相続税とは?申告するべき税額や税率の計算方法などを解説

2022.07.04

遺産をお持ちの方がお亡くなりになると、ご家族に相続することにともない、相続税の支払いが発生する場合があります。相続する財産額によっては、支払い額が大きくなる場合もあるため、期限内に適切な対応が必要です。

しかし、相続税の内容や手続きについて詳しく知っている方は少ないでしょう。そこで今回は、相続税の概要や申告するべき税額、税率の計算方法などについて解説します。

相続税とは

相続税とは、ご家族が亡くなった際、生前に保有していた財産を相続したときに、受け取った財産に対してかかる税金のことです。

相続税には富の再分配という目的があります。故人様の財産の一部を税金として納めることで、社会のために役立てたり、一部の方に集中している富を税金として徴収することで、経済状況の均衡化を図ったりすることが可能だからです。

相続税の申告が必要なものの対象

相続税は、相続した財産すべてにかかるわけではありません。相続税は、相続した財産から故人様の借金や葬儀の費用などを差し引いた金額から、基礎控除額を上回る場合に発生します。

基礎控除額は「3,000万円+(600万円×法定相続人数)」で計算することが可能です。

例えば、相続人が妻と子供の2人だった場合、基礎控除額は4,200万円になるため、相続した遺産の総額は4,200万円以下であれば、相続税は発生しません。

ただし、相続税が発生するのは、令和元年の段階で亡くなった方の8%程度だそうです。

参考:財務省/身近な税

相続税の申告期限

相続税の申告期限は、故人様の死亡日から10カ月以内です。「相続税申告書」を被相続人の最後の住所地を管轄する税務署に提出して「相続税」の支払いを完了させる必要があります。なお、申告手続きの手順については、後程解説します。

相続税の税率について

基礎控除額を上回る額の遺産を相続した場合には、超えた金額分にだけ相続税を支払わなくてはいけません。本章では気になる相続税の税率について解説します。

相続税の税率

相続税は相続する遺産の金額が増えるほど、税額も大きくなります。相続税の税率は以下の通りです。

法定相続分に応ずる取得金額

税率

控除額

1,000万円以下

10%

 

3,000万円以下

15%

50万円

5,000万円以下

20%

200万円

1億円以下

30%

700万円

2億円以下

40%

1,700万円

3億円以下

45%

2,700万円

6億円以下

50%

4,200万円

6億円超

55%

7,200万円

参考:国税庁/No.4155 相続税の税率国税庁

なお、上記の税額は法定相続人ごとに計算するものなので覚えておきましょう。

相続税の税率を計算する方法

では、実際に相続税の税率を計算する方法を解説していきます。

ステップ1.相続財産の合計額を確認する

故人様から相続した財産をすべて換価して、相続する財産の合計額を計算します。今回は相続額の合計が1億円で、妻と子ども2人と仮定しましょう。

ステップ2.相続税の対象金額を計算する

遺産総額から基礎控除額を差し引いて、課税遺産総額を計算しましょう。今回の場合は、

1億円-(3,000万円+600万円×2)=5,800万円

が課税遺産総額です。

ステップ3.法定相続分で分配する

法定相続分ごとに、前述した税率をかけて相続税額を計算します。

・妻:2,900万円×0.15-50万円=385万円
・子どもA:1,450万円×0.15-50万円=167.5万円
・子どもB:1,450万円×0.15-50万円=167.5万円

したがって、相続税額の合計は720万円です。

ステップ5. 相続税額を実際の相続割合で分配する

最後に実際の相続割合に応じて、法定相続人がそれぞれ相続税額を負担します。つまり、720万円の相続税の支払いを、相続の割合に応じて分配するということです。

ただし、配偶者控除や未成年控除などを活用することで、支払い額をゼロにしたり、減らしたりすることもできるので、詳しくは税理士などの専門家に相談しましょう。

相続税の申告手続きを行う流れ

相続税の申告手続きは故人様の死亡後10カ月以内に実施する必要があるため、速やかにいくつかの手続きを行わなくてはいけません。多くの場合、四十九日法要後に手続きをはじめるケースが多いようです。本章では、相続税の申告手続きを行う大まかな流れを解説します。

