遺影に使う写真の選び方とは?サイズや準備方法も紹介

2022.08.16

お通夜やお葬式、告別式には、故人様の在りし日のお姿を映した遺影を準備する必要があります。葬儀のタイミングは突然やってくるものです。そのため、遺影を準備する時間もあまり長くはないため、予備知識の入手と素材の準備を前もって行っておくと安心でしょう。

そこで今回は、遺影に使う写真の選び方やサイズ、準備方法などについて解説します。

遺影とは

遺影とはお通夜やお葬式の際、故人様を偲ぶために祭壇や焼香台に飾られる写真や肖像画のことです。

火葬場で火葬炉の前や待合室にも飾ることもあり、葬儀後はご遺族が持ち帰りご自宅に飾ります。通常、遺影には故人様の胸から上の肖像が用いられ、絵よりも写真の場合が圧倒的に多いです。

肖像画は遺影に使える?

遺影に肖像画を使う場合は、あらかじめ用意していたものを使うことがほとんどでしょう。
死後、改めて作成することも不可能ではないと思いますが、あまり聞いたことはありません。また、時間的にも準備するのは難しいと思います。

あくまでも私見ですが、葬儀のお手伝いを15年以上、5,000件近く経験してきた中では、自身やご家族の肖像画を作成している方はほとんどいらっしゃいません。つまり、肖像画は遺影には使われないのです。

記憶では、2件だけだったと思います。故人様自身が稀代の写真嫌いで、どうしても写真が無くて作れなかったという方はいらっしゃいました。

プロの画家が作成したものなど、一定のクオリティで書かれた肖像画であれば、遺影としての役割を果たせるかもしれません。しかし、似顔絵やアニメーション的なものは、神聖な葬儀に使う遺影としてはふさわしくないと判断されてしまう可能性もあります。

葬儀に遺影は必須なのか?

遺影なしで葬儀を行うこと自体は可能ですが、故人様の生前のイメージや存在自体を感じづらくなってしまう可能性は否めません。特に日本の葬儀では、遺影があることが当たり前なので、遺影がない理由をご会葬に来られたご親族や友人に都度、説明する必要があるでしょう。

葬儀後、故人様の身体は火葬され、焼骨になってしまいます。お顔をすぐに思い出せるように、またその後の手元供養などを考えても、正当な理由や崇高な理念がない限り、遺影を用意しておくべきです。

遺影を準備するタイミングは?

遺影を準備するタイミングのリミットは、お通夜がはじまる前までです。葬儀会社との打ち合わせの際に準備し、加工の可否についても確認しておきましょう。

遺影を作成するためには24時間、最低でも12時間程度は余裕をもっておきたいところです。必要に応じて背景や服装を加工し、間違いや不自然なところがないかチェックしましょう。額に入れ、ほこりやゴミがついていないかもチェックします。

なお、生前に準備する場合は、ご家族に遺影社員の保管場所を伝えておきます。大切なご家族の1度しかない葬儀に使う遺影です。慌てず、余裕をもって準備したいところでしょう。

遺影に使う写真の選び方

遺影に使う写真を選ぶ場合は、いくつかのポイントを押さえる必要があります。本章では、特に重要な5つのポイントを紹介するので確認しておきましょう。

故人様らしさが表現されている写真を選ぶ

遺影に使う写真は、故人様らしさが表現されているものを選ぶことが大切です。

しかし「故人様らしさが分かる写真」といわれても、具体的にどのような写真を準備すればよいのかわからない方も多いでしょう。「その人らしさ」が出やすいのは、趣味を楽しんでいるときや、ご家族や親しい友人との旅行、ご自身やご家族の記念日などといわれています。

故人様を偲ぶために飾る写真なので、ご遺族が気に入っていて、なるべく人柄が表れているようなものを選びましょう。葬儀中だけでなく葬儀後も、故人様の存在を身近に感じられると思います。

なお、闘病生活が長いなど、直近の写真がない場合は古いもので問題ありません。

故人様が大きめに映っている写真を選ぶ

遺影の写真を選ぶときには、できるだけ故人様が大きく映っているものを選びましょう。遺影用に加工する際、画像が小さいと、引き伸ばしたとき荒れる可能性が高くなるからです。

また、故人様以外にも複数の方が映っている写真を使う場合は、できるだけ故人様が大きく映っているものを選ぶ必要があります。

ピントが合った写真を選ぶ

ピントが合っていることも、遺影の写真をえらぶうえでの重要なポイントです。

ピンぼけした写真は修正しても、どうにもならないことが多いでしょう。故人様にしっかりピントがあったものであれば、遺影として使用しやすくなります。

画素数ができるだけ高い写真を選ぶ

ケータイやスマホで撮影した写真を遺影に使う場合は、できるだけ高い画素数の写真を選びましょう。少なくとも、200万画素以上の写真を選ぶと安心です。

なお、写真データの画素数を調べるおもな方法を紹介するので、写真を選んだ後、確認してください。

パソコンで調べる方法

Windowsの場合は、画像データを選択し右クリックして「プロパティ」を選択します。「詳細」タブをクリックすることで、写真データの画素数を確認することが可能です。

スマホで調べる方法

写真データを選択して長押しすると「詳細」や「情報」が表示されるのでタップします。写真データの幅や高さが表示されるので確認しましょう。

無料のツールを利用する方法

ブラウザで「画像 サイズ」などと検索すると、たくさんのツールが見つかるでしょう。無料で使用できるものも多いので、こちらを活用することで写真データのサイズを確認できます。

