「おりん」とはどのような仏具なのか?鳴らす意味や種類なども紹介

2022.07.04

お仏壇などに置かれている「おりん」をご存じでしょうか?おりんと言われても、いまひとつピンとこないかもしれません。しかし、叩くと「チーン」と音がするものだと聞けば、多くの方は、おりんがどのようなものなのかイメージできると思います。

おりんにはいくつか種類があり、また鳴らし方や回数なども決まっているので、覚えておくと安心でしょう。今回はおりんがどのような仏具なのか解説しつつ、鳴らす意味や鳴らし方、回数、選ぶときのポイントなどを紹介します。この機会に、おりんという仏具の見識を深めておきましょう。

おりんとは

おりんとは、金属のお椀のような形状の仏具のことです。りん棒と呼ばれる棒でおりんを叩くと「チーン」「リーン」という音が鳴ります。また、おりんは梵音具の一種で、木魚などと同じ部類にカテゴライズされます。

おりんは宗派によって呼び方が異なる点が特徴です。日蓮宗では「鈴(りん)」、浄土真宗や天台宗では「鏧(きん)」、それ以外の宗派においては「鐘(かね)」と呼ばれています。

おりんを鳴らす理由

おりんの「チーン」という音は、荘厳な雰囲気を作ることで邪気を払い、仏様まで届くといわれており、故人様やご先祖様を供養するために鳴らされます。また、おりんには諸天善神の来臨を乞う意味があるそうで、ご先祖様に降臨してもらうことも、鳴らす理由のひとつです。

さらに、おりんの音は、読経の音やリズムを合わせるという目的もあります。読経の最初と途中、そして最後におりんを鳴らすことによって、全体の流れを把握することが可能です。

おりんの種類は大きく4つ

おりんには多くの種類があります。おもなおりんの種類を4つ紹介するので、それぞれの特徴を確認しておきましょう。

1.鉢型

鉢型のおりんは、もっとも一般的な鉢や壺のような形状のものです。りん台とりん布団がワンセットになっており、りん棒で鳴らします。

鉢型のおりんは、りん棒で直接叩く必要があるため、りん布団を敷いて衝撃をやわらげることで、傷などが付くのを抑制する点が特徴です。

2.印金

印金(いんきん)とは、携帯用のおりんです。印金には持ち手におりんと小さなりん布団が付いており、りん棒で鳴らします。

お墓詣りや各種法要、巡礼など、外部でおりんを利用する際には、印金が用いられることが一般的です。

3.高台りん

高台りんとは、脚が付いたタイプのおりんです。

ワイングラスのような形状で、りん台を利用する必要がありません。その代わりに、りん敷と呼ばれる下敷きのような幕を敷いて、りん棒で叩いたときの衝撃をやわらげることがあります。

4.モダン・洋風仏壇用のおりん

最近はお仏壇も多様化しており、モダン・洋風仏壇用に作られたおりんもあります。

モダン仏壇や洋風仏壇にマッチするようにデザインされており、デザインや素材も多様です。例えば、動物の形を模したおりんや、ガラスや木などで作られたものなどもあります。

おりんの鳴らし方と回数

おりんには鳴らし方と回数が決められています。むやみに「チーン」と鳴らさないように、大人のたしなみとして、おりんのルールを覚えておきましょう。

おりんの鳴らし方

おりんの鳴らし方はいたって簡単で、おりんの横をやさしく叩くだけでOKです。イメージとしては、りん棒を軽く弾ませ、おりんの横に触れるように叩きます。宗派によっては、おりんの内側を叩く場合もあるため、事前にご親戚や葬儀会社のスタッフなどに確認しておくと安心でしょう。

おりんを鳴らすタイミングは、読経を行うときです。そのため、何もしないときに、むやみに「チーン」と鳴らすのはルール違反といえます。

なお、おりんの縁を叩くのはNGです。おりんが壊れる可能性があるので、絶対に縁は叩かないようにしましょう。

おりんを鳴らす回数

おりんを鳴らす回数は、1~3回が一般的です。そのため、通常のお墓参りなどの場合であれば、1~3回鳴らせば問題はないでしょう。また、お仏壇にお参りする場合などは、お線香をあげ、合掌する前に鳴らします。

前述したように、おりんを鳴らすタイミングは、読経の最初と途中、最後です。それぞれのタイミングで、1~3回おりんを鳴らします。ただし、宗派によっておりんを鳴らす回数が違う場合があるため注意が必要です。

・真言宗:2回(1回目は強め、2回めは弱めに鳴らす)
・曹洞宗:内側を2回~3回鳴らす
・浄土宗:八下げ(はちさげ)と呼ばれ、合計8回鳴らす
・浄土真宗:最初に2回、途中で1回、最後に3回鳴らす

なお、おりんを鳴らすタイミングは、合掌をするタイミングではありません。僧侶が合掌をしたタイミング(おもに読経の最初と最後)に合わせて合掌をするようにしましょう。

おりんを選ぶ3つのポイント

おりんにはさまざまな種類があるので、選択時のポイントを覚えておくと、ご自分が望むものを絞り込みやすくなるでしょう。そこで本章では、おりんを選ぶ3つのポイントを紹介します。

ポイント1.サイズ・デザイン

おりんを購入する際には、お仏壇のサイズとデザインに合ったものを選ぶのがポイントです。

一般的なおりんのサイズは、7~15cm程度ですが、モダン・洋風仏壇に合わせたデザインのものの中には、これ以外の大きさもあります。お仏壇に見合わない大きなおりんを購入してしまわないように、事前に大きさを確認しておくと安心です。

また、最近はさまざまな種類のおりんが販売されているので、故人様やご自身が好きなデザインのものを探してみてもよいでしょう。

ポイント2.宗派

ご自身が信仰する宗派も、おりんを選ぶときに確認しておくべきポイントです。宗派によっては、りん台やりん布団の使い方が指定されている場合があります。

例えば浄土真宗本願寺派の場合、六角形や丸い形のりん台を使っておりんを用いることが一般的です。また、浄土真宗大谷派のおりんは、四角形のりん台に乗せて使います。りん台の上には「金襴輪(きんらんわ)」という輪を置くため、りん布団を使わない点が特徴です。

ポイント3.音色

おりんを叩いたときに鳴る音色も、選択時の重要なポイントだといえるでしょう。おりんは形状や材質によって、音色が大きく異なるため、好みのものを選びましょう。

一般的には、音割れがなく、余韻がきれいな音色のものが好まれます。しかし、良い音色の定義はないので、実際に鳴らしてみて、自分の耳で確認することが大切です。

おりんの価格相場

おりんの価格相場は、デザインや大きさ、材質によって異なりますが、安価なものであれば3,000~5,000円程度です。一方、豪華な装飾や凝ったデザインのおりんは、15,000〜20,000円程度が価格の相場といえるでしょう。

おりんは仏壇仏具店やホームセンター、またネットでも購入できます。自分の気に入ったデザインや材質のものをいくつかピックアップし、比較検討して決めるのがおすすめです。また、おりんのデザインや音色は実際に店頭で確認しておいたほうが安心でしょう。

まとめ

仏壇に何気なく置かれているおりんですが、鳴らす理由があることはもちろん、鳴らし方や回数、そして多数の種類のものがあることが理解できたと思います。「チーン」と鳴らすおりんの音色には、故人様やご先祖様を供養する意味が込められているので、ぜひ今回の内容を参考に最適なものを選んでもらえれば何よりです。