葬儀社は変更できるのか?選び方に失敗した方が知るべき注意点を解説

2022.05.26

大切な方との別れは、突然やってくるものです。近年、事前相談や会員制度などで、前もってお葬式の準備をする方が増えています。しかし、何の準備もできないままお別れの日を迎える方が多いことも事実です。

葬儀に関する知識や費用の相場観も知らない中で、人生の一大イベントである葬儀を託せる葬儀社を探すことは、とても大変な作業だと思います。その方に合った葬儀社に巡り合えればよいですが、そうではない可能性も高いでしょう。

対応が悪かったり、法外な費用を要求してきたりする葬儀社に依頼してしまった場合には「途中から葬儀社を変更することは可能なのか?」という考えが浮かぶかもしれません。そこで今回は、葬儀社の変更可否や変更したくなる理由、変更するための手順などについて解説します。

葬儀社を変更することは可能なのか?

結論から言うと、一度依頼した葬儀社であっても、途中で変更することは可能です。ただし、途中までに発生した費用などの清算が必要になります。

大切な方が亡くなった後、非常に短い時間で葬儀社を決めなくてはいけません。そのため、病院などに紹介された葬儀社へ依頼したものの「あまりよくない……」という状況になる可能性もあるでしょう。また、葬儀にかかる費用の相場観もわからないので、法外な見積もりを提示されても、正しい判断を下すことは困難です。

次章では、葬儀社を変更したくなる理由を紹介します。

葬儀社を変更したくなるおもな理由

なぜ、一度はお願いしようと思った葬儀社を途中で変更しようと思うのでしょうか? 日々、ご遺族様とご相談をする中で、お聞きする理由は大きく2つです。それぞれについて解説します。

費用が相場より高い

1つめの理由は、説明の食い違いが挙げられます。特に金額面に関して、最初の説明と途中で内容が食い違うことがある場合に、葬儀社を変えたいと思うそうです。

最初に相談した時点では、とても安い金額で葬儀を行えるかのような説明を受けます。しかし、打合せを進めていくうちに「あれが無いとできない」「これが無いとおかしい、恥ずかしい」などと、どんどんオプションが追加され、最終的には当初の5倍以上の金額にまで膨れ上がったケースもあるようです。

同じ葬儀業界で働くものとしては恥ずかしい限りですが、今でもこうした悪徳な葬儀社が存在します。

現在はインターネットによって、葬儀社と一般市民の葬儀についての情報格差がかなり縮まってきたと思います。とはいえ、ご自身が葬儀を主宰する喪主の立場になるのは、数十年に1度程度しかありません。そのため、葬儀社の言いなりになってしまい、受け入れてしまう方が多くいらっしゃるのでしょう。

もちろん、打合せの次点ですぐに違和感を持つ方もいます。また、一旦は納得したものの、時間をおいて冷静になったときに「おかしい」と気がつく方もいるでしょう。ほかのご親族や知人に相談をして、気づくケースも多いです。

葬儀社の対応が悪い

葬儀社を途中で変えたくなる2つめの理由は、応対するスタッフの問題です。例えば、応対するスタッフと人間的に相性が悪いことや、気持ちよくお願いできない点などが挙げられます。

葬儀社のプラン内容や式場設備などが満足のいくものであったとしても、応対するスタッフの言動に違和感を持つことがあります。葬儀費用の内訳は、祭壇や棺、ドライアイスといった物品が並んでいますが、実際にそれらを使って葬儀を形作っていくのは、目の前にいるスタッフです。

素材を活かすも殺すもスタッフ次第なので、たとえどんなに豪華なお花が飾ってあったとしても、応対するスタッフに心が感じられない場合は、すべてが台無しになることもあるでしょう。そのため、最初に葬儀社と打ち合わせをするタイミングで「安心して葬儀を任せられない」と感じ、別の選択肢を探し始める方もいます。

葬儀社を変更するときの手順

葬儀社を途中で変更する場合には、短時間で以下の手順を踏む必要があります。そのため、大まかな流れを確認しておくと、いざというときに役立つでしょう。

新しい葬儀社を探す

まず、新たに葬儀を依頼しようと思う葬儀社に電話などで相談します。葬儀社の選択を2回も間違う訳にはいかないので、納得がいくまで細かいところまで電話で確認しましょう。

例えば費用面であれば、基本プランの金額だけでなく、式場代や火葬料、安置料といった葬儀を行う際に必ずかかる費用も含めた総額で確認することが重要です。

また、葬儀社によって使用できる斎場が異なります。その葬儀社が自社で所有している式場は、その葬儀社しか使えません。逆に市営や民営など、その葬儀社が所有していない式場であれば、同じ日程のまま別の葬儀社へ引き継ぐことも可能です。

最初の葬儀社の費用を清算する

新たな葬儀社との相談が終わり、費用・応対ともに納得ができたら、最初の葬儀社にキャンセルの意思を伝えます。その際、ここまでにかかった費用の清算と、葬儀社によってはキャンセル料の支払いが必要になるでしょう。

具体的には、搬送にかかった寝台車の費用やご遺体の安置にかかったドライアイス、安置所の費用などが清算対象です。搬送の距離やご安置の日数によりますが、数万円~10万円以下くらいで収まることが多いと思います。ただし、ご遺影写真の作成や故人様へのメイクなど、実施済みの項目があれば、その分の費用は支払いが必要です。

