仏壇の選び方とは?注意したいポイントや設置する向きなども紹介

2022.12.01

亡くなった家族やご先祖様を供養したり、位牌などに手を合わせたりするために、自宅に設置するものが仏壇です。古い家にはよく仏間があったものですが、近年は和室すらない家も多くあります。

もちろん、必ず仏壇を置かなければいけないわけではありません。まずは、本当に仏壇を購入するべきかどうか、自宅に仏壇を置く意義から考えることが大切です。

そこで今回は、仏壇の役割を掘り下げたうえで、選ぶときのポイントや設置する向きなどについて解説します。

仏壇の役割

そもそも仏壇は、どのような目的のために設置されるのでしょうか。ここでは仏壇のおもな役割について確認しておきましょう。

家の中の小さなお寺

仏壇は、家の中の小さなお寺の役割を担います。仏壇とは仏様のご本尊(仏像等)を祀る壇のことを指し、自宅にある仏壇だけを指すものではありません。そのため、親族で亡くなった方がいるかどうかは関係なく、誰でも自宅で仏様を祀れるように、お寺の代わりとして作られました。

そのため「菩提寺(自分が属する寺)には遠くていけない」「毎日拝みたい」という方のための、心の拠り所という役割があります。

故人様と対話する場

仏壇には、故人様との対話を行う場としての役割もあります。多くの方にとって、仏壇は宗教的な祭壇としてではなく、亡くなった家族を想い出す場所や、供養する場所として捉えられていることが多いでしょう。

多くの家庭における仏壇には、ご本尊だけでなく故人様の位牌も飾られていることが多いです。そのため、仏様にというよりは、故人様に対して手を合わせる意味合いのほうが強いのではないでしょうか。

毎日、手を合わせて日常の出来事を報告したり、大切な報告をしたりする場にしている方も多いと思います。

死の悲しみを乗り越える場

ご遺族が死の悲しみを乗り越える場所であることも、仏壇の重要な役割です。大切な方が亡くなった直後は、気持ちが切り替えられず日常生活を送れなかったり、悲しみが消えずにいつまでも落ち込んでしまったりする方も多いでしょう。

そのようなときに仏壇があると、故人様を近くに感じられ、見守ってくれているような気がするものです。心の中で故人様を感じることによって、徐々に悲しみを乗り越えていけるでしょう。

先祖に感謝し子どもへ伝えていく場

仏壇は、先祖への感謝を示す場所としての役割も担います。私たちが生きていられるのは、先祖の存在があるからです。

仏壇に手を合わせることで、先祖に感謝するとともに、生きていることへの感謝ができます。また、改めて家族との繋がりを再確認することもできるでしょう。子どもがいる家庭においては、一緒に仏壇の前で手を合わせることによって「家族や先祖がどのようなものなのか」「死とはどのようなものか」を伝える場としても役立てられます。

お墓参りを代替する場

お墓参りの代わりとなる場所としても、仏壇を活用できます。もっとも理想的なのは、こまめにお墓参りをして、故人様や先祖を供養することです。しかし、お墓が遠い場合や、仕事や家庭の事情などにより、実施することは難しいのが現状でしょう。

仏壇は本来、仏教の各宗派のご本尊を拝む場所であり、お墓の代わりになるものではありません。しかし、厳密に決められているわけではなく、人それぞれの価値観や考え方によるものであるため、昔の慣習やならわしに縛られることなく、お墓参りの代わりとして拝むのもよいでしょう。

仏壇選びのポイント

仏壇を購入する場合には、いくつかのポイントを確認しておかなくてはいけません。
ここでは、仏壇を購入する際の、選び方のポイントをご紹介します。

宗派

はじめて仏壇を購入する方にとっては「宗派によって購入すべき仏壇が決まっているのでは……」と、不安を覚えるでしょう。しかし実際には、ほとんどの宗派が仏壇の選び方に規定を設けていません。

浄土真宗では金仏壇をおすすめしていますが、ほかの多くの宗派においては、金仏壇や唐木仏壇、モダン仏壇など、どれを祀っても差支えないという考え方です。ご本尊や脇侍を安置できる伝統型仏壇であれば、信仰の深いご家庭でも安心でしょう。

設置する場所

仏壇を購入する前に、自宅のどこへ設置するのか確認しておかなくてはいけません。どれだけ小型の仏壇でも、設置するためのスペースは必要です。

昨今では、さまざまな種類の仏壇があるため、昔のように仏間や和室だけに設置するわけではありません。モダン仏壇の登場によって、リビングに置くという家庭も増えています。

