【横浜版】新型コロナウイルス感染症で亡くなった後のお葬式は?

2022.12.01

新型コロナウイルスのまん延防止のため、葬儀の「お見送り」の形に大きな変化があったことは、皆様の記憶に新しいのではないでしょうか。
横浜市のホームページには、新型コロナウイルスにより亡くなられた方の遺体の火葬について、斎場や時間が指定されたうえで掲載されています。
このコラムでは、新型コロナウイルス感染症でお亡くなりになった方を火葬するまでの流れをご説明します。

横浜市のコロナ感染症による火葬場の状況

横浜市には4箇所の火葬場があります。
新型コロナウイルスが流行しはじめた頃は、横浜南部斎場・久保山斎場のみで、新型コロナ感染症により亡くなった方を火葬していました。
約2年が過ぎた2022年10月現在では、南部斎場での火葬に移行されています。(2022年10月時点の情報であり、今後も斎場などは変わる可能性があります)

通称「コロナ枠」での火葬は、流行り出した当時はお立ち会いNG・ご遺骨を引き取るのみでしたが、次第に人数制限あり、小窓から拝顔のみ可能に変わりました。

ただし、お花入れなどのお別れは現在もできません。
お棺のお蓋は目張りされた状態であり、故人様のお身体は、専用の納体袋にお納めされていることが条件となっています。

横浜市のホームページには以下の案内が掲載されています。
“透明な非透過性納体袋に収容されている場合で、告別室において、棺の小窓部分を開けて、亡くなられた方のお顔を見ることを希望される場合には、予約時に斎場にお知らせください”
引用:「市営斎場のご案内」横浜市

この火葬ルールに関しては、厚生労働省・経済産業省が公表しているガイドラインをもとに、各自治体によってルールがさまざまに設定されています。
そもそも新型コロナ感染症でお亡くなりになった方の火葬を受け付けていない施設は、現在も多数あります。

ここからは、筆者の主観も交えながら、まとめていきます。

ご遺体からの感染リスクについて(コロナ感染症ガイドライン参照)

厚生労働省・経済産業省が発表したガイドラインには、以下の記載があります。
“新型コロナウイルス感染症は、一般的には飛沫感染、接触感染で感染しますが、
遺体においては、呼吸や咳嗽(咳のこと)による飛沫感染のおそれはありませんので、接触感染に注意することとなります。”
“WHO のガイダンスによれば、現時点(2020 年 3 月 24 日版)では、遺体の曝露から感染するという根拠はないとされており、感染リスクは低いと考えられますので、接触感染に対しては、手指衛生を徹底し、本ガイドラインを踏まえた取扱いを行うことで、十分に感染のコントロールが可能です。”
引用:厚生労働省・経済産業省「新型コロナウイルス感染症により亡くなられた方及びその疑いがある方の処置、搬送、葬儀、火葬等に関するガイドライン」令和2年7月29日(第1版)

こちらの記載をもとに筆者の主観で考えますと、故人様のお身体の中からの「飛沫感染」のおそれはないのではないか、といえます。
ただし、衣類や感染者が手に触れたものを媒体に、感染を引き起こす可能性はありますので、故人様(お洋服などを含む)に直接触れることがNGになるのではないかと思います。
お身体に触ったりさすったりすることで接触感染を引き起こす可能性があるからです。

先述したガイドラインでも、ご遺体への接触についての記載がございます。
“遺体からの接触感染を避けるため、遺体に触れることは控えてください。特に重症化のリスクのある方〔高齢者、基礎疾患(糖尿病、心不全、COPD 等の呼吸器疾患)のある方、透析を受けている方、免疫抑制剤や抗がん剤等を用いている方、妊婦の方等〕については、十分な注意が必要です。”
引用:厚生労働省・経済産業省「新型コロナウイルス感染症により亡くなられた方及びその疑いがある方の処置、搬送、葬儀、火葬等に関するガイドライン」令和2年7月29日(第1版)

