神棚とは?神棚封じの目的や手順確認しておこう

2023.05.11

日本の家庭には、神棚を祀ってあるところが散見されます。神棚はある時期になると、神棚封じと呼ばれる儀式を行わなくてはいけません。

しかし神棚封じといわれても、誰が・いつ・何のために実施するのかわからないというケースもあるでしょう。そこで今回は、神棚とはどのようなものか見識を深めるため、神棚封じの目的や手順などについてご紹介します。

神棚とは

神棚とは、日本の家庭や店舗などに設置される、神様を祀るための小さな祭壇です。神棚には、神具と呼ばれる神様の象徴やお供え物などが置かれます。神棚のサイズや形はさまざまな種類があり、部屋の広さや好みなどに合わせて選ぶことが可能です。

もともと神棚は、神道においてお神札を納めて神様を祀るための棚でした。つまり、家の中で神様をお祀りする特別な場所といえます。三重県にある伊勢神宮(天照大御神が祀られており、日本の国土だけではなく国民を守っていた)のお神札を中心に、氏神様(その土地に住む人々を守る存在)のお神札、崇敬神社(個人の信仰やお願い事によって崇敬される神社)のお神札を祀ることが一般的です。

神棚の起源

神棚の起源ははっきりと分かっていませんが、天照大神(あまてらすおおみかみ)が伊弉諾尊(いざなぎのみこと)の御頸珠(みくびたま)を棚に奉斎したと、古事記に記述されているそうです。神棚は、神道を信仰する方々の文化です。神道は日本古来の宗教で、自然や人間に宿る神様を崇拝しています。

神棚が一般家庭に普及したのは、江戸時代中期以降で、伊勢神宮の御師と呼ばれる神職たちが御神札を配って歩いたことがきっかけだといわれています。昔から神道では、死や出産を穢れとして扱っていました。かつては、死者のために喪屋(もや)を作ったり、出産した際には産屋(うぶや)を設けたりすることによって、対象者を隔離していたそうです。

例えば、江戸時代後期の国学者であり神道家でもあった平田篤胤(ひらた あつたね)は、家の中が穢れたときは神棚も穢れるのはやむえないことだという思想を持っており「私の家では父母の喪であれば50日、祖父母であれば30日間、神拝をやめます。忌明けには身を清めて、その後礼拝します」と記しています。このことからも、神道は仏教と違い「死=穢れ」と捉え、その穢れが神様の力を弱めるものだと考えられていたのでしょう。

穢れとは「汚い・不浄」といった悪いイメージではなく「気枯れ」とも記し、気が枯れている状態を示します。大切な家族の死による悲しみや辛さによって、人々が気力を失う様子を「気枯れ=穢れ」と呼ぶようになったそうです。

神棚を設置する方角

神棚はお札が東か南、もしくは東南のいずれかを向く方角に設置します。太陽が昇る東と日差しがもっとも強く降り注ぐ南は、太陽の神様である天照大神の御威光を強く感じられる方角です。

しかし建物の構造によっては、日が入りにくかったり暗くなったりすることもあります。東向きや南向きに設置するのが難しい場合は、西向きで問題はありません。方角は祭礼などでも重視されており、多くの神社の方角は東向きか南向きに建てられています。

また人の目線よりも下に神棚がある場合は、神様を見下す位置関係になってしまうため、目線よりも高い位置に神棚を設置します。どうしても、上に人がいる状態を回避できない場合には、天井や神棚の上に「雲」と書いた紙を貼りましょう。天井に貼ることによって、神様がもっとも高い位置にいることを示すことが可能です。

ただし地域や信仰によっては、紙に書く文字に違いがあるため注意しましょう。例えば「雲」の代わりに「上」「天」「空」と書くこともあります。事前に、ご家族やご親戚などに確認しておくと安心です。

一方、汚れることが多い場所や、暗く光が入らない場所、人が上を歩く場所などに、神棚を設置するのは避けましょう。例えば、キッチンなどの水回りやトイレは、神道では不浄なものと考えられています。

神棚封じとは

神棚封じとは、ご家族が亡くなった際、神様に穢れを近づけないために行う儀式です。神棚の神様にご家族が亡くなったことを伝え、神棚を白い紙で覆います。神道では死を穢れとして捉え「神様は穢れを嫌う」という考え方があるためです。

