喪中はいつまで?意味や控えるべきこと、忌中との違いなどを解説

2022.05.26

毎年12月が近づくと「喪中はがき」という言葉をよく耳にするかと思います。身内の方が亡くなった際、周囲の方へ年始の挨拶を控えることを通知するものが喪中はがきです。

ところで、喪中はがきの「喪中」について、具体的な期間をご存知でしょうか。「なんとなく1年くらいだったかな?」という認識の方が多いと思います。

そこで今回は、喪中の期間や意味、控えるべきこと、忌中との違いなどについて解説するので、この機会に覚えてしまいましょう。

喪中とは

喪中とは、故人様の死を悼み、近親者が世俗との関わりを避けて慎ましく暮らす期間のことです。つまり、身内の方を亡くしてしばらくの期間は、お祝い事や交際などを控えるという社会通念を表した言葉といえるでしょう。

喪中はがきには「喪に服しているため、新年の挨拶を控える」ことをお知らせする意味があります。

喪中と忌中の違い

喪中の具体的な期間を説明する前に、よく似た言葉である「忌中」との区別を解説しておきます。

忌中とは「死=穢れ」という神道の考えに由来し、穢れを他人にうつしてしまわないように、外部との接触を断つ期間です。現代の日本では、仏教にもこの考えが取り入れられています。また、忌中が終わることを「忌明け」と呼びます。

一方、喪中とは忌中を含んだ、忌中よりも長い期間のことです。前述の通り、故人を悼んで、身を慎む期間といえます。つまり、忌中のほうが宗教的な意味合いの強いものだといえるでしょう。

喪中はいつまで?喪中と忌引きの期間

では、忌中と喪中の具体的な期間を紹介します。故人様との関係性によって期間が異なるため、ご自身のケースに当てはめて確認しておきましょう。

喪中の期間

忌中と喪中の一般的な期間は、以下の通りです。

・忌中:四十九日法要まで(仏教)、五十日祭まで(神道)
・喪中:故人様の死から1年間。一周忌法要まで(仏教)

喪中は忌中に比べ、かなり長い期間であることを認識しておきましょう。

ちなみに、浄土真宗やキリスト教には、忌中や喪中という概念はありません。浄土真宗の教えでは、亡くなった方はすぐに仏様になるとされています。そのため、現世に魂がさまよったり、穢れを残したりすることがないわけです。

一方、キリスト教では、そもそも死を忌み嫌うという考えがないため、必然的に喪中も存在しません。ほとんどの日本人に喪中が浸透しているのは、宗教上の規則や戒律を超えて、マナーの領域にまで近づいているからでしょう。

喪中の期間をおおよそ1年間と紹介しましたが、故人様との関係性によっても異なります。

故人様との関係

喪中の期間

配偶者、親

12~13か月

子ども

3~13か月

兄弟姉妹

3~6か月

祖父母

3~6か月

喪に服すのは、通常2親等までとされています。同居している家族の場合は、等しく1年間とすることが多いです。

喪中期間が12か月(1年)ではなく13か月になっているのは、故人様の亡くなった月を含めて一周忌を計算する「数え月」の名残りといわれています。「一周忌が終わるまでが喪中期間」と覚えておけば問題ないでしょう。

念のため、計算の方法の事例も示しておきます。

(例) 昨年の12月末に父親を亡くしたAさん。もうすぐ1年が経とうとしています。来年の年始の挨拶は、控えるべきなのでしょうか?

→この場合、故人の亡くなった月も含めて13か月が喪中となります。昨年の12月を1と数えて指を折ると、喪に服すのは今年の12月まで。つまり、来年からは喪が明けているため、年始の挨拶をしても大丈夫ということです。

忌引きの期間

忌引きとは、葬儀や法要に出席する必要があることを理由に、忌中に学校や会社を休むことです。忌引きの日数は学校や会社の規定によって異なりますが、一般的には以下の期間が目安です。

故人様との関係

忌引きの期間

配偶者

10日間

父母

7日間

子ども

5日間

祖父母、兄弟、姉妹

3日間

叔父、叔母、孫

1日間

配偶者の父母

3日間

配偶者の祖父母、兄弟、姉妹

1日間

喪中に控えるべき行動

喪中は、故人様の死を悼んで慎ましく生活する期間なので、控えるべき行動がいくつかあります。前提として、忌中は神社への参拝を控え、喪中は祝い事を控えなくてはいけません。

忌中に神社へ行ってはいけないのは、聖域へ死の穢れを持ち込まないためです。ここからは、喪中に控えたほうがよいとされる事柄について紹介します。

正月のお祝い

門松を始めとするお正月飾りや、おせちなどの祝い膳といった正月のお祝いはタブーとされています。

年賀状に関しても、正月を迎えた喜びを伝えるためのものなので避けましょう。一方、喪中には「喪中はがき」を送る必要があるので、後程書き方を解説します。

結婚式

結婚式は慶事にあたるので、予定を延期したり中止したりする場合が多いです。どうしても延期が難しい場合には、親族でよく話し合ってから判断しましょう。

ただし、招待されている側であれば、忌明けしていて、かつ主催者から申し出があった際には、出席することもあるようです。

宴会・旅行

地域にもよりますが、喪中は宴会も避けたほうが無難です。会社の飲み会などにやむを得ず参加する場合には、羽目を外さないように注意します。自分で宴会を主催することは控えましょう。

