お線香のあげ方を知りたい!意味や宗派ごとのマナーは?

2022.04.06

お盆などにお墓やお仏壇で線香をあげる機会があると思います。いつも何気なくあげているお線香ですが、きちんとしたマナーがあることをご存じでしょうか?

実はお線香をあげる正式なマナーがあり、宗派によって内容が異なります。そこで今回はお線香を正しくあげるために、お線香のマナーや意味、宗派ごとのマナーの違いなどについて解説するので参考にしてみてください。

お線香の意味は?3つの由来を紹介

普段、何気なくあげているお線香ですが、そもそもどのような意味がある行為なのかご存じの方は少ないと思います。本章ではお線香の3つの由来を紹介するので、どのような意味があるのか見識を深めることで、より心を込めた対応ができるようになるでしょう。

1.故人様や仏様の食べ物という意味

お線香には、故人様や仏様の食べ物になるという意味が込められています。

仏教には「食香」と呼ばれる、人間が亡くなった後、49日間は線香を食べ物にするという教えがあることがその理由です。仏教の経典である「倶舎論(くしゃろん)」にも「死後の人間が食べるは匂いだけで、善行を行った死者は良い香りを食べる」という記載があると知られています。

そのため、宗派や地域によっては、四十九日法要が終わるまでの間、線香を絶やさない文化が残っているのです。

2.身や場を清める意味

お線香にはあげる方の身や、その周囲を清めるという意味も込められています。

仏教の源流であるインドには、高貴な方と謁見する際、お線香を焚く習慣がありました。これは俗世間で汚れてしまった心や体を清めるために、お線香を焚くよう仏様が説法していたことに由来するそうです。

つまり、お線香にはあげる方の体や周囲の場だけでなく、心を清めるという意味も込められています。

3.故人様と心を通わせる意味

お線香には、あげる方と故人様や仏様が心を通わせるという意味が込められています。

仏教ではお線香の煙を通じて、現世にいる方と故人様、仏様とお話をするという意味があるそうです。つまり、お線香の煙が我々と故人様の橋渡しとなり、昔の思い出や近況を伝えられるものだと考えられるでしょう。

宗派によって異なるお線香のあげ方

お線香のあげ方は、仏教の宗派によって異なります。おもな違いは以下の3点です。

・お線香の本数
・お線香を折る、折らない
・お線香を立てる、寝かせる

宗派ごとの具体的なお線香のあげ方を以下で紹介します。弔門先やご自宅では宗派ごとのマナーに準じてお線香をあげる必要がありますが、わからない場合は、ご遺族や周囲のスタッフなどに確認すれば教えてくれますので安心してください。

・天台宗・真言宗:3本のお線香に火を点け、自分のほうへ向けて1本、お仏壇のほうへ向けて2本立てましょう。自分側から見たとき、逆三角形になるよう配置することが基本です。ただし、四十九日法要が終わるまでは1本のお線香を使います。(お仏壇の場合は、四十九日法要前でも3本で問題ありません)

・浄土宗:1本のお線香に火を点け、香炉の中央に立てます。

・浄土真宗本願寺派:1本のお線香を折って2本にして、それぞれに火を点けましょう。正面から見て香炉の左側にお線香の火が配置するように寝かせます。

・真宗大谷派:お線香を1~2本を折って火を点けます。正面から見て香炉の左側にお線香の火が配置するように寝かせましょう。

・曹洞宗・日蓮宗・臨済宗:1本のお線香に火を点け、香炉の中央に立てます。

お線香をあげるときのマナーと注意点

お線香はあげる本数によってマナーが異なります。また、火の点け方や消し方にもマナーがあるため、ぜひこの機会に覚えてしまいましょう。

お線香の本数の違いによるマナー

1本のお線香をあげるときには、香炉の中央に立てることが基本です。ただし、複数の方がいる場合には、香炉の空いている場所のいずれかに立てればよいでしょう。

一方、2本のお線香をあげる際には、2本バラバラに立てる方法と、2本を揃えて立てる方法がありますが、どちらでも問題ありません。ただし、複数の方がお線香をあげる場合は、ほかの方の場所を確保するためにも、2本揃えて立てておくと安心です。