コロナ感染症ガイドラインに基づく臨終からの流れ

もしものことが訪れる場面により詳細は異なりますが、病院での臨終の場面からの流れはおおよそ以下のようになります。

基本処置は医療スタッフか葬儀社スタッフが行う

お亡くなりになったあとの基本のご処置は、医療従事者の皆様が行うことが多いです。
しかし新型コロナ感染症が拡大し、医療スタッフがひっ迫している現状では、葬儀社のスタッフが直接病室にお伺いし、専用の納体袋に移し替え、消毒・ご搬送まで行うことも増えてきています。
病室はもとより、病棟などでの飛沫感染のリスクも考えて個人防護服を着用し、感染リスクに応じた準備をしてお迎えに伺います。

先述したガイドラインにも「ご遺体に対する対策として」という内容で、故人様に接するときの対応方法が立場別に記載されています。

“◆遺族等の方へ
適切に感染対策を行い、安全に臨終後の対応が行えるように、医療従事者の指示に従ってください。

◆医療従事者の方へ
遺族等の方に対して、次の説明をします。
・遺体からの感染を避けるためには、接触感染に注意する必要があること
・接触感染に対しては、手指衛生の徹底等、一般的な感染対策を行うことで十分に感染のコントロールが可能であること
・思わぬリスクを避けるため、遺体等を取り扱う事業者の指示に従うこと
・24 時間以内の火葬が可能であるが義務ではないこと”
引用:厚生労働省・経済産業省「新型コロナウイルス感染症により亡くなられた方及びその疑いがある方の処置、搬送、葬儀、火葬等に関するガイドライン」令和2年7月29日(第1版)

お顔が見られない場合がある・お別れが困難になるケース

ガイドラインには、非透過性納体袋という袋にご遺体をおさめて適切に管理されることで、ご遺体からの感染リスクが非常に低くなることが記載されています。
一般的な納体袋は中が分からないように、黒・グレーなど色がついている製品が多く、透明な納体袋は専用で手配する必要があります。
また新型コロナ感染症の拡大で、製品の供給不足になっているケースもあり、必ずしも透明な非透過性納体袋を使用できるわけではありません。
納体袋の中が見えないことはお顔を確認できないということになり、最後に拝顔してお別れができないこともあります。

下記の資料が、実際のイメージになります。

通夜・葬儀に関してガイドライン上の見解

ガイドラインができあがる前は、新型コロナ感染症で亡くなった方を火葬する前のお通夜・葬儀などは執り行えず、火葬のみが主流でした。
昨今は、規定の感染対策を行ったうえでの通夜・葬儀も可能になりつつあります。
ガイドラインには、感染対策を十分におこなったうえでご遺族の心情に配慮し、お別れを伝える機会を設けられるよう検討してほしいという文面が掲載されています。

最新の現場の状況(2022年10月現在)

現在の横浜市では、新型コロナ感染症での火葬は一般の火葬枠とは異なり、日時の指定・現地での人数制限・お別れ方法の制限があります。

火葬予約時に確認されることは以下の内容です。
・2重の納体袋に納めている状態か?
・お棺の蓋はしっかりと目張りされているか?
・当日のご参列はなるべく5名までに
・当日立ち会う場合は専用の休憩室を借りること
・濃厚接触者がいないこと

またごく最近、火葬場により独自ルールがあるようですが、火葬炉前でお経をあげてもOKという火葬場もあるようです。

まとめ

新型コロナ感染症でお亡くなりになった方の通夜・葬儀に関しては、現在は「骨葬」が主流です。
骨葬とは、火葬を終えてからのお葬式を執り行うことです。

直接、ご遺体を前にお式は行いませんが、通常の葬儀と同じように祭壇や遺影写真を飾り、お骨を中央にお手向けして、ご葬儀を行います。

骨葬では故人様からの感染リスクがなく、参列者への配慮や、参列されたい方がご自身の対策のみで故人様を送ることができる形として、多く選ばれているご葬儀の形式です。

新型コロナ感染症が国内ではやり始めた頃は、葬儀社が病院にお迎えにあがり、ご遺族は火葬にも立ち会えず、ご遺骨を葬儀社がご自宅に届けておりました。
約2年が過ぎ、人数制限はありますが、最後に小窓からお顔を拝顔して、火葬炉に入るところをお見送り・お骨あげに参列できるまで変化しています。

この先もルールの変更などがあるかとは思いますが、なるべく故人様や残されたご遺族様のお気持ちに寄り添えるご葬儀をお手伝いできればと思っております。