一方、行楽目的の旅行に関しても、喪中は控えるべきとされています。

新居の建築

家を新築したり改築したりすることも、祝い事の一種になるため、できるかぎり避けるべきでしょう。地鎮祭は神事にあたるので、忌中であれば延期します。忌明けしていれば、特に問題はありません。

喪中における最近の傾向

近年は故人様の意向によって、喪中にお祝いを実施するケースもあるようです。例えば、故人様が生前楽しまれていた祝い事や、ご遺族にとって大切なイベントなどは「故人様も許してくれる」と考える方も増えました。

ただし、高齢の方やご親戚との事前相談は必要でしょう。また、羽目を外し過ぎず、マナーを遵守することが大前提です。

喪の歴史

ここで少し喪の歴史に触れていきたいと思います。喪中の具体的な期間が定まったのは、いつからなのでしょうか?

喪中の歴史は意外に短く、明治時代が起源とされています。明治7年に、太政官布告の「服忌令(ぶっきれい)」が出されました。この法令には、忌(忌中)と服(喪中)について、細かく期間が定められています。忌と服のおおまかな区別としては、忌が自宅に謹慎して外部との関わりを避ける期間、服が喪服を着用する期間です。

「服忌令」の特徴として、故人様との関係性を細密に分けていたことが挙げられます。同時に、男性優位な社会情勢も垣間見える点が特徴です。夫の死に対して妻は1年喪に服しますが、妻の死に対して夫が喪に服すのは3か月とあります。また同じ子どもでも、嫡子とそれ以外で喪に服す期間が異なっています。当時の家制度をよく表したものだといえるでしょう。

この法令は昭和22年に廃止されるまで、約70年間続きました。喪中はずっと喪服を身に着けるなど、現代の我々からは想像しづらい内容ではありますが、この服忌令が一つの目安にされていることも確かです。例えば、父母の死に対しては、四十九日までが忌中、一周忌までが喪中とされている点などが挙げられます。

法令で定められていた明治の時代とは異なり、喪中への捉え方がさまざまであることが、現代の難しい部分といえるでしょう。

喪中はがきの書き方

喪中はがきの用意が必要な方へ向けて、特に大事なポイントを紹介します。

喪中はがきは、下記の項目を意識して書くとよいでしょう。

・年賀欠礼についての挨拶
・故人様について
・先方への感謝
・日付と差出人

それぞれについて、詳しく見ていきましょう。

年賀欠礼についての挨拶

年賀状による新年の挨拶を遠慮する旨を伝えます。これが、喪中はがきを出す一番の意味です。なお私的な報告など、年賀状欠礼以外の内容は喪中はがきには書いてはいけません。

故人様について

「誰が・いつ・何歳で」亡くなったのか記載します。喪中はがきの記載事例は、以下の通りです。

「○○月に父○○(享年○歳)が永眠いたしました」

「母○○が○○月に○歳にて永眠致しました」

先方への感謝

故人様が生前にお世話になったことに対して、お礼の気持ちを伝えます。例えば「本年中に皆様より賜りましたご厚情を深謝するとともに、今後も変わらぬご交誼のほどお願い申し上げます 時節柄くれぐれもご自愛の程お祈り申し上げます」など、先方への感謝と無事を祈る言葉などを組み合わせることが一般的です。

日付と差出人

日付に関しては、年月までの記載に留めておくことをおすすめします。例えば「○○年○○月」など、喪中はがきを出す月を明記しましょう。差出人は連名、個人どちらの記載でも問題ありません。

その他の注意点

他にも書き方の注意点がいくつかあります。

・前文は不要
・句読点を入れない
・行頭の一字下げはしない

喪中はがきは前文を省略して、主文・末文で構成します。前文とは、「拝啓」などの頭語や「敬具」などの結語、時候の挨拶などのことで、喪中はがきには記入しないことがマナーです。また喪中はがきでは、句読点や行頭の1文字下げは行いません。

喪中はがきに使用するはがきは華美なものを避け、シンプルで地味なデザインのものを選びます。イラスト付きのものでも構いませんが、菊や蓮など供花に使われる花などを選ぶのが無難でしょう。

なお、郵便局では喪中専用のはがきが販売されています。デザインや花言葉、故人様の趣味など、さまざまな観点で選べるので、こちらを活用するのがおすすめです。63円の通常はがき扱いのため、切手を貼らずに投函できるのもうれしいところでしょう。

そして、もっとも大事なものが、喪中はがきを出す時期です。相手が年賀状の準備をする前に、喪中はがきが届くように準備しなくてはいけません。11月中旬から12月初旬までに届くよう手配することが必要です。

まとめ

一般的に忌中は四十九日まで、喪中は一周忌までといわれています。喪中はお祝い事を控えましょう。また忌中であれば、神社へ参拝してはいけません。喪中はがきは、相手が年賀状の準備をする前に手配が必要です。

ただし、喪中の期間や避けるべきことは、時代の流れとともに変化しています。故人様の御意向やご親戚などとも相談し、どのように喪中の対応を行うかについて決めておくと安心でしょう。

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