キリスト教におけるお葬式の流れとは?宗派による式次第の違いやマナーもご紹介

2023.05.11

日本のお葬式は9割近くが仏式葬儀です。しかし、お葬式を執り行う方がすべて仏教徒であるとは限りません。その他の宗教を信仰している場合や、近年は無宗教の方も多いでしょう。

仏教以外の宗教で、日本人がよく知っているものの1つがキリスト教です。実際に日本人のキリスト教徒も一定数いるため、お葬式をキリスト式で行うケースが散見されます。

そこで今回は、キリスト教のお葬式の流れとマナーをご紹介します。ある日、キリスト教のお葬式に参列しても慌てずに済むよう、この機会に見識を深めてみてはいかがでしょうか。

キリスト教とは

キリスト教とは、イエス・キリストを救い主といて信仰する宗教です。キリスト教徒は、神の子であるイエスが人となって十字架にかかり、死んだ後に復活したものと信じています。
聖書と呼ばれる神の言葉を記した書物を読むのが、キリスト教徒の特徴です。

キリスト教は入信することによって「病気が治る」「良いことが起きる」「商売が繁盛する」「交通事故から守られる」「貧乏から抜け出せる」といった宗教ではありません。キリスト教とは、イエス・キリストを神の子・救い主と信じることによって、罪が赦されるという宗教です。人々が抱える罪は、イエス・キリストを信じることによって赦される、イエス・キリストが私たちの罪をすべて受けとめ、十字架の上で代わりに罰せられていると信じられています。

またキリスト教には、カトリックやプロテスタント、正教会といった、さまざまな宗派があることも特徴です。

キリスト教におけるお葬式の流れ

キリスト教におけるお葬式の流れは、仏式のものと大きく異なります。そのため、事前に式の大まかな流れを確認しておくと安心です。

ここでは、キリスト教におけるお葬式の大まかな流れをご紹介します。

1.臨終から納棺

訃報を受けた際には、まず葬儀会社へ連絡をします。このとき、故人様のご遺体をどこへ搬送するのか伝えましょう。

ご遺体を安置した後、牧師や神父と連絡を取り、納棺のお祈りを実施する日取りを決めます。ただし近年は、教会とお付き合いがない場合や、教会のルールにより納棺は葬儀会社に任せるケースも多いようです。なおキリスト教の場合、ご遺体を安置するとき北枕は関係ありません。

2.葬儀会社との打ち合わせ

葬儀会社とお葬式のプランや実施場所、火葬場の予約などについて打ち合わせを行います。教会でお葬式を行う場合は、教会に連絡をして日時を決めなくてはいけません。

プロテスタントの場合、葬儀会館での葬儀も可能です。カトリックの場合は、教会でのお葬式になる可能性が高いでしょう。その他にもお葬式の規模や参列者の人数(献花の数)、祭壇のお花、返礼品の数(お花料のお返し)、会食の有無など、決めなくてはいけないことが非常に多いです。

3.通夜の集い(カトリック)または前夜式(プロテスタント)

仏教のお通夜に該当する儀式である、通夜の集い(カトリック)、または前夜式(プロテスタント)を執り行います。故人様のご遺体を安置し、祈りや賛美歌を捧げる儀式を行うことが一般的です。

それぞれの式次第は、以下の通りです。

・式次第(カトリック)

通夜の集い

聖歌

 

司祭のお言葉 

聖書朗読

オルガン等の間奏

ヨハネの福音、ヨハネの黙示録

祈り 

 

献花

 

結びの祈り

 

親族挨拶

 

・式次第(プロテスタント)

前夜式

賛美

聖歌(讃美歌合唱)

聖書

聖書朗読、祈り

賛美 

聖歌(讃美歌合唱)

聖書メッセージ 

牧師のお話・祈り

親族挨拶 

ご遺族による故人様のお話

献花  

献花、およびお焼香

前夜式の終了後、会食、および茶菓のおもてなしがあります。

4.お葬式

神父や牧師を先頭に参列者が入場し、開式の祈りを行います。その後、葬儀のミサや礼拝を行い、故人様の生涯や思い出を語るのが一般的な流れです。最後に、神父や牧師が故人様に祝福を与え、参列者が別れの挨拶を行います。

それぞれの式次第は、以下の通りです。

・葬儀ミサの式次第(カトリック)

カトリックのお葬式は葬儀ミサと呼ばれ、故人様の魂が天国に行けるように祈る儀式です。

葬儀ミサ

開祭

入堂聖歌、聖水、献香

招きの言葉

司祭主導キリストの信仰の祈り

言葉の典礼

聖書朗読、司祭お話

共同祈願

参列者一同の祈り

感謝の典礼 

奉納の歌、奉納文朗読など

告別式 

祈り、献香、故人様の略歴紹介、弔電、献花

・入堂聖歌:教会に入るときに歌われる聖歌。教会の雰囲気に合わせて静かに歩く

・開式の辞:司祭が故人様の名前を呼び、葬儀の目的と意義を説明

・葬儀のミサ:故人のために祈りと聖書の朗読を行う。ご遺族や友人からも祈りの言葉が述べられる

・感謝の典礼:パンとぶどう酒が祭壇に捧げられ、イエス・キリストの最後の晩餐を再現。カトリックでは、パンとぶどう酒がキリストの身体と血になると信じられている。洗礼を受けた信者は、司祭からパンを受け取って食べる(聖体拝領と呼ぶ)
洗礼を受けていない方は、自席で祈る。日本では、司祭から祝福を受けたい方が、両手を合わせて司祭の前に進む
・告別と葬送:司祭が告別の祈りを捧げる。棺に聖水をかけて洗礼を思い出させ、棺や祭壇に香を焚いて祈りが天に届ける。弔辞や弔電披露、喪主や親族代表の挨拶、献花などを実施