ここでは、神棚封じを実施する人と儀式の手順、礼拝や実施期間について確認しておきましょう。

神棚封じを実施する人

神棚封じを行うのはご遺族ではなく、穢れの及んでいない第三者が行うのが習わしです。しかし近年は、ご家族が行うことも増えており、特にこだわる必要はなくなっています。

厳格に執いたい場合は、習わしに従って進めるのがよいでしょう。また、葬儀会社の自宅訪問があれば、その際に実施してもらってもよいかもしれません。

神棚封じの手順

神封じの儀式は手順が決まっています。以下の手順に沿って実施しましょう。

1.神様に挨拶をする

神棚封じの儀式を行う際には、まず神棚に祀られている神様に挨拶をします。

神棚に挨拶する方法は「二礼二拍手一礼」で、神社にお参りするときと同じの作法です。具体的には、以下のように実施します。

  • 手や口を清め、姿勢を正す
  • 神棚の前に進んで、45度のお辞儀を2回行う
  • 柏手を2回行い、神様に感謝と祈りを伝える
  • 最後にもう一度お辞儀をする

2.亡くなった人が誰なのかを報告する

神様に挨拶した後、家族の誰が亡くなったのかを伝えます。これが「帰幽報告の儀」と呼ばれる儀式です。神棚に向かって「〇〇が亡くなりました」と伝えましょう。

3.神棚のお供えものを片付ける

神棚には毎日、お米やお酒、果物などの食べ物がお供えされています。これらをすべて片付けましょう。また、左右に供えてある榊も下げます。

元の生活に戻るまでは、お供え物や神棚に近づくのを避けましょう。

4.神棚の扉を閉める

普段は開放している神棚の扉ですが、神棚封じの期間は前の扉を閉めます。

5.扉の前に半紙を貼る

次に、神棚にお布団や白い布などをかけて、神様を休ませます。これが「お眠り」と呼ばれる儀式です。

扉の正面を塞ぐような形で、白い半紙(通常24.3cm×33cm)を貼ります。半紙がない場合は、コピー用紙などでも問題ありません。扉が開かないよう中心に貼れば、神棚すべてを覆わなくてもよいです。

神道を信仰していなくても、ご自宅に神棚があるご家庭も多くあります。この場合も、手順に従って実施することをおすすめします。

神棚封じの注意点

半紙を貼る際は、画びょうやピンなど先が尖ったもので突き刺すのは避けるのが習わしです。この行為は、縁起が悪いと考えられています。

そのため、すぐにはがせるテープなどを使用して、封じるのがよいでしょう。神棚にしめ縄がある場合には、しめ縄の中心に半紙を貼ります。

神棚封じを行う期間

神棚封じを行う期間は、忌中(きちゅう)の間です。忌中とは、ご家族が亡くなった日から49日間が一般的で、仏教では49日(四十九日)、神道では50日といわれています。

この50日は、神道における忌中の考えに関係しているそうです。服忌には喪に服すことと、穢れを忌むことの2つの意味があります。

江戸時代の5代目将軍 徳川綱吉によって「服忌令(ぶっきれい)」と呼ばれる法律が制定されました。服忌令とは、近親者の死に際して喪に服すべき期間を定めた法令です。服忌令によると、ご親族の死による服忌の期間は、次のように規定されています。

  • 父母、配偶者、子:100日
  • 祖父母、兄弟姉妹、孫:50日
  • その他のご親族:30日

神棚封じの解き方

故人様がなくなった日から50日目が過ぎたら、半紙を取って神棚を掃除し、いつも通りお参りを行いましょう。

故人様が一人暮らしをしていた場合は、丁度50日目に半紙を取るのは難しいと思います。その場合は50日以上過ぎてから、空き家に風を通す目的などで訪れた際、半紙を取って掃除するのがよいでしょう。

また忌中の間に、万が一神棚封じを解いてしまった場合は、塩で自身を清めた後、再度テープで半紙を貼ることによって、神棚封じの期間を継続できます。

神棚封じ期間の拝礼について

神封じの期間中は、礼拝は行わないようにしましょう。「ご家族の死=穢れ」による影響を、神様に与えないと考えられているためです。

また普段から、榊やお米、塩水を神棚にお供えしている方も多いと思います。神棚封じの期間中は、これらのお供えも避けましょう。「お供えをしないと失礼にあたる」と考える方もいるかもしれません、しかし「気が枯れている」とき、神棚に触れることはよくないことなので注意しましょう。

神棚封じの期間が正月と重なった場合

神棚封じの時期がお正月と重なった場合は、忌中にあたるため、新年の慶事への参加は控えましょう。また、神棚への拝礼はもちろん、神社への参拝も控える必要があります。そのため、初詣は忌中が開けた後、出かけるのが習わしです。

まとめ

ご家庭で神棚をお祀りすることは、神様の恵みに感謝する心を養い、優しさや思いやりの気持ちを育むことにつながると思います。神様が、ご自宅の一番高いところで皆様を守ってくれるのは安心でしょう。

そのために、お供えや手を合わせること、気が枯れてしまっているときには、悪い流れを神様のいるところに運ばないようにすることが大切だと思います。

神棚封じは、神道の死に対する考えによる儀式だといえるでしょう。それぞれの地域や神社によってもやり方が異なることもあると思います。

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