1.故人様の財産内訳を把握

故人様の資産や借金などを整理し、相続できる財産の内訳をできるだけ早く明確化しましょう。相続する財産の評価を行い、財産目録を作成する必要があるので、税理士などの専門家に依頼して速やかに手続きを行います。そのうえで、法定相続人に該当する方は、相続するか放棄するかを決めます。

2.法定相続人の確認

法定相続人が誰なのか確認するために、故人様と相続人の本籍地で、戸籍謄本を入手します。法定相続人が明白な場合でも戸籍謄本は必要なため、必ず準備しましょう。

3.相続人の承認

故人様が亡くなった日から3か月以内に、相続人の限定承認、および相続の放棄について家庭裁判所へ申述します。こちらの手続きを行わなかった場合、単純承認したものとみなされるため、例えば故人様に借金があった場合、そちらの支払い義務が発生するといった問題が発生する可能性があるので注意が必要です。

4.故人様の準確定申告を実施

亡くなった日から4か月以内に、故人様の所得税の準確定申告を行わなくてはいけません。通常の確定申告とは異なり、故人様が亡くなった年の1月1日から死亡日までの所得について確定申告を行います。

ただし、故人様が生前確定申告を実施していなかった場合、準確定申告は不要です。また、故人様の事業を引き継ぐ場合は、相続人に該当する方は青色申告の申請をする必要があります。

5.遺産分割協議書を作成

遺産分割協議書は、故人様が亡くなった日から9か月以内に作成しなくてはいけません。

財産目録の準備ができた後、遺産分割協議を実施して、それぞれの相続人がどの財産を引き継ぐのかを明確にします。遺産分割協議で決まった内容は、遺産分割協議書への記載が必要です。なおこの後、財産の名義変更の手続きも行う必要があります。

6.相続税の申告

遺産分割協議書の作成が終わったら、故人様の亡くなった日から10か月以内に、相続税の申告と納付を行います。ここまでに多くの手続きが必要なので、できるだけ早めに取り掛かりましょう。

相続税について注意するべきポイント

相続税にかんする手続きを行う際には、いくつかのポイントに注意しなくてはいけません。

注意するべきおもなポイントについて解説します。

適用する控除によっては注意が必要

相続税にはさまざまな控除がありますが、利用する控除によっては、相続税の発生有無にかかわらず手続きが必要になる場合があるため注意が必要です。

おもな控除の種類と手続きの有無については、以下に記載するので確認しておきましょう。

・小規模宅地等の特例:手続きが必要
・配偶者の税額軽減:手続きが必要
・相次相続控除:手続きは不要
・未成年者控除:手続きは不要
・障がい者控除:手続きは不要

相続する財産が基礎控除以下だったからといって安心せず、控除を利用する場合には、手続きの有無を確認しなくてはいけません。

期限内に申告しないとペナルティが発生

相続税を期限である10か月以内に申告できない場合、さまざまなペナルティが発生します。

例えば、相続税申告書の提出が遅れると、無申告加算税の発生、および各種特例が利用できなくなるので注意が必要です。また、相続税の支払いを滞った期限内に行わなかった場合には、延滞税が発生します。どちらも遅延した場合は、すべてのペナルティが発生するので、必ず納期内に申請と支払いを済ませましょう。

さらに財産隠しなど、悪質な行為を行ったと税務署に判断された場合には、重加算税が課せられる可能性もあります。

相続税の申告書類の入力はハードルが高い

相続する財産が多い場合には、相続税の申請や財産目録などを、一般の方が自分だけで準備するのは非常に厳しいでしょう。申告書にミスや記入漏れなどがあると、それに連動しほかの手続きも手戻りが発生する可能性があります。

よって、可能であれば税理士や司法書士などへ依頼するのが得策です。

まとめ

相続税の手続きは、故人様の葬儀や各種法要と並行して進める必要があるので、ご家族やご遺族の方は、できるだけ早めに手続きに取り掛かりましょう。特に故人様の財産が多い場合には、専門化に相談して着実に手続きを進めることがおすすめです。