・出棺:棺が教会から運び出されます。火葬場で火葬が行われ、ご遺骨を拾います。後日、納骨が行われます。

カトリックのお葬式は、仏式とは異なるマナーもあるため注意が必要です。服装は黒や紺など地味な色で、白いハンカチや白い花束などは避けます。お香典やお供え物も不要です。故人様やご遺族に対する挨拶も控えめにしましょう。

・告別式の式次第(プロテスタント)

プロテスタントのお葬式は告別式と呼ばれ、カトリックとは異なる特徴があります。プロテスタントでは、死を神の祝福と捉え、故人様の魂はすでに天国に召されたと信じられる点が特徴です。そのため、神への礼拝が中心となり、故人様の罪の赦しを求めることはありません。

プロテスタントのお葬式の流れは、以下の通りです。

告別式

前奏

 

賛美 

聖歌(讃美歌合唱)

聖書

聖書朗読、祈り

略歴 

故人様の経歴のお話

想い出(弔電)

弔辞、弔電など

賛美   

聖歌(讃美歌合唱)

聖書メッセージ

牧師お話、祈り

親族挨拶 

親族代表挨拶

献花 

献花、およびお焼香

・入場:オルガン演奏の中、参列者は教会に入る。ご遺族は最後に入場

・開式:牧師が開式の言葉を述べる。参列者は起立

・聖書朗読:牧師やご遺族が聖書から選んだ箇所を朗読。参列者は座って聞く

・説教:牧師が故人様の人生や信仰について説教。参列者は座って聞く

・祈り:牧師が祈りの言葉を述べる。参列者は起立

・賛美歌:牧師やご遺族が選んだ賛美歌をオルガン伴奏で歌う

・献花:ご遺族やご親族、友人などが順番に花を手向ける。参列者は起立

・閉式:牧師が閉式の言葉を述べる。参列者は起立

・退場:オルガン演奏の中、遺族が先に退場。参列者も後に続く

5.火葬・埋葬

キリスト教では土葬が基本ですが、日本では多くの場合、火葬で執り行われます。火葬場でご遺体を棺に入れて火葬するか、あらかじめ火葬しておいたご遺骨を埋葬するのが一般的です。火葬の際にも、祈りや賛美歌を捧げます。

キリスト教におけるお葬式のマナー

キリスト教のお葬式に参列する際には、いくつか注意すべき点があります。例えばキリスト教のお葬式では、香典の代わりに御花料というお金を渡すのがマナーです。封筒に「御花料」と書き、金額は1万円程度が相場といわれています。

ここでは、カトリックとプロテスタントのお葬式で注意すべきマナーと、献花・供花のマナーをご紹介します。

カトリックのお葬式で注意すべきマナー

カトリックのお葬式に参列する場合、以下のようなマナーに注意しましょう。

服装は黒や紺などの地味な色で、露出の少ないものを選びます。ネクタイやバッグなどの小物も同様です。髪飾りやアクセサリーは控えめにします。ピアスやネックレスは外すか隠しておきましょう。靴は黒や茶色などの革靴で、スニーカーやサンダルは避けます。

香典は不要ですが、献花や献金をする場合は、教会や葬儀会社に確認してください。お葬式では、司祭の指示に従って座ったり立ったりすることに加え、祈りを捧げる際には頭を垂れることや手を合わせることもあります。

司祭が聖体拝領と呼ばれる儀式を行うときは、カトリック信者以外は座ったまま静かに見守るのがマナーです。ご遺族への挨拶は、お葬式の後に行います。お悔やみの言葉は「心よりご冥福をお祈りいたします」というのが一般的です。

プロテスタントのお葬式で注意すべきマナー

プロテスタントのお葬式における服装や香典、式におけるマナーはカトリックと同様です。

司祭が聖餐の儀式を行うときは、プロテスタント信者以外は座ったまま静かに見守ります。
ご遺族への挨拶はお葬式の後に行い、カトリックと同様、お悔やみの言葉は「心よりご冥福をお祈りいたします」というのがマナーです。

献花と供花のマナー

キリスト教のお葬式では、献花は参列者が一人一本ずつ故人様の棺や祭壇に供えます。献花には洋花を使うのが一般的で、白いカーネーションがもっともポピュラーです。献花は両手で持ち、茎が丈夫で、持ちやすく、まっすぐであることが重視されます。

供花は、葬儀ミサに出席できない場合や、親しい関係者である場合に贈る弔花です。供花は仏式に準じた籠花やスタンド花で問題はありません。しかし、事前にご遺族に確認することが望ましいでしょう。

供花の相場は15,000円から30,000円程度ですが、贈る相手や関係性によって変わります。

まとめ

キリスト教のお葬式に参列する機会は、それほど多くはないかもしれません。仏式のお葬式と比べると異なる点が多いため、本記事の内容を参考に見識を深めてもらえれば何よりです。

一般的なお葬式は故人様を中心に執り行われますが、キリスト教のお葬式は神様が中心です。人間を中心としたお葬式は、故人様の遺影が正面の中央に高く掲げられ、これを拝む形で死期が進行します。一方、キリスト教においては、人間はあくまでも神様の被造物であるため神に祈りを捧げることになります。そのため、十字架が正面に高く掲げられており、遺影はそれよりも低い位置に設置するか、左右どちらかの脇に置くことが一般的です。

ただし、キリスト教におけるお葬式のやり方は、教会ごとの信仰による判断が大きく、遺影の位置や棺の置き方も縦や横など異なります。信仰は教会の個性であり、基礎は同じでも、そこに築かれる信仰は個人独特のものです。の信仰が聖書の教えに反するものでない限り、尊重するべきでしょう。

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