宅事情に加え、葬儀会場が増加した影響により、近年増えてきている安置方法といえます。

預かり安置のメリット

預かり安置は故人様の状態を保つ上で最善の環境で過ごしていただける点や、ご家族が亡くなった事実を近隣の方に知られにくい点などがメリットです。預かり安置のおもなメリットを紹介します。

ご遺体の状態を保つうえで最善の環境で過ごしていただける

預かり安置はプロの葬儀会社にご遺体の安置を任せられるため、最善の環境で過ごしていただける点がメリットです。

「ご遺体の状態を保つ=腐敗を遅らせる」ためには、その原因となる体内の酵素や細菌の活動を抑えなくてはいけません。そのためには、温度を4℃以下に保つことが重要です。

温度のイメージとしては冷蔵庫の中が近いでしょう。葬儀会社の安置所では、ご遺体専用の保冷庫で、最適な温度でお預かりできます。

0℃以下の冷凍ではなく4℃以下の冷蔵にする理由は、以下の2点です。

1:酵素・細菌の活動を抑えるためには4℃以下の温度であれば十分
2:冷凍の温度で凍らしてしまうと肌が痛んでしまう

ご遺体の腐敗を抑えつつ、見栄えに影響が出ない最適な温度に設定されています。

安置期間中に安心して出かけられる

預かり安置の場合、葬儀会社がご遺体の様子を確認してくれるため、安心して出かけられる点がメリットです。

ご遺体をご自宅に安置する場合、多くのご家族が「故人様を1人にはできない」とおっしゃいます。大切な方であれば、当然の反応だといえるでしょう。

しかしながら、亡くなってから葬儀までの日数が長い中、ずっとそばで付き添うことは、多くの人にとって難しいことも事実です。また状況によっては、故人様と喪主様が別々の場所にお住まいで、ご自宅で付き添うことが難しいケースもあるでしょう。

葬儀会社の施設にご遺体を預けるということは、一見すると冷たい印象を持たれるかもしれません。しかし、故人様もご家族も万全の状態で葬儀を迎えるためと考えれば、とても良い方法だと思います。

近隣の方にご家族が亡くなったことを知られづらい

自宅安置とは異なり、近隣の方にご家族が亡くなったことを知られづらい点も預かり安置のメリットです。

故人様のご遺体をご自宅に安置すると、自然と周囲の方に亡くなったことが広まってしまいます。その点、預かり安置の場合は、ご家族がご自宅で普段と変わらない日常を過ごすことが可能です。預かり安置にすることによって、近隣の方に亡くなったことが意図せず伝わることは、ほぼないでしょう。

預かり安置のデメリット

葬儀会社の施設にご遺体を預ける預かり安置は、故人様との面会時間に制約があることや、面会時に費用が発生する可能性がある点などがデメリットです。預かり安置のおもなデメリットを紹介するので確認しておきましょう。

故人様との面会時間に制約がある

預かり安置の場合、施設で故人様と面接できる時間を制限されることが普通です。

安置期間中、故人様との面会は可能ですが、葬儀会社や安置施設でルールが決められていることが大半でしょう。葬儀会社は複数の故人様をお預かりしているため、他のご家庭の方が使用されている間は面会できないためです。

葬儀会社や安置所によっては面会時に費用が必要

面会時に費用が発生する可能性がある点も、預かり安置のデメリットでしょう。

弊社杉浦本店の自社式場では、面会に際して面会料などをいただくことはありません。ただし、葬儀社や安置所によっては、1回あたり数千円の面会料が発生する場合があるため注意が必要です。

菩提寺様の枕経など宗教儀式が行えない場合がある

預かり安置を行う葬儀会社や安置施設では、複数の故人様をお預かりしている関係上、特定の宗教・宗派の儀礼を行えないケースが多いです。

仏教の場合、菩提寺の住職が枕経というお経を唱えたいと希望されることはありますが、施設によっては行えない場合もあるでしょう。

付き添い安置が可能な施設もある

葬儀会社や民間の安置施設の中には、故人様のご遺体にご家族が付き添える「付き添い安置」のサービスを提供している場合もあります。ただし、対応している施設が少ないため、事前の確認が必要です。