新しい葬儀社への引継ぎを行う

無事にキャンセル料の確認ができたら、具体的に葬儀社の変更・引継ぎを進めていきます。

故人様のご遺体を葬儀社の式場などに安置している場合は、安置場所の移動が発生します。一般的には新しく葬儀を引き受ける葬儀社が、故人様がお休みになっている安置所へお迎えに行くケースが多いです。安置所によっては搬送の受入可能な時間帯が限られていることがあるため、具体的な時間については葬儀社同士で連絡を取り合って調整してもらうとよいでしょう。

このとき、ご家族が立ち会う必要があるかどうかについては、最初に依頼した葬儀社の方針によります。一般的にご遺体の引渡しだけであれば、ご家族が立ち会う必要はありません、しかし、このタイミングでキャンセル料の精算を行ってほしいという葬儀社もあるため、その場合はご家族が精算を行ったうえで、故人様の引渡しを行います。キャンセル料は後日、請求書が届いて振込対応を求められるケースも多いです。

また、葬儀式場の引継ぎを行う必要もあります。すでに菩提寺やご親族などに、葬儀の日時を案内している場合は、式場の場所や日程の変更はしないほうが賢明です。葬儀の日程が変わると、参列が難しくなる方が増えます。さらに、十分に連絡が行き届かない場合には、以前連絡した日程で参列を予定している方もいるでしょう。

使用する予定の斎場が、最初に依頼した葬儀社の直営施設だった場合は、新たな葬儀社が使用できないので、式場の変更をせざるを得ません。しかし、公営や民営の貸式場であれば、原則として葬儀社を変更できなくはないです。斎場の引継ぎについても、ご遺体の引渡しと同じように、葬儀社同士で連絡を取りあって調整してもらうとスムーズでしょう。

仮に同じ斎場のまま引き継がれなかった場合も、最近は小規模の葬儀が主流になっているため、そこまで大きな問題にはならないと思います。

葬儀社を変更するときに注意する3つのポイント

葬儀社を変更する際には、以下で紹介する3つのポイントに注意しなくてはいけません。それぞれの内容を解説します。

ポイント1.葬儀の日程が変更になる可能性がある

葬儀社を途中で変更する際には、葬儀の日程が変更になる可能性がある点を考慮しておく必要があります。

葬儀社同士の引継ぎには、ある程度の時間が必要なため、当日がお通夜・お葬式というあまりにもスケジュールがタイトな場合には、同じ日程で対応できない可能性もあるでしょう。また、すでに予約した火葬場などのキャンセルによって、次の予約がスムーズに取れない可能性もあります。

とはいえ、葬儀社間の引継ぎがうまくいくケースもあるので、変更の依頼をする際には、できるだけ早く手続きを行うようにしましょう。

ポイント2.キャンセル料を支払わなくてよい場合がある

別の葬儀社に変更する際、葬儀社によってはキャンセル料を要求される場合があります。もちろん、それまでにかかった実費については支払う必要がありますが、キャンセル料については払わなくてもよい場合があるので注意が必要です。

葬儀社によっては打合せ段階で契約書を作成して、その条項の中にキャンセル料の規定が記載されているケースもあります。(例:「葬儀の●●日前にキャンセルの場合、葬儀費用の50%をお支払い頂きます」など)

そういった業者は、葬儀代を高く設定していることを自覚していて、キャンセルを防ぐためにキャンセル料の規定を設けている可能性もあるでしょう。しかし、キャンセル料の規定があった場合でも、そもそもの説明不足などを理由に、実費のみの精算となるように交渉することも可能です。

例えば、事前説明が不十分、かつキャンセルの理由が前の葬儀社にある場合は、債務不履行に該当するため、キャンセル料を支払う義務は発生しません。有事の際には、消費生活センターなどにも相談できますので、悪質な業者の言いなりにならないように注意しましょう。

参考:横浜市消費生活総合センター/相談窓口案内

電話番号:(045)845-6666 土日を含む毎日受付(祝日、年末年始は除く)

ポイント3.ご遺体の安置場所をできるだけ自宅にすること

最初にお願いした葬儀社の対応に違和感があった場合や流れで葬儀社を決めてしまった場合などには、可能であれば故人様のご遺体をご自宅に安置するようにしましょう。葬儀社の安置所にご遺体を安置すると、心理的に断りづらくなるためです。

「なんとなく悪いな……」という心理状態になると、ほかの葬儀社を探して変更しづらくなります。そのため、葬儀を依頼する際には、断りづらい状況にならないように、事前にプランの詳細に関する説明と、それぞれの費用内訳を明示してもらいましょう。

変更理由を尋ねられたときに、最初の説明と明らかにサービス内容が違う部分があれば、気がねなく伝えられると思います。

まとめ

葬儀社を途中で変更することは、珍しいことではありません。また、手続きも非常に簡単です。

もちろん、最初にお願いした葬儀社の説明・応対に納得できて、そのまま最後まで進めることが最良でしょう。しかし、少しでも違和感があれば、葬儀社の変更を検討したほうがよいと思います。

同じ内容のプランであっても、数十万円以上の差が出ることも珍しくありません。変更したことによって、親身になって応対してくれるスタッフに出会える可能性もあるでしょう。

キャンセル料として数万円~10万円程度の費用が余計にかかったとしても、トータルで見れば変更したほうが安く収まるケースも多いです。そして何よりも、違和感を持ってしまった葬儀社に大切な方のお見送りをお願いすることは、精神的にもあまりよくないと思います。

「故人様を何度も移動させてしまい申し訳ない」「最初の葬儀社選びを誤ってしまって恥ずかしい」という気持ちもあるかもしれませんが、残されたご家族の皆様が、本当に気持ちよくお見送りをできることがもっとも大切なことです。

ぜひ、悔いのないお見送りができるように、妥協せずに準備を進めていただければと思います。

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