献体とは?目的や実施できる条件、登録手続き、葬儀などについて解説

2023.05.11

死後にご自身のご遺体を、献体として提供する方がいます。医学の発展のために、ご自身の体を役立ててほしいという選択は、なかなかできるものではないでしょう。

しかし近年、日本で献体を希望する方の数は増加傾向です。公益財団法人日本篤志献体協会によると、献体登録者の総数は令和4年3月31日現在で315,641名を越え、そのうちすでに献体された方は152,795名に達しています。

ここでは、献体がどのようなものなのか、その目的や実施できる条件、登録手続き、葬儀などについてご紹介するので、参考にしてみてください。

献体とは

献体について、詳しく知っている方は少ないでしょう。ここでは、献体がどのようなものなのか、その目的や近年実施する方が増えている背景についてご紹介します。

献体の目的

献体(けんたい)とは、死後に自分自身のご遺体を今後の医学の研究・発展・進歩のために、大学病院や医療機関へ無条件、無報酬で提供する行為です。

献体は医学部生や歯学部生が、人体の構造を理解するために行う解剖実習の際に用いられます。学生数名のグループで数か月間かけて、一体のご遺体を解剖しながら、血管や神経の走行、臓器の成り立ちなど、人体の構造を学ぶのが一般的です。

解剖実習は、人体の構造について知ることはもちろん、人の尊厳や倫理について考える機会にもなるため、医療従事者としての責任感を養うことに役立ちます。医師や歯科医師になるためには、人体の構造に対する十分な理解が必要です。はじめは教科書などで学びますが、実際に自らの目で身体を観察しながら解剖していくことによって、深く理解することが可能です。

人体解剖を行うのは医学部と歯学部のみですが、例えば看護学生といった他の医療系学生も、人体の構造を理解するために解剖を見学する機会を設ける大学や専門学校もあります。

献体する方が増えた背景

ひと昔前までは、献体を希望される方は多くありませんでした。そのため、大学が解剖実習に必要とするご遺体がなかなか集まらずに苦労していました。しかし近年は、多少増加傾向にあります。

日本が超高齢化社会に突入したことにより、医療機関への受診機会が増え、献体の意義や意味を学ぶ機会が増え「自分の身体が少しでも医学の発展の役に立てれば意義がある」と思う方が増えたことが、献体する方が増えた背景です。また、ご家族がいない方の献体が増えたことも理由として挙げられます。

一方、献体をする際には、大学や医療機関側が火葬費用を負担してくれることが一般的です。引き取り手のないご遺骨に対して合祀墓を用意し、ご供養をしてくれる大学もあります。医学部では毎年、公式行事として慰霊祭が行われています。

ただし、基本的に負担してくれる費用は、あくまでも医療機関や大学までのご遺体の
搬送費用と、火葬費用のみです。したがって、葬儀の費用はご遺族の負担となります。

献体は誰でもできる?

献体はどなたでも希望すれば、実施できるのでしょうか。ここでは献体するための条件と、できないケースについてご紹介します。

献体をするための条件

献体を行うためには、生前から大学や関連団体に申し込み登録をしておく必要があります。献体登録ができるのは医学部、もしくは歯学部がある国内の大学で、大学の所在地と同一の都道府県に住んでいる方が対象です。

申込書を記入する段階で、ご家族やご親族の同意が必要になります。さらに、献体を希望する方と、最終的に決定をする方が異なるため、献体としてご遺体を提供する際にも、ご家族やご親族の同意が必要です。

したがって献体を希望する場合は、ご家族やご親族に自分の考えを伝え、献体として自分のご遺体を提供することに同意を得ておかなくてはいけません。身寄りがない場合は、後見人や司法書士、弁護士と死後事務委任契約を交わし、遺言にてその旨を伝え、遂行されます。

献体ができないケース

臓器移植のドナー登録をしている場合は、献体の登録を受け付けていない医療機関や大学もあります。臓器を提供してしまうと、献体としての役割が果たせない部分も出てきてしまうためです。両方に登録している場合は、ご遺族がどちらかを選択しなくてはいけません。

また、70歳以上などの年齢制限がある場合もあります。一方、お年を召した方が優先され、若い方の献体は不可としている団体もあるようです。

事故などによって、ご遺体の損傷が激しい場合も、献体できない場合があります。実習では、身体や臓器が完全な状態であったほうが、より医学の発展につながりやすくなるためです。ただし、特殊な病気や障害がある場合などは、対応が変わります。他のご遺体と比較することによって、医療に役立てられる場合があるためです。また、一部の特殊な感染症が原因による死亡、病理解剖や司法解剖、葬儀用のエンバーミング処置を行った場合も、献体を断られてしまう可能性が高くなります。