リビングに置くのか、仏間に置くのかなど、部屋の間取りや大きさなどによって、置ける仏壇のサイズが変わります。どれだけ気に入った仏壇でも、部屋のスペースを超えてしまうサイズしかなければ、設置できません。

ワンルームマンションなどにも置ける超小型サイズから、従来と変わらない本格サイズまで多くの種類があるため、しっかりと置き場所を考えておきましょう。

デザイン

仏壇には、大きく分けて「金仏壇」「唐木仏壇」「モダン仏壇(家具調仏壇)」の3種類があり、デザインが大きく異なります。それぞれの特徴を確認しておきましょう。

金仏壇

金仏壇とは、杉や檜などの白木を素材に漆が塗られ、彫刻や蒔絵などが随所に施された、内部に金箔や金粉を使っている仏壇です。 扉を開けると金箔の輝きが真っ先に目に入るため、豪華絢爛な点が最大の特徴だといえるでしょう。

唐木仏壇

唐木仏壇は、黒檀(こくたん)や紫檀(したん)、鉄刀木(たがやさん)などを素材とした仏壇です。木目が美しく、重厚で落ち着いた感じの雰囲気をもち、耐久性が高い点も特徴といえるでしょう。

後板(うしろいた)と呼ばれる、仏壇正面の奥にある板には金箔が施されているものもあり、昔ながらの品のある仏壇です。

モダン仏壇(家具調仏壇)

モダン仏壇とは、和室が無かったり仏間が無かったりする現代の部屋合わせやすいようにデザインされた仏壇です。一見すると仏壇とは分からないようなデザイン性の高い物も多く、家具調仏壇とも呼ばれています。サイズや形、デザインが豊富なのが特徴です。

値段

仏壇の値段は、数万円から数百万円程度のものまで、幅が非常に広い点が特徴です。近年は、
安価のものも増えたため、予算に合わせて最適なものを探しやすくなりました。

金仏壇の値段は、数万円から数千万円まで幅が広く、素材である木の種類や品質、金箔、漆、使われている金具、施されている彫刻や蒔絵などによって大きく変わってきます。

唐木仏壇の値段は、数万円から数百万円程度が相場で、素材や素材の工法、使われている金具や施されている彫刻や蒔絵などによって変わります。特に、素材の工法(総練り、総無垢、四方練り、三方練り、二方練り、前練りなど)により、使われる木材の量や質が変わるため、唐木仏壇の値段に大きく影響することを覚えておくとよいでしょう。

モダン仏壇の金額は数万円から数十万円程度のものが多く、金箔仏壇や唐木仏壇に比べ購入しやすいでしょう。ただし、素材や使われている金具や施されている彫刻、蒔絵によっては、高額になる場合もあります。

仏壇を設置する向き

仏壇は木材で造られているため、直射日光や水分によって劣化しする可能性があります。そのため、仏壇を長持ちさせるためには、窓際や湿気の多い場所は避け、できるだけ風通しのよい場所に置くことが基本です。

では、仏壇を設置する際、向きに決まりはあるのでしょうか。仏教では、どの方角にも仏様がいると考えられているため、仏壇を設置する向きに決まりはありません。ただし、いくつかの説があるためご紹介します。

南面北座説(なんめんほくざせつ)

南面北座説とは、仏壇の正面を南へ向け、背面を北へ向けて置く考え方です。位の高い方は南を向いて座るため、家来たちは北を向いて座るという、中国の慣習に由来するものといわれています。

また、釈迦も南向きに座って説法をしていたと伝えられるため、南向きがよいといわれるそうです。直射日光が当たらず風通しもよいのも、この方角に置くメリットだといえるでしょう。なお、上記の理由があるため、仏壇の北向きはよくないといわれることもあります。

西方浄土説(さいほうじょうどせつ)

西方浄土説とは、仏壇を東へ向けて置く考え方です。極楽浄土の方向である西に向かって、お祈りができます。また陽が昇る東は、立身出世の象徴とされているため「主人は東向きに座るのがよい」とされた、インドの慣習に由来するものともいわれています。

本山中心説(ほんざんちゅうしんせつ)

本山中心説とは、仏壇を拝んだときの延長線上に、宗派の総本山がくるように置く考え方です。仏壇を通して、総本山に手を合わせる考え方に基づいています。宗派や住んでいる地域、部屋の位置によって、仏壇の位置や向きが異なる置き方です。

春夏秋冬説(しゅんかしゅうとうせつ)

春夏秋冬説とは、仏壇の向きにこだわらず、ご先祖様が安らかに眠れる場所であればどこでも問題ないという考え方です。

四季は、それぞれの方角に例えられます。万物が芽生える春は陽が昇る東、成熟する夏は陽がもっとも強くなる南、収穫の秋は陽が沈む西、万物を納める冬は陽が遮られる北に例えられることが一般的です。四季それぞれの大切さに違いがないように、方角にも差異はないという考え方といわれています。