火の点け方と消し方のマナー

お線香に火をつける場合は、ライターを使わず、ろうそくの火で点けることがマナーです。また、お線香を2本以上持っている場合は、一度にすべて点火するようにしましょう。

一方、お線香の火を消すときは、お線香を持つほうとは逆の手であおぐように消すのがマナーです。なお、お線香の火に直接息を吹きかけて消すことはマナー違反なので避けましょう。

弔問先・自宅でお線香をあげる手順

本章では、四十九日法要で故人様のご自宅へ弔問に訪れた際や、自宅のお仏壇でお線香をあげる手順を紹介します。大人のたしなみとして身につけておくべきマナーなので、ぜひここでマスターしておきましょう。

弔問先でお線香をあげる手順

故人様やご遺族のご自宅へ弔問に訪れる際には、平服で行きましょう。また、四十九日法要が終わるまでに訪れることが基本です。

ご自宅に着いたら、ご遺族やご家族へ挨拶をします。その後、お仏壇のあるお部屋へ通されたら、以下の手順でお線香をあげましょう。

1:お数珠を左手で持ちます。
2:お仏壇の正面に座り一礼後に合掌します。(このとき、お仏壇の前に座布団が敷いてある場合は、座布団の前でご遺族やご家族へ一礼しましょう)
3:ろうそくに点火して、お線香に火を点けましょう。
4:お線香から煙が出てきたら、香炉にお線香を立てます。(宗派によっては寝かせる)
5:おりん(仏壇の前に置いてある金属のお椀のようなもの)を一度鳴らし、合掌します。
(浄土真宗本願寺派の場合、おりんは鳴らしません)
6:故人様の遺影に一礼し座布団から降ります。
7:座布団から少し下がったところで、ご遺族やご家族へ一礼する。

宗派や地域などによって若干の違いはあるかもしれませんが、概ね上記の流れでお線香をあげることが基本的なマナーです。

自宅でお線香をあげる手順

次に自宅のお仏壇でお線香をあげる手順を紹介します。

1:お数珠を左手で持ちます。
2:お仏壇の前で一礼して合唱しましょう。(座っていても立っていても構いません)
3:ろうそくに点火して、お線香に火を点けましょう。
4:お線香から煙が出てきたら、香炉にお線香を立てます。(宗派によっては寝かせる)
5:おりんを一度鳴らし、合掌します。(浄土真宗本願寺派の場合、おりんは鳴らしません)
6:遺影に一礼します。

自宅のお仏壇でお線香をあげる手順も、弔問時と大きく変更はありません。ただし、こちらも宗派や地域によって独自のマナーが存在する場合があるので、事前に確認しておくと安心でしょう。

お線香の種類と特徴

一口にお線香と言っても、さまざまな種類があります。代表的なお線香とその種類を紹介するので、好みのものを見つけてみましょう。

白檀

白檀(びゃくだん)は、さわやかな甘い香りが特徴のお線香です。

心を落ち着かせ、緊張や不安を抑制する効果が期待できます。白檀は英語では「サンダルウッド」と呼ばれ、アロマテラピーにも活用されていることで知られています。

沈香

沈香(じんこう)は、燃やさないとほとんど香りがしないお線香です。

お線香に点火することで、臭いがするようになります。沈香には感情の高ぶりを抑制する効果があり、その昔、戦国武将たちも出陣前に使っていたそうです。

伽羅

沈香の一種である伽羅(きゃら)は、最高級のお線香として知られています。

伽羅は原料である木の中に含まれる樹脂が香りを放つため、点火しなくても楽しめる点が特徴です。もちろん、お線香に火を点けたときも、上品で良い香りがします。

お線香は故人様と心で対話する大切なもの

お線香をあげるという行為には、故人様や仏様と対話できるという意味合いが含まれています。故人様を偲び、昔の思い出に想いを馳せたり、近況を報告したりするために、ぜひ今回紹介した適切なマナーでお線香をあげてください。

また、宗派や地域によってマナーに多少の差がある場合もありますが、ご遺族やご家族、葬儀の際であればスタッフに聞いていただければ教えてもらえるので安心してください。

お線香の意味や種類を知ることで、さらに濃密な時間を過ごせますので、本記事の内容を参考に実践してみてはいかがでしょうか。