遠方の旅行先で亡くなってしまった場合も難しいかもしれません。特に海外で亡くなってしまった場合には、ご遺体が戻ってくるまでに時間がかかってしまうことや、そこまでの搬送費を負担できない可能性が高いためです。基本的には死後48時間以内に、ご遺体は大学へ搬送されます。

最後に、ご遺族の中で1人でも献体に反対する方がいる場合も、献体は実施できません。自分の意志を反映するためにも、気力・体力が十分あるうちに、ご家族やご親族としっかり話し合っておくことが大切です。なお、医療機関や大学によって、受け入れの基準も異なるため、確認をしておいたほうがよいでしょう。

献体登録の手続き

献体を希望する方は、申請が必要です。ここでは、献体登録の手続きについてご紹介します。

1.申込書の取り寄せ

献体を希望する場合は、献体篤志家(けんたいとくしか)の団体や医科・歯科大学に申込みをします。各都道府県の団体・大学に問い合わせれば、申込書を入手することが可能です。

手続きは各団体によって異なるため、申込む団体の書式、様式に従ってください。電話でも、郵送でも対応してくれます。

参考:公益財団法人 日本篤志献体協会/献体について

2.申込書への記入

各団体へ、必要事項を記入した申込書を郵送します。このとき、自分自身の署名捺印、家族、親族の同意の印が必要です。

3.会員証の発行

申込書が受理されると、会員証(献体登録証)が発行されます。会員証は献体登録をしたことを証明するものです。また、登録先の団体名や死亡時の連絡先なども書かれているため、常に持ち歩き、不慮の事故などに備えておきます。

故人様のご遺骨が返還される時期

故人様のご遺骨の返還は早くて1年程度、長ければ3年以上かかることもあるようです。ご遺骨が返還されると、ご家族に感謝状が渡されます。

解剖には準備期間が必要です。そのため、防腐処理を施し解剖学実習に備えます。実習は段階的に行われるため、解剖も長期間にわたることが一般的です。

すぐに実習が行われないこともあり、年度中の実習に間に合わなければ来年度に持ち越される場合もあります。これには、献体として保管されているご遺体の人数も関係しています。

献体を希望される方の葬儀について

献体を希望する方の葬儀は、どのように実施するのでしょうか。ここでは、献体の

献体を希望する方の葬儀と実施する時期

献体を希望する場合は、葬儀後にご遺体を提供することが多いです。そのため、お通夜やお葬式など、通常の葬儀を行った後に、献体としてご遺体を提供します。

一般的な葬儀の場合、ご遺体は出棺後に火葬場へ運ばれますが、献体をするときは登録先の各団体へ運ばれます。葬儀前に献体として提供する場合は、ご遺体がない状態で葬儀を行うか、ご遺骨が返還されてから、骨葬儀を行うことが一般的でしょう。

ご遺骨が返還されるまでには1年以上かってしまう場合が多く、献体前に葬儀を行う方が圧倒的に多いです。なお、火葬費用や搬送費用は各団体によって支払われます。ただし、お通夜やお葬式を行う費用は、ご遺族が負担しなくてはいけません。

葬儀をしない選択肢

献体を希望する方は、葬儀を行わないという選択肢もあります。例えば、ご遺族が葬儀に時間を取れないことや、費用を抑えたいことなどが理由として挙げられるでしょう。

献体をすることによって、その後の対応を医療機関や大学側が担ってくれます。そのため、ご家族に一切の負担をかけたくないという方や、身寄りのないお年寄りなどは、葬儀をしないことを選択するケースもあるようです。

身寄りのない方の場合、自身で決定した意思を尊重できるため大きな問題はないでしょう。しかしご家族がいる方の場合、残されたご遺族の気持ちにけじめが付きにくいことや、送る側の気持ちを無視することにもなりかねません。

献体としてご遺体を提供する前に、故人様とのお別れの時間を作ることには大きな意味があります。葬儀には、ご遺族が大切な方の死を受け入れていくための儀式という意味も込められているためです。

まとめ

ご自分の身体を医学の発展のために提供することは、崇高な理念を持ち合わせていなければ、なかなかできることではありません。ただし、自分の意志だけではなく、ご家族の理解も得なくては実現することが不可能です。

しかし、過去に献体をしてきた方々が実在した結果、今日の医学があります。「明日の医学の発展のために献体を考えてみる」という一歩が、大切なことかもしれません。

「献体をするからお葬式はしなくてもよい」と、単純に考えるのは避けるべきです。ご家族やご親族と相談するべき、重要な問題であることを認識しましょう。

死後、自分の身体はどうすることもできません。葬儀をするかしないかは、献体を希望することとは、まったく別の問題といえるのです。

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