付き添い安置は自宅安置と預かり安置の両方のメリットを兼ね備えた方法といえるため、ぜひ有効活用したいところでしょう。

遺体安置をする理由と期間

わが国では、ご遺体を安置しなくてはいけない理由と期間が定められています。それぞれについて、どのような内容か解説します。

遺体安置をする理由

そもそもご遺体を安置しなければいけない理由は、法律によって定められているからです。

「墓地、埋葬等に関する法律」という法律において、人が亡くなってから24時間以内の火葬が禁じられています。したがって、最低でも24時間はご遺体を安置しなくてはいけません。これはお通夜やお葬式を行わない火葬式(直葬)の場合も同様です。

参考:e-GOV法令検索/墓地、埋葬等に関する法律

遺体安置の期間

「墓地、埋葬等に関する法律」によって、安置の最短期間は死亡後24時間と定められている一方、いつまで安置してよいかという規定はありません。したがって、ご遺体をいつまで安置しても構わないともいえるでしょう。

しかし、実際には2〜3日程度の遺体安置が一般的です。ただし、火葬場が混雑している場合や、ご遺族の事情によって葬儀の開催が遅れる場合には、ご遺体の状態を維持するエンバーミング処理を施す必要があります。葬儀会社などに相談すれば、対応してもらうことが可能です。

遺体安置の流れとやるべきこと

遺体安置を実施する際の大まかな流れと、やるべきことを解説します。事前に内容を把握しておくことで、万が一のとき慌てずに対応できるでしょう。

葬儀会社へ連絡

ご家族がお亡くなりになったら、まず葬儀会社を決定し連絡を入れましょう。ご遺体の搬送は葬儀会社が行うため、搬送車の手配が必要です。

もし、葬儀会社を決められない場合は、病院などに相談することで紹介してもらえます。そのため、ご遺体の搬送のみ病院から紹介された葬儀会社に任せて、その後、別の葬儀会社に葬儀の依頼をするケースもあります。

ご遺体を搬送

葬儀会社が来たら、ご遺体を搬送して安置する先を決定して伝えましょう。自宅安置にするか、預かり安置にするかによって行き先が異なるため、先ほど紹介したメリット、デメリットを踏まえ慎重な検討が必要です。

遺体安置が完了したら、葬儀会社と葬儀に関する打合せを実施して詳細を決定します。

親族や知人、友人などへ連絡

葬儀会社との打合せが終了したら、親族や故人様と親交があった知人、友人へ連絡をしましょう。

また、葬儀に参列してほしい方のリストアップも並行して行います。参列希望者のリストを作っておくことで、連絡の抜け漏れを抑制することが可能です。なお、故人様と最後のお別れをされたい方も多いので、ご遺体を安置している施設の場所も忘れてはいけません。

菩提寺へ連絡

菩提寺がある場合は、すぐに連絡して僧侶のスケジュールを押さえます。その後、葬儀の日程を確認しましょう。

なお菩提寺がない場合や、調整方法がわからない場合は、葬儀会社へ相談すれば調整してもらえます。

結局「自宅安置」と「預かり安置」どちらにしたらよいのか?

自宅安置と預かり安置には、それぞれメリット・デメリットがあるため、どちらがよいのかは一概にはいえません。

お葬式までの日数や、ご自宅の状況によっては預かり安置にせざるを得ないこともあります。一方「少しでも家に帰したい」という想いがある場合は、自宅安置を検討したほうが、後悔の少ないお見送りを行えるでしょう。

場合によっては、1日~2日だけご自宅に安置して、その後、預かり安置に切り替えることも可能です。ただし、寝台車の運行回数が増えるため、追加で費用が発生する場合もあります。

お葬式はやり直しがきくものではないので、ご自身の感覚・直感を大切にして選ぶことが大切です。状況によっては、ご自宅にご遺体をお返しすることがどうしても難しいこともありますが、杉浦本店が最大限お手伝いさせていただきます。24時間365日、ぜひお気軽にご相談ください。

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