これは釈迦によって説かれた「すべての物事は理を持っている」という、宇宙の法則に則ったものです。「東西南北に良し悪しをつけるべきではない」という考えが由来とされています。

開眼供養について

仏壇や位牌を新しく購入した際、もしくは引越しや場所の移動により、仏壇を動かすときに必要になるのが、開眼供養(かいがんくよう)と呼ばれる儀式です。はじめて仏壇を購入する方にとっては、聞きなれない言葉かもしれません。

仏壇は、設置するだけでは単なる箱にすぎません。開眼供養とは、仏壇やお墓、位牌などを新しく購入する際、僧侶を招いて読経してもらう儀式です。僧侶に読経してもらうことによって、安置している仏壇のご本尊(仏像)や、位牌の目を開くことで霊験(れいげん)が宿るといわれています。

霊験とは、お祈りをすることです。神仏が示す、不思議な利益や験のことを意味します。
仏壇の中に安置されているご本尊や位牌に、魂を入れ込む儀式といえるため「御魂入れ」「御性根入れ」「入魂式」などとも呼ばれています。

開眼供養は、仏壇に対して行うものではなく、仏壇の中に安置されているご本尊や位牌に対して行う儀式です。仏壇を購入する際には、仏壇だけでなく、ご本尊や位牌なども一緒に購入されると思います。開眼供養を行うことによってはじめて、仏壇が手を合わせて感謝をしたり、供養をしたりする対象になるのです。

仏壇を購入するタイミング

仏壇を購入するタイミングに、決まりはありません。万が一、ご家族に不幸があった場合には、四十九日法要までに準備しておくとよいでしょう。

また、お彼岸やお盆、回忌法要をはじめ、自宅を新築するときなどに、仏壇を購入する方も多いようです。

仏壇を購入するお店を見極めるポイント

近年、仏壇はインターネットなどでも購入できますが、やはり実際にお店に行って、現物を確認してから購入するのがおすすめです。ここでは、仏壇を購入するお店を見極めるポイントをご紹介します。

仏壇公正取引協議会ステッカーの有無

出典:仏壇公正取引協議会

仏壇公正取引協議会のステッカーが貼ってあるお店であれば、比較的安心して仏壇を購入できるでしょう。仏壇公正取引協議会とは、消費者が安心して仏壇を選べる環境を実現するために活動する団体です。

仏壇公正取引協議会の加盟店は、適正な価格や品質、原産国を表示することが義務付けられています。そのため、一般消費者にとっては、良い仏壇店を探す目安のひとつだといえるでしょう。

店員の対応

店員が、親身に相談に乗ってくれて、相談に丁寧な対応をしてくれることも、仏壇を購入するお店を選ぶ大切なポイントです。はじめて仏壇を購入する際には、わからないことが多いのは当然でしょう。

商品について詳しく説明してくれるなど、購入時はもちろん、購入後の不安を解消してもらえる店員が対応してくれるお店であれば、仏壇を安心して選びやすいためおすすめです。

保証内容

仏壇は長期間使用するものであるため、保証内容が非常に大切です。できる限りアフターフォローの内容が充実しているお店で、購入することをおすすめします。

仏壇は購入後、30~50年程度使用することが一般的です。どれほど安価な仏壇であるとしても、保証がまったく付いていないものは避けたほうがよいでしょう。

極端な値引きの有無

通常価格の「半額」「70%オフ」など、極端な値引きをしているお店は要注意です。誇大な値引き表現をしているお店も存在します。そのため、実際にはそれほど安くない価格である可能性もあるためです。

仏壇の値段設定は自由なため、気になる商品がある場合は、ネットなどで複数の店舗の価格を比較調査しておきましょう。

まとめ

どのような種類の仏壇を購入するかについては、現在のライフスタイル(持ち家や賃貸、転勤・引っ越しの有無)や設置場所、予算などによって変わってくると思います。

また、将来自分が亡くなった後、誰が仏壇を守っていくのか、その際の設置場所が確保できることも重要なポイントです。さまざまな点を考慮し、購入の際には、ご家族と相談して選ぶようにしましょう。

仏壇は、一生のうち一度買うか買わないかの重要な品物です。仏壇の選び方が分からないのは当然でしょう。設置場所の寸法を測ったうえで、店舗へ足を運び、実際にサイズ感や材質を確認してみるべきでしょう。

横浜市や川崎市で仏壇の購入を検討する際には、実績豊富なお葬式の杉浦本店にご相談ください。24時間365日いつでもお気軽にお問い合わせください。

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