服装や背景は基本的に自由

近年は服装や背景をそれほど気にする必要はありません。以前は、故人様が正装の写真や、単色のグラデーションや、ブルー系、赤やピンクなど暖色系の背景が使われる写真が、遺影として使われることがありました。

しかし最近は、故人様らしさを重視する傾向が強く、服装や背景に神経質になる必要はないでしょう。ただし、宗派やご家族、ご親族などの意向によっては、フォーマルな形の写真を選ぶ必要がある場合もあるので、事前に確認が必要です。

どうしても気になる場合は、背景や服装の修正も可能なので、葬儀会社や写真屋さんなどに相談してみるとよいでしょう。

遺影写真のサイズ

遺影に使う写真は、祭壇用と焼香台用で、それぞれサイズが決まっています。それぞれのサイズについて確認しておきましょう。

祭壇用遺影写真のサイズ

祭壇用遺影写真のサイズは、四つ切サイズ(254mm×305mm)、またはA4サイズ(210mm×297mm)の写真を使うことが一般的です。後方の席からでも、故人様の顔がきちんと見えるようにするため、大きめのサイズが必要になります。

ちなみに、よくニュース番組やワイドショーなどで報道される、有名人や芸能人などのお葬式で使われる祭壇用の写真は、この5倍~10倍程度のサイズになるようです。

焼香台用遺影写真のサイズ

焼香台用遺影写真のサイズは、L判サイズ(89mm×127mm)か、小キャビネサイズ(120mm×165mm)、2Lサイズ(127mm×178mm)などが一般的でしょう。自宅に置くため、写真を小さくする必要があるからです。

実際にご自宅に置く予定の焼香台のサイズをあらかじめ測っておくと、写真の大きさを調整するときスムーズに実施できます。

生前に遺影を準備する方法

最近は終活の一環で、生前に遺影を準備する方が増えているようです。その場合、自分で撮影するか、プロに依頼するかの2択となるでしょう。それぞれの方法について解説します。

自分やご家族が写真を撮影・加工する

1つめの方法は、ご自身かご家族で写真を準備する方法です。

さらに、新たに写真を撮影する場合と、既存の写真を選ぶ方法の大きく2つが考えられます。どちらの場合でも、先ほど紹介した以下のポイントに留意することが大切です。

・故人様らしさが表現されている
・故人様が大きめに映っている
・ピントが合っている
・画素数はできるだけ高め

今はスマホでもかなり高品質な写真を撮影できますので、ご自身やご家族でも十分遺影に使える写真を撮影できるでしょう。また、写真を加工するアプリも非常にたくさんあり、操作もそれほど難しくないので、ちょっとした加工であれば問題なく実施できると思います。

自分自身で遺影を用意することで、残されたご家族の負担軽減にもつながるでしょう。悲しみの中、ご家族が遺影を選ぶのは、ときとして非常につらいことでもあります。自分らしさを演出するためにも、ご自身で遺影に使う写真を用意しておいたほうがスマートかもしれません。

さらに、費用を抑えてこだわりの写真が用意できる点もメリットです。ただし、自己満足にならないように、事前にご家族に確認してもらっておくのを忘れないようにしましょう。

フォトスタジオに依頼する

2つめの方法は、フォトスタジオに依頼することです。

今はフォトスタジオで1万円程度から撮影ができるため、予算に合わせて、品質の良いこだわりの写真を撮影できます。また、服装や背景が気になるようであれば、フォトスタジオに相談することで調整が可能です。

葬儀の宗旨や規模によっては、遺影の服装をスーツや着物に合成し、背景を変更することで安心感が得られることもあります。必要に応じて相談するとよいでしょう。

葬儀後の遺影について

遺影は葬儀後も法要や仏壇でのお参りなどにも使うため、長期間利用するものであることを認識しておかなくてはいけません。飾り方は床の間や仏壇に置く、鴨居の上に置く、壁にかけるケースが一般的です。鴨居の上に置く場合は、仏壇の上や仏壇と向き合う位置に置かないようにしましょう。

ひと昔前までは、祭壇に飾った大きいサイズの写真は、床の間や仏間の欄間に飾り、ご先祖様たちのお顔が分かるようにしているご家庭が多かったです。しかし最近は、核家族化が進んだ影響により、仏間や和室がないご家庭が増え、大きい写真は葬送時から四十九日位までを目安にご遺骨と一緒に飾り、納骨後は小さい写真にして供養するケースが増えています。

まとめ

遺影は故人様と最後の時間を過ごす葬儀だけでなく、葬儀後も日々見ることになるため、今回紹介したポイントを踏まえ、納得のいく写真を準備できるようにこころがけましょう。

また遺影について、否定的な方の存在も忘れてはいけません。「葬儀のときに飾る」だけだと、あまり重要視されないご家族もいらっしゃいます。

遺影を探すことに時間をとられるよりも、少しでも長い時間を故人様と一緒に過ごしたいという考えも間違いではありません。葬儀についての価値観は人それぞれ異なるため、お互いの考え方を尊重しあうことも大切でしょう。

なお、横浜市、川崎市で葬儀行う場合には、実績豊富な弊社、お葬式の杉浦本店にご相談ください。遺影の準備や質問はもちろん、葬儀に関する疑問や悩みがある方は、24時間365日、いつでもお気軽にご連